スマートマンションとは?MEMSの仕組みやスマートマンション導入事例を紹介
スマートマンションとは、マンション全体でエネルギーを一括管理し、エネルギーの効率的な利用を促す仕組みを持ったマンションのことです。スマートマンションではMEMS(マンションエネルギーマネジメントシステム)を導入し、無理なく節電やピークカットを行えるようにしています。MEMSの活用により、入居者の電気料金抑制や新たなサービスの提供が可能になるのです。この記事では、スマートマンションとはどのようなマンションなのか、節電や電気料金抑制の仕組みを詳しく解説します。

スマートマンションとは
スマートマンションが普及すれば、マンションに住む人だけでなく、社会全体に大きなメリットがあります。ここでは、スマートマンションとは、どのようなマンションなのか解説します。
マンション全体でエネルギーを管理
スマートマンションは、マンション全体でエネルギー管理を行う仕組みが導入されたマンションのことです。電気料金が年々上がるなか、電気代を節約するために工夫している家庭も多いでしょう。節電は家計の負担を減らすだけでなく、限りある資源を大切に使うという意味でも大切なことです。一人ひとりが節電を意識することで、エネルギー消費量を抑えることができます。
さらに、スマートマンションのようにマンション全体でエネルギーを管理すれば、より効率的にエネルギー消費量をコントロールすることが可能です。スマートマンションでは、ICTの活用によりエネルギーを見える化し効率的に利用することで、無理なく節電やピークカットを行っています。このような仕組みのことをMEMS(マンションエネルギーマネジメントシステム)といい、新築マンションだけでなく、既存のマンションでも導入が進められています。
スマートマンションでは各家庭で個別に電気契約をするのではなく、管理組合などによりマンション全体で高圧一括受電契約をします。高圧電力は、商業施設や工場など大量の電力を必要とする施設で使われており、主に一般家庭で使用されている低圧電力よりも料金単価が安く抑えられています。そのため、マンション全体で高圧一括受電契約を行い、各家庭に電力を供給すれば、従来よりも電気料金が安くなるのです。
また、太陽光発電システムや蓄電池を導入すれば、さらなる節電や停電時のエネルギー確保を目指すことも可能です。昼間、太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯めておき夜間に使えば、買電量を抑えられます。災害などで停電が起こった場合も太陽光発電と蓄電池があれば、ある程度の電力を確保することができるでしょう。
MEMSの活用で日々の生活がより便利に
MEMSの活用はエネルギー管理だけに留まらず、さまざまなサービスの提供も可能にします。例えば、共用部の空調を自動的にコントロールすることも可能です。室内の空気を制御して快適な環境を維持しつつ、電気代を抑えることができます。また、MEMSを通じて集まったデータをもとに、ホームセキュリティを強化するサービスを提供するマンションもあります。顔認証によるタッチレス入室を可能にしたり、住居内の侵入者をいち早く検知したりするシステムを導入することも可能です。そのほか、高齢者の行動パターンを分析し、異常を検知する見守りサービスなどもあります。
このように、MEMSを導入することで、入居者向けのサービスを向上させることができます。質の高いサービスを提供できるようになれば、マンションとしての資産価値も上がる可能性があるため、マンション経営者からも注目を集めています。
MEMSの仕組み
HEMSの導入はスマートマンションの運営に欠かせないものですが、具体的にどのような仕組みなのでしょうか。また、MEMSの導入が進む背景についても解説します。
MEMSとは
前述のとおり、MEMSとは、マンションで使用する電力の消費量を計測・見える化し、電気機器類をコントロールすることで電力需要のピークを低く抑えるためのシステムのことをいいます。スマートマンションでは、共用部や専有部にMEMS機器を設置することで、マンション全体の電力使用量を見える化することが可能です。MEMSが集めたデータを活用すれば、建物全体のエネルギー消費量をコントロールすることができます。
MEMSを導入しているスマートマンションでは、各家庭で個別に電気契約をするのではなく、すべての入居者が一括で電気契約(一括受電契約)を結びます。MEMSと一括受電契約を組み合わせることで、電気料金を抑制できることがメリットです。
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MEMSの導入が進む背景
MEMSの導入が進んだ背景として、経済産業省が2013年から2015年にかけて実施していた「スマートマンション導入加速化推進事業」による補助金制度があります。この補助金制度はすでに終了していますが、スマートマンションの考え方や理解が進み、普及を後押ししました。新築マンションだけでなく、既存のマンションでの導入も進みました。スマートマンションは関東地方や関西地方の大都市圏を中心に普及が進んでいましたが、補助金制度の効果で地方でも徐々に普及し始めています。
また、電気料金の値上がりもMEMSの導入が進んだ理由のひとつです。2010年から2014年の5年間で家庭向け電気料金の平均単価は約25%も上昇しています。その後、原油価格の下落により2016年は電気料金は下がったものの、2017年からは再び上昇傾向となっています。電気料金が値上がりしている要因は、燃油価格の上昇と再生可能エネルギー発電促進賦課金の負担増です。今後も値上がりが続くと予想されることから、電気料金を抑えるためにMEMSを導入する動きが活発化しているのです。
さらに、いつ発生するかわからない大地震や頻発する水害などによる停電への備えとして、太陽光発電や蓄電池の設置を検討するマンションも多くなっています。災害に強いマンションが実現すれば、不動産としての資産価値向上も期待できるでしょう。

スマートマンションの導入事例
実際に、MEMSを導入したマンションでは、どのような効果があったのでしょうか。ここでは、スマートマンションの事例を紹介します。
「プラウド鎌倉岩瀬」の導入事例
神奈川県鎌倉市に建設された「プラウド鎌倉岩瀬」では、専有部に消費電力の平準化を促すための「スマートプラン」が導入されています。30分ごとに使用した電力量に応じて料金単価が決まる仕組みで、マンション全体でのピーク抑制を実現可能にしました。また、電気使用量を確認できる専用のホームページも開設され、電気使用量の見える化にも取り組んでいます。
共用部分では、一部の設備に太陽光発電と蓄電池による電気を供給し、停電などの非常時にも対応できるようにしています。さらに、太陽光発電による電力を売電に回すことで、共用部の電気料金割引を行っていることも特徴です。マンション内で蓄積されたエネルギーの使用データは「プラウドMEMS管理センター」に集められ、データをもとにサービスの向上につなげることもできます。
「Tステージ豊栄町スカイレジデンス」の導入事例
愛知県豊田市に建設された「Tステージ豊栄町スカイレジデンス」は、節電や省エネに取り組む環境配慮型マンションです。太陽光発電や電気自動車用の充電設備も備え、環境に配慮した暮らしを実現できます。さらに、防災倉庫も設置され、防災対策にも取り組んでいることが特徴です。
また、各家庭に電力マネジメントサービスを提供し、電力使用量の見える化を実現しました。30分ごとの電気の使用状況が確認でき、節電に協力すれば翌年の電気料金の割引率が上がる仕組みです。節電に協力することで割引率がアップするため、各家庭で節電に取り組みやすいシステムとなっています。節電の目的が明確に設定されていることで節電意識が高まることが予想され、平均13%という高い節電効果が期待されています。

スマートマンションの普及でエネルギー使用をより効率的に!

スマートマンションが普及すれば、マンション全体でエネルギーの消費量を抑えることが可能になります。さらに、太陽光発電システムや蓄電池の設置により、災害などで停電が発生しても、電力を確保しやすくなります。また、節電や再生可能エネルギーの利用により、生活水準を維持しながら環境に配慮することも可能です。社会全体で温室効果ガス削減を目指すためにも、スマートマンションの役割は大きいといえるでしょう。
