マンションの屋上は水道や電気系統の設備を設置するだけで、あとはそのまま放置されているケースが多いようです。しかし、うまく活用すれば利回りをさらに上げたり、マンションに新しい付加価値を付与したりできることをご存知でしょうか。この記事では、マンションの屋上の活用方法や、その注意点などを説明します。
マンションの屋上を立入禁止にする理由
マンションの屋上は、基本的に入居者には開放せず立入禁止にするのが一般的です。普段は屋上へ続く扉も施錠して誰も入れないようにし、立入禁止であることを契約書や管理規約に明記するオーナーも少なくありません。
マンションの屋上は眺めもいいため、入居者にとって魅力的な空間であることは言うまでもありません。特にベランダのスペースが限られている場合は、外の空気を楽しめるリラックススペースとしても最適です。
屋上は入居者にとって魅力的なスペースですが、それにもかかわらずオーナーが立入禁止にするケースが多いのはいくつかの理由があります。
屋上にはマンションの重要な設備が集まっている
マンションの屋上を立入禁止にする理由としてまず挙げられるのは、マンションの重要な設備が集まっているという点です。屋上には水道や電気系統の設備、アンテナなど、生活に欠かせないインフラに関する設備が集中しています。もしも屋上を開放していて、誰かが誤って壊してしまえば、マンションの入居者全員の生活に影響が出るだけでなく、修理費やインフラが使えない間の補償問題に発展する可能性もあります。
また、マンションの屋上は雨漏りなどで建物に被害が及ばないよう、防水工事が行われているのが一般的です。屋上の表面は防水層で覆われているため、開放して頻繁に人が出入りするようになると、修繕頻度も高くなり管理コストがかさむことになります。
事故防止のため立入禁止にするケースも
屋上を立入禁止にするのは、マンション経営の問題だけでなく入居者の安全を確保するためでもあります。屋上を開放していると、誰かが誤ってものを落下させてしまったり、転落事故が起きたりするリスクが生まれます。また、不特定多数の人間が出入りすれば、屋上が不審者の侵入経路として利用されてしまう可能性もゼロではありません。いずれも頻繁に起こることではありませんが、こうしたリスクをできるだけ排除しておくのは、マンション管理者の責任でしょう。
これらの理由を踏まえると、屋上を開放するのは管理者側のリスクが大きいと言えます。リスクの排除や入居者の安全を考慮すると、マンションの屋上を立入禁止にするのは当然の選択かもしれません。
マンションの屋上の活用方法
先に上げた理由から、マンションの屋上は遊休スペースとして放置されているケースがほとんどです。しかし、活用次第では家賃収入以外の利益を得たり、マンションに新たな付加価値を加えたりすることができるのをご存知でしょうか。マンションの屋上の活用方法としては、以下のようなものがあります。
太陽光パネルを設置する
マンションの屋上の活用方法として、まずおすすめしたいのは太陽光発電装置を設置することです。マンションの屋上は構造上、平らで広い空間が広がっています。また、周囲に遮るものがなく日当たりがいいため、太陽光パネルを設置するのに絶好のロケーションと言えるでしょう。
太陽光パネルを設置すれば、発電した電気を階段や廊下など共用部分で使用して管理費用を節約できるだけでなく、余剰電力を電力会社に売って売電収入を得ることもできます。家賃以外にも収入を得られる手段を持つことは、マンション経営の安定化につながるでしょう。
太陽光をはじめとする再生可能エネルギーにより発電された電気は、一定期間決められた価格で買い取ってもらえる制度(固定価格買取制度(FIT))があります。一般的な市場価格よりも高く設定されているため、有利な条件で収入が得られることも大きなメリットです。
太陽光パネルについては、以下の記事でも詳しく説明しています。
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太陽光エネルギーで発電した電気を活用するには蓄電池が便利です。蓄電池については、以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
※「#56」へのリンク入ります
看板広告を設置する
マンション経営における収入を増やすという視点では、屋上に看板広告を設置するのもおすすめの活用方法です。看板広告を設置するためには、大通りに面していること、駅から近いことなど、広告設置に適した場所である必要があります。こうした条件を満たしている場合は、広告会社に看板の設置が可能かどうか問い合わせてみるのもいいでしょう。
入居者に開放する
マンションの屋上はリスク回避のため立入禁止にするのが一般的ですが、ルールを設けたうえで入居者に開放するという選択肢もあります。先にも紹介したとおり、屋上は見晴らしがよく平らで広いスペースがあるため、入居者にとって魅力的な空間です。開放して自由に使えるようにすれば、マンションの付加価値を上げることにもつながるでしょう。
入居者に開放する場合の活用方法としては、以下のような選択肢があります。
・屋上菜園にする
・バーベキュースペースにする
・住民同士のコミュニティスペースにする
家庭菜園やバーベキューは非常に高い人気があるものの、特に都市部で場所を見つけるのは簡単ではありません。屋上を家庭菜園やバーベキューができるスペースとして開放していれば、入居者の定着につながるだけでなく、空室時に新しい入居者を探す場合のアピールポイントにもなります。
また、屋上を緑化してベンチを置き、住民同士のコミュニティスペースにするのもおすすめしたい活用方法です。こうした取り組みは、たとえ直接収入を得ることにならなくても、マンションの付加価値を上げ、空室対策にもつながるでしょう。
屋上を活用する際の注意点
マンションの屋上は活用次第で家賃収入以外の利益を得たり、新たな付加価値を加えたりすることができます。屋上を遊休スペースとしてただ放置するのはもったいないと言えるでしょう。
ただ、屋上を活用する場合は以下の点に注意しておく必要があります。
法的な問題がないか確認する
マンションの多くは、屋上を活用することを想定して建てられていません。そのため、特に屋上菜園を作る場合や構造物を設置する場合は、耐荷重や防水性に問題はないか、また建築基準法に触れないかを慎重に検討する必要があります。
また、活用方法によっては、管理組合の規約変更が必要な場合もあります。この場合、オーナーだけでは判断が難しいケースもあるため、弁護士や建築士など専門家に相談する必要があります。
入居者の安全には十分に配慮する
屋上を入居者に開放する場合は、安全に十分に配慮する必要があります。ものが落下したり転落事故が起きたりしないようルールを整備し、利用者にしっかりと周知するようにしましょう。場合によっては、事故を防ぐために新しくフェンスを設置したり、ルールを守ってもらえない人への対応が必要になったりすることもあるかもしれません。
マンションの屋上は共用部分とみなされるため、万一事故が起こった場合は管理者の責任を問われることもあります。そのため、利用する人の安全には十分に配慮する必要があります。
利回りの向上につながるかを試算する
マンションの屋上は活用次第で、家賃以外の収益を得たり、マンションに付加価値を加えたりすることができます。ただ、活用する際は、それが本当に収益の向上につながるかをしっかりと検討することが大切です。
マンションの屋上を活用する場合、内容次第では初期費用や維持費がかかるケースもあります。マンション経営を行う以上、収益を増やすことにつながらなければ屋上を開放する意味はないでしょう。屋上を活用するために支出が増え、キャッシュフローに悪い影響を与えるようでは本末転倒です。
不労所得については、以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
※「#40」へのリンク入ります
屋上活用でマンションの利回りを上げよう
マンションの屋上は遊休スペースになっていることが多く、太陽光パネルや看板広告を設置して活用することで、さらに収益を得ることができます。マンション経営を始める際は、こうしたスペースもしっかり活用すると、さらに利回りを上げることができるでしょう。