太陽光発電で売電収入を得られる仕組みを解説!初期費用の元は取れる?
売電収入とは、太陽光発電で発電した電力を電力会社へ売ることで得られる収入のことです。家庭用に設置した太陽光発電でも、余った電力を売れば収入を得られます。また、マンションやアパートであれば、敷地内の空きスペースに設置して、家賃収入以外の収入を得ることも可能です。今回は、太陽光発電で売電収入を得る仕組みや売電のメリット、売電する際の注意点などを解説します。毎月安定した売電収入を得る方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
太陽光発電で得られる売電収入とは
太陽光発電を設置すれば、自家発電によってつくられた電力を電力会社に売ることで売電収入を得られます。ここでは、売電の仕組みについて解説します。
売電とは
売電とは、太陽光発電などの再生可能エネルギーにより生み出された電力を電力会社へ売ることです。国が再生可能エネルギーの普及のために行っている固定価格買取制度(FIT)を活用すれば、一定期間、一定の価格で買い取ってもらえます。固定価格買取制度のもとでは太陽光発電は住宅用と産業用に分けられ、それぞれ売電価格や買取期間が異なります。
固定価格買取制度を利用するには、経済産業省へ申請手続きが必要です。土地や建物の登記謄本や構造図、配線図、電力会社の接続同意書類など、さまざまな添付書類も用意しなければなりません。手続きは資源エネルギー庁のホームページから電子申請で行えます。申請から認定までは約3カ月かかるとされています。
売電価格
売電価格とは、電力を電力会社へ売るときの価格のことです。太陽光発電の設置や運転などにかかるコストをもとに、国が毎年、売電価格を見直します。2022年度の売電価格は住宅用(10キロワット未満)で17円/キロワットアワー、産業用(10キロワット以上50キロワット未満)で11円/キロワットアワーです。また、買取期間は住宅用が10年、産業用が20年となっています。
固定価格買取制度は2012年から開始されましたが、太陽光発電の設置コストなどの低下に伴い、売電価格も年々下がる傾向にあります。ただし、開始した年度の価格で固定されるため、設置後に売電価格が下がるわけではありません。
初期費用
経済産業省の資料によると、住宅用太陽光発電の設置費用は、2021年の平均値が1キロワットあたり28万8,000円となっています。仮に、5キロワットの太陽光発電を設置した場合、144万円の費用がかかります。さらに、定期点検やパワーコンディショナーの交換費用として、年間1キロワットあたり約3,690円/かかります。太陽光発電を設置すれば自家消費や売電収入などの経済的メリットが見込めますが、初期費用を考えたうえで元が取れるのか検討することが大切です。
太陽光発電で売電収入を得るメリット

太陽光発電は投資手法としても人気があります。10キロワット以上の産業用太陽光発電なら、20年間固定価格で売電が可能です。さらに、50キロワット以上なら全量売電も可能になります。ここでは、太陽光発電で売電収入を得るメリットを解説します。
売電価格が安定している
太陽光発電に投資をすれば、固定価格買取制度により10キロワット未満は10年間、10キロワット以上は20年間、固定価格で売電できるため、安定した収入を得られる可能性があります。特に、50キロワット以上の太陽光発電なら全量売電が可能なので、投資目的として始めるのに適しています。
発電事業を始めるにあたり金融機関から融資を受けたとしても、収入が安定しているため返済計画を立てやすいことがメリットです。発電量は天候により多少の変動はありますが、発電所が完全に停止しない限り収入がゼロになることはありません。そのため、比較的リスクが低い投資手法と考えられています。
利回りが高い
太陽光発電投資の表面利回りは10%前後ともいわれています。表面利回りとは、初期投資に対して得られる収入の割合を示した数値です。例えば、初期投資が2,000万円の太陽光発電で、年間200万円の売電収入が見込めれば表面利回りは10%となります。ただし、表面利回りには、太陽光発電の維持に必要なメンテナンス費用やパワーコンディショナーの交換費用は含まれていません。そのため、投資目的で太陽光発電を始めるなら、維持費も含めて検討する必要があります。
太陽光発電の売電価格は年々下がっているため、新規で始めても利益が見込めないのではないかと考える人もいます。確かに、売電価格は年々下がっているものの、太陽光発電システムの導入費用も安くなっています。初期費用やメンテナンス費用に対し、どのくらいの売電収入が見込めるのかシミュレーションしたうえで、元が取れるのか検討してみましょう。
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太陽光発電で安定した売電収入を得るには?

太陽光発電は売電価格が固定されているとはいえ、発電量によって収入が変動します。なるべく安定した収入を得るには、どのような対策をすればいいのか解説します。
過積載で発電量を増やす
過積載とは、パワーコンディショナーの容量を超えたソーラーパネルを設置することです。過積載をすることで、パワーコンディショナーの容量いっぱいまで発電できるメリットがあります。
例えば、50キロワットのパワーコンディショナーに70キロワットのソーラーパネルを設置します。この場合、50キロワット以上発電した分は捨てることになりますが、実際には70キロワットのソーラーパネルを設置しても50キロワット以上発電する時間はほとんどありません。一方、朝や夕方などの発電量が少ない時間帯は、ソーラーパネルの容量が大きい分、発電量が増えます。そのため、1日の発電量を増やせます。
定期的にメンテナンスをする
故障や発電量の低下を防ぐには、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。メンテナンスを怠ると、発電量に影響が出ることもあります。
また、事故を防ぐためには、保守点検も必要です。太陽光発電を導入したあと1年を経過した時点で一度点検を行います。さらに、4年に1回、定期的な点検を行わなければなりません。太陽光発電のメンテナンスには専門的な知識が求められるため、専門業者へ依頼する必要があります。
太陽光発電で売電収入を得る際の注意点
売電収入を得る目的で太陽光発電を始める場合、納税や維持費、売電価格など、注意すべきことがあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
収入によっては確定申告が必要
売電収入の額によっては確定申告が必要になります。例えば、会社員の場合、給与所得と退職所得以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。所得とは、収入から経費を引いた金額のことです。売電収入の場合、太陽光発電の減価償却費やメンテナンス費用、ローンの利息などを引いた分になります。確定申告が必要になるケースとならないケースがあるため、所得税の仕組みをよく理解したうえで正しく確定申告をすることが大切です。
維持費がかかる
太陽光発電で売電収入を得るには、初期費用のほかにもさまざまな費用がかかります。例えば、太陽光発電のメンテナンス費用、固定資産税、損害保険料、ローンの利息、土地の賃貸料、周辺機器の費用などです。また、いずれはソーラーパネルの撤去費用や交換費用も必要になります。まとまった金額が必要になることもあるため、売電収入から一定額を積み立てておかなければなりません。
自家消費の方がお得な可能性もある
固定価格買取制度で定められている売電価格は、年々下がる傾向にあります。一方、燃料費の高騰などの影響で、電気料金は上昇傾向です。そのため、新規で太陽光発電を設置する場合、売電するよりも自家消費のほうがお得なケースもあるのです。
例えば、2022年度から太陽光発電を始める場合、10キロワット未満の売電価格は17円/キロワットとなります。一方、東京電力エナジーパートナーで従量電灯Bを契約した場合の電気料金は約20円/キロワットアワーです。電気料金プランによっては、自家消費した方がお得になる可能性があります。
太陽光発電は日中しか発電しませんが、蓄電池を併用すれば自家消費量を増やすことが可能です。蓄電池の購入費用はかかりますが、長期的に考えた場合にどちらがお得なのかを検討してみる必要があるでしょう。
太陽光発電による売電で安定収入を

太陽光発電による売電は、毎月一定の収入が得られることがメリットです。容量が大きいほど収入も多くなるため、空きスペースを活用したい方には特におすすめです。過積載や定期的なメンテナンスなどで発電量を増やせば、安定した収入を目指せます。ただし、売電価格や電気料金によっては自家消費がお得になるケースもあります。売電と自家消費、どちらがお得なのかを検討してみることが大切です。
