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日本の再生可能エネルギー割合は22.4%、今後もさらに拡大へ

  • ESG投資
日本の再生可能エネルギー割合は22.4%、今後もさらに拡大へ

日本の全発電量に占める再生可能エネルギーの割合は年々増加しています。昨今はウクライナ戦争の長期化などで電力業界の混乱が続いていますが、政府が2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を目指す以上、再生可能エネルギーの主力電源化は避けられません。マンションやアパートへの太陽光発電設置がさらに進み、再生可能エネルギー(以下再エネ)拡大の波が今後も続きそうです。

再エネ発電量は着実に増加

街を歩けばあちこちの民家やビルに太陽光発電が設置されているのを目にします。太陽光発電など再エネは、この10年ほどでとても身近な存在になりましたが、現状はどうなのでしょうか。

多種多様化する再エネ

再生可能エネルギー、いわゆる再エネについては多くの国内法でさまざまな定義がされていますが、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律では、「陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されています。発電時に二酸化炭素をほぼ排出しない地球にやさしいエネルギーです。
主なものは太陽光発電のほか、水力発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電など。さらに、水素発電やアンモニア発電など次世代の再エネについて実用化に向けた研究開発が急ピッチで進められています。


参考記事:「再生可能エネルギーの種類、それぞれの特徴やメリット・デメリットは?」

2021年の再エネ割合、前年の1.6ポイント増

環境エネルギー政策研究所によると、2021年の自家消費を含めた国内全発電量に占める再エネの割合は22.4%でした。前年の20.8%から1.6ポイント増加しました。内訳は太陽光発電が9.3%(対前年比0.8ポイント増)、バイオマス発電が4.1%(同0.9ポイント増)、風力発電は0.87%でほぼ前年並み、水力発電は7.8%で前年よりわずかに減っています。 再エネの割合は2014年に12.1%でしたが、毎年1ポイントずつ増えて22%を超えました。東日本大震災後に国の固定価格買取制度がスタートし、再エネ由来の電力が高値で売れるようになったことが影響しています。

再エネ設備容量世界ランク6位、太陽光3位

経済産業省は他国との比較可能な2019年度のデータを用い、再エネ発電設備容量が世界第6位、太陽光発電が世界第3位であることを公表しています。再エネ発電設備容量は中国、米国、ブラジル、インド、ドイツ、太陽光発電は中国、米国に次ぐ位置にいるというわけです。

再エネ割合の比較では欧州に遅れ

しかし、日本の2019年度の再エネ割合が18.0%なのに対し、欧州主要国のイタリアは39.7%、スペインは38.2%、ドイツは35.3%、英国は33.5%と大きく引き離されています。原子力発電への依存度が高いフランスも19.6%で日本を上回っています。

再エネ急拡大のひずみまざまざと

再エネが急拡大するなか、日本では2016年、電力小売りの全面自由化がスタートしました。しかし、エネルギー価格の高騰やロシアのウクライナ侵攻もあり、そのひずみがあちこちに出ています。詳しく見ていきましょう。

再エネ支える火力発電に危機

最大の問題といえるのが電力不足です。特に電力需要が高まる夏と冬はぎりぎりの発電量となり、政府や電力会社が節電を呼び掛ける異常事態になっています。
電力は需要と供給のバランスが崩れると大規模停電が起きる可能性があります。太陽光発電や風力発電は昼夜や気象条件で発電量が変動するため、その需要と供給のバランスを取る役割を火力発電が果たしていたのです。
ところが、火力発電は終日フル稼働しなければ、なかなか採算が合いません。電力自由化で競争が激化した電力大手が次々に採算の取れない火力発電を廃止しました。その結果、電力不足が発生しているのです。

系統制約の解消も課題に

電力が足りない地域が出たら、余っている地域から融通すればいいと考えるかもしれません。しかし、日本は電力自由化まで電力大手が管轄地域の電力供給に責任を持つ体制を続けてきました。このため、需給バランスの管理をエリア内で完結させてきたのです。
関西電力と中国電力、東京電力と中部電力など隣のエリア同士はつながっていますが、流せる電力量が限られています。このため、簡単に融通できないわけで、これを系統制約と呼びます。

新技術登場にはまだ時間が必要

電力不足解消のため、新技術に期待する人もいるでしょうが、登場にはまだ時間が必要です。蓄電池は電気を貯めることで発電量の変動が需要と供給のバランスを崩さないようにする役割が期待されています。ようやく普及が広がり始めましたが、コスト面の課題が残っています。
水素やアンモニアといった新しいエネルギーは実用化に向けた開発段階で、現在の苦境を打開する役目は期待できません。系統制約の解消と多様なエネルギーの組み合わせで乗り切るしかないのが現状です。

時代の流れが再エネを後押し

電力業界が大きな混乱に包まれているとはいえ、時代の流れは再エネを後押ししています。その事例を集めました。

岸田政権もカーボンニュートラルを堅持

「日本は2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に向け、クリーンエネルギーを大胆に導入する」。6月に米国で開かれたエネルギーと気候に関する主要国フォーラムに岸田文雄首相はビデオメッセージを送り、再エネ推進の姿勢をあらためて強調しました。
カーボンニュートラルは菅義偉前首相の時代に決定されました。後任の岸田政権もこの姿勢を堅持することを国際公約したわけで、政府の再エネ推進姿勢が揺るがないことを内外に示した格好になりました。

地方自治体が相次いで太陽光設置義務化

新築建築物などへの太陽光発電設置を義務づける地方自治体が増えています。京都市は2020年、延べ床面積300平方メートル以上2,000平方メートル未満の新築、増築建築物に対し、太陽光発電など再エネ設備の設置を義務づける条例改正をしています。
京都府も同様の制度をスタートさせているほか、東京都や川崎市が条例制定に動いています。自治体が独自の判断で再エネ推進の旗振り役を務めているのです。

マンション大手などZEHに本腰

マンション全体で無理のない節電を進めるスマートマンション、省エネと再エネ設置でエネルギー収支をゼロ以下にするZEH(ゼッチ)マンションなどを建設する動きが、住宅業界で広がっています。住宅大手のなかにはZEH仕様を標準とするところが相次いでおり、業界全体へ広がりそうな状況です。


参考記事:「物件の価値も急上昇!ゼッチマンションのメリットと評価基準」

参考記事:「スマートマンションとは?MEMSの仕組みやスマートマンション導入事例を紹介」

不動産経営の太陽光、売電から自家消費へ

国の固定価格買取制度による再エネ由来電力の買取価格は年々下がっていますが、太陽光発電を設置するとしたらどう活用すればいいのでしょうか。

FIT価格が年々低下

経済産業省によると、2022年度太陽光発電の買取価格は出力10キロワット未満の住宅用で1キロワット時当たり17円、10キロワット以上の産業用なら11円です。買取価格は年々、低下しています。
固定価格買取制度が始まった2012年度は、住宅用で1キロワット時当たり42円、産業用で40円+税の高値で買い取ってくれました。売電で大もうけできる時代が過ぎ去ったわけで、太陽光投資は終わったとする声も聞こえます。

参考記事:「マンション経営のメリット、デメリット、太陽光発電が空室リスク回避に力」

空室リスク解消にも力

マンションやアパートに太陽光発電を設置するメリットは自家消費に移ったと考えていいでしょう。「環境にやさしいマンション」という言葉は、入居者確保に大きな力となってくれます。
非常用電源に活用すれば、災害に強いマンションをアピールできます。ほかに共用部電力への使用による共益費削減も考えられます。売電以外にも太陽光発電の使い道はたくさんあるのです。
→22_「太陽光発電 メリット」の記事へリンク


参考記事:「太陽光発電のメリットとデメリット、見逃しがちな設置後の課題も解説!」

再エネの魅力は今後も変わらず

現在は太陽光発電が急成長したひずみがあちこちに見られますが、蓄電池や水素技術などが進化すれば、再エネの活用がさらに広がりそうです。マンションやアパート経営でも太陽光発電は大いに力を発揮してくれます。電力業界の混乱が続いても再エネの魅力が低下したわけではないのです。