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近い将来不動産業界は、SDGsと切っても切れない関係に

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近い将来不動産業界は、SDGsと切っても切れない関係に

国際連合が推奨する持続可能な開発目標(SDGs)が、徐々に社会へ定着しています。不動産業界も同様で、国土交通省や業界団体などの音頭で環境にやさしい建物の販売や持続可能を意識した活動が芽生えてきました。近い将来、これらの活動が当たり前の時代が来るでしょう。SDGsと不動産業界の関係をみていきましょう。

SDGsって何だろう?

SDGsは2015年の国連サミットで全加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ(行動指針)」で掲げられました。その内容から紹介します。

17の目標と169のターゲット

SDGsは2030年を達成期限と定めた17の目標と169のターゲットで構成されます。17の目標には飢餓や貧困、差別の解消、経済成長、気候変動対策、平和の追求など21世紀の世界が抱える課題を包括的に挙げています。

169のターゲットは17の目標をより具体的にしたものです。例えば、「飢餓をゼロに」という目標に対しては、「すべての人々が安全で栄養のある十分な食料を得られるようにする」「女性や先住民、家族経営の農家・牧畜化・漁家の生産性と所得を倍増させる」「持続可能な食料生産システムを確立する」などが並んでいます。

地球の危機が背景に

SDGsが掲げられた背景には、地球の危機があります。20世紀に先進国がひたすら豊かさを追求するなかで、環境破壊や地球温暖化が進行しました。途上国の人口爆発は世界で食料や水の不足を招きかねない事態になっています。

米ソ冷戦が終わったというのに、地域紛争やテロが各地で後を絶ちません。民族差別や人種差別、女性差別も解消されたといえないのが現状です。国連は今の世界を地球の危機と隣り合わせだと厳しい目で見ています。

不動産業界にも関係が

SDGsの推進は国連や各国政府、地方自治体など公共部門だけで解決できる問題でありません。企業や市民団体、個人が一丸となって対策に当たることが必要です。

不動産業界もその一翼を担うことが求められています。環境にやさしい住宅やビルを建て、環境保全と温暖化対策に貢献するとともに、業界内で差別解消や働き方改革を積極的に進めなければならないのです。

→57_「SDGs 課題」の記事へリンク

国土交通省が省CO2建築を支援

不動産業界のSDGs推進に対しては、国土交通省が2017年度からサステナブル建築物等先導事業などで支援しています。二酸化炭素(CO2)排出を削減する建築物を普及させるのが目的です。これまでにどんな建築物が生まれたのでしょうか。

街区のマネジメントシステム構築

大阪市北区の梅田地区にある複合施設の「グランフロント大阪」は2013年に竣工し、商業やオフィス、ホテルなどが集まって大阪の新名所となりました。街区全体の省CO2マネジメントシステムが導入され、区域内に建設された4棟の建築物を一括管理しています。街区全体を水と緑で結び、ヒートアイランド対策も進めています。

建設には、NTT都市開発、阪急電鉄、三菱地所、積水ハウス、竹中工務店など日本を代表する企業がスクラムを組みました。梅田地区という西日本最大の繁華街に省CO2の広告塔が誕生したことになります。

→63_「グリーンビルディング」の記事へリンク

ハイブリッド外装の超環境型オフィス

東京都中央区で2012年に竣工したゼネコンの「清水建設本社ビル」は、構造体と太陽光パネル、耐震パネルを一体化したハイブリッド外装が話題になりました。創エネルギーと建物の免震化、長寿命化を同時に目指しています。

内部も自然光を最大限に取り入れた照明システム、省エネ運転ナビの導入など先進的な工夫がいっぱいの超環境型オフィスです。清水建設はCO2の50%削減を目指しています。

既存ビルに省エネ機能付与

新築だけでなく、既存ビルに省エネ機能を付与してCO2の排出削減を進める建築物もあります。広島市中区にある複合商業施設の「おりづるタワー」です。2016年完成の改修工事で増築部分にスパイラルスロープやバルコニーなどを設けて日射を遮っています。

内部も3方向にバルコニーか開口サッシ、共用廊下側に通風用の開口部を設け、フロアの全方位に通風が届くようにしています。

中小企業からも多くの事例

SDGsに取り組んでいるのは、大企業だけでありません。中小企業にも多くの事例が見られるようになりました。各社のホームページやニュースリリースから紹介します。

認定低炭素住宅の普及に尽力

神奈川県横須賀市の不動産・住宅会社・ウスイホームは2021年、ウスイグループSDGs宣言を発表し、高い省エネルギー機能を持つ認定低炭素住宅の普及に本腰を入れています。

認定低炭素住宅は2012年に施行されたエコまち法で規定されたもので、高い省エネ機能を持つ住宅を都道府県などが低炭素住宅と認定する制度です。同時に、ウスイホームは建築廃材の減少で中長期的に環境負荷軽減が期待できる長期優良住宅の普及にも取り組んでいます。

清掃業務を障害者に委託

北九州市小倉南区の不動産会社・加来不動産は働きがいがあり、格差のない社会を築こうと、管理物件や駐車場の清掃を市内の障害者就労継続事業所に委託を続け、2020年に福岡県障がい者応援まごころ企業に認定されました。

さらに、障害を持つ人もない人も等しく大切にされる街にするため、誰もが暮らしやすい社会づくりを推進する団体のパートナー企業を務めています。

住宅再利用で木材の有効活用

愛知県尾張旭市の不動産・リフォーム会社のタカオエステートは、使い捨て時代からの脱却を提唱し、住宅の再利用で木材を有効活用する施策に力を入れてきました。このほか、こども食堂の運営協力や女性の活躍推進に向けた取り組みも積極的に進めています。

不動産業界に新潮流続々と

不動産業界には近年、SDGsの趣旨に合致する新しい潮流が入ってきています。もはやSDGsと切っても切れない関係になろうとしている不動産業界の今をみていきましょう。

ZEHマンションが標準仕様へ

断熱性能の向上と高機能の省エネ機器、太陽光発電の導入でエネルギー収支をゼロ以下にするZEH(ゼッチ)マンションは、分譲マンションの標準仕様になろうとしています。住友不動産、積水ハウス、大和ハウス工業など大手住宅メーカーが相次いで宣言しました。

大京が2019年、兵庫県芦屋市に建設したZEHマンションは各世帯の年間光熱費削減額が約13万円に達しました。優れた環境性能が話題を呼び、今後この流れが中小企業のマンションにも波及しそうです。

→4_「ゼッチマンション」の記事へリンク

→12_「SDGs マンション」の記事へリンク

不動産大手がRE100に参加

事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーでまかなおうとする国際企業連合のRE100に参加する企業も増えています。参加できるのは大企業に限定されていますが、名簿を見ると日本を代表する大企業の名前がずらりと並んでいます。

不動産業界からは、積水ハウスや大和ハウス工業、東急不動産、三菱地所、三井不動産、東京建物、野村不動産ホールディングスが名を連ねています。再生可能エネルギーの利用が一流企業の証明になっているわけです。

→46_「RE100/EP100」の記事へリンク

全日本不動産協会が空き家対策

業界団体の全日本不動産協会は住み続けられるまちづくりを目指して空き家対策に力を注いでいます。総務省によると、日本の空き家は急増を続け、2018年には全国約850万戸に上っています。管理が行き届かない空き家は周辺環境に悪影響を及ぼすため、これを解消して健全なまちづくりを進めようというわけです。

SDGsが企業経営に不可欠な存在に

SDGsの推進は今後、企業価値を推し量るポイントの一つになりそうです。不動産業界では大企業、中小企業、個人経営を問わず、取り組むことが求められるでしょう。不動産業界とSDGsは切っても切れない関係になろうとしています。