不動産投資は軌道に乗れば高い利益が得られることもあり、資産運用として高い人気があります。特に近年はほかに本業を持っている、いわゆる「サラリーマン大家」も増えてきており、資産形成の手段として検討している人も多いのではないでしょうか。今回は、不動産投資に失敗しないために、事前に知っておくべきリスクについてお話します。
不動産投資はなぜ「やめとけ」と言われてしまうのか
不動産投資はさまざまな魅力のある投資方法です。にもかかわらず、なぜ「やめとけ」と言われてしまうのでしょうか。
その理由としては、次章でも紹介するように不動産投資には数々のリスクがあることが挙げられます。リスクを回避するためにはさまざまな手を打つ必要があり、必ずしも安定した収入が約束されているわけではありません。また、不動産を所有するということは、建物を管理したり、入居者への対応が必要になったりすることでもあります。こうした手間を考えると、不動産投資は最初に多くの人が想像しているほど「不労」というわけではなく、楽に収入を得られる手段でもないのです。
また、不動産投資はFXや投資信託など別の資産運用と比べると実践している人が少なく、多くの人にとって身近な存在ではありません。そのため情報が少なく、また不良物件を掴まないためにはある程度の勉強が必要です。こうした事情もあり、「不動産投資はよく分からないから危ない」「不動産会社に騙される」といった不安が先行しやすく、その結果「やめとけ」と結論付けられることが多いのです。
マンション経営については、以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
※「#1、6」へのリンク入ります
不動産投資における最悪のリスク
それでは、不動産投資にとって、最悪のリスクとは一体何でしょうか。
不動産投資は資産運用、資産形成ともに効果的な投資手段のひとつです。節税効果も高く、団体信用生命保険に加入すれば生命保険代わりになるというメリットもあります。また、毎月安定した収入を得られるため先の見通しが立てやすく、初心者でも取り掛かりやすいという特徴もあります。もちろん、不労所得を得られるという点も大きな魅力と言えるでしょう。
このように、不動産投資はさまざまな魅力がある投資手段であり、参入を検討している人も多いのではないでしょうか。しかし一方で、不動産投資は全くのノーリスクでできる投資というわけではありません。不動産投資を検討する際はどのようなリスクがあるか、事前によく調べておくことが重要です。
空室リスク
不動産投資における最大のリスクは、まず間違いなく空室リスクでしょう。不動産投資の経験がある人に聞くと、ほぼ誰もが口をそろえる回答だと考えられます。
不動産投資は、購入したアパートやマンションの一室を入居者に貸し出し、家賃収入で利益を上げます。駐車場の貸し出しや敷地内に設置する自動販売機、また屋上に太陽光発電装置を設置するなど、収入を得る方法はほかにもありますが、収入の大部分が家賃収入であることは変わりません。
不動産投資の収入はほぼ入居者の家賃によるため、空室になってしまうとその分の収入がゼロになります。当然ながら、空室で家賃収入がゼロになっている間もローンの支払いや管理費用の支払いは続くのです。月々の収支は赤字になってしまい、自身の収入や貯金から赤字分を補填しなければならなくなります。
空室になっても、すぐに次の入居者が見つかれば損失は少なく抑えられますが、退去のタイミングによってはそれが難しい場合もあります。また、地方や駅から遠い場所、入居ニーズが少ないなど流動性の低い地域では、時期に関わらず入居者を見つけるのが難しいケースも少なくありません。このように長期間空室が続くと、月々のローン返済やキャッシュフローにも大きな影響を及ぼすことになりかねません。
これではせっかく不動産投資を始めても、資産形成どころか損失ばかりが膨らむことになりかねません。不動産投資においてこうした事態を防ぐためには、まず空室を避けることが何よりも重要です。
不動産投資における他のリスク
不動産投資においてまず避けるべきは空室リスクですが、それ以外にも注意しておくべきリスクがあります。その代表的なものをご紹介します。
家賃の滞納リスク
家賃の滞納リスクも、空室リスクと並ぶ大きなリスクの代表例です。たとえ満室であっても、入居者が家賃を滞納してしまえばオーナーの収入は途絶えてしまいます。もし仮に、滞納が何ヶ月にも渡ったり、マンションのいくつかの部屋で同時に滞納されてしまったりしたら、ローン返済やキャッシュフローに影響が出る可能性もあります。
滞納した理由が、ただ家賃の振り込みを忘れてしまっただけなら問題ありませんが、入居者の経済状況が変わったり、そもそも家賃を払う気がなかったりする場合は大きな問題です。特に昨今は経済状況が不安定なこともあり、これまで問題なく家賃を払ってくれていた入居者が、急に困窮するケースもあるため注意が必要です。
リスクの対応策
家賃の滞納リスクを避けるためには、管理会社に入居時の審査を厳しくするよう依頼したり、自分でも経済的な信用がある入居者かどうかをしっかり見極めたりすることが重要です。家賃保証会社への加入を入居条件にするのも効果的な方法と言えるでしょう。不動産価格・家賃の下落リスク
不動産を購入してから時間が経っている場合は、不動産価格や家賃の下落にも注意を払う必要があります。アパートやマンションなどの建物は、時間とともにその価値が下落していきます。当然ながら新築〜築浅時が最も価値が高く、10年も経てば10〜20%も価値が落ちることも珍しくありません。
不動産価値が下落すれば、家賃もそれに合わせて下げざるを得なくなります。そのため、あまり下落幅が大きいとローンの支払いが困難になるケースもあるため注意が必要です。
リスクの対応策
不動産価格・家賃の下落リスクを避けるためには、中古物件を検討するのがおすすめです。中古物件は新築に比べて経年による下落幅が小さく、不動産価値が比較的安定しているという特徴があります。金利上昇リスク
物件購入時にローンを組むことが多い不動産投資では、金利上昇リスクにも注意が必要です。現時点では金融緩和の影響もあり超低金利が続いていますが、中長期的には金利は間違いなく上昇すると考えられます。もし物件購入後に金利が上昇すると、毎月の返済額が大きくなり支払いが困難になることも予想されます。
リスクの対応策
金利上昇リスクの対策としては、まず固定金利を選択するのがおすすめです。変動金利に比べて金利水準は上がりますが、将来的に金利が上昇しても、現在の超低金利水準を維持することができるため、支払い総額を抑えられる可能性があります。また、返済方法を元金均等返済にし、元金返済を低金利のうちに進めてしまうのも有効な方法のひとつです。地震・火災リスク
地震や火災も見逃すことのできないリスクのひとつです。万一大きな地震が起きたり、火災により建物が焼失してしまったりしたら、不動産投資にとって致命的なダメージとなることは言うまでもありません。家賃収入が途絶えるのはもちろん、建物の復旧や撤去などで多額の費用が発生することになります。
リスクの対応策
地震や火災はいつ・どこで起こるか予想できないため、まずは保険に加入することが最大の対策方法となります。保険に加入する際は、どの程度の被害を受けたらどの程度の保証がされるのかを、しっかりと確認しておきましょう。アパート経営については、以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
※「#42、20」へのリンク入ります
不動産投資の際はメリット・デメリットをしっかり理解しよう
ここまで説明したように、不動産投資にはさまざまなリスクがあります。しかし一方で、毎月一定の収益が見込める、節税効果がある、軌道に乗れば資産形成の有効な手段になるなど、多くのメリットを持った資産運用手段であることも確かです。不動産投資を始める際は、こうしたメリットとデメリットを秤(はかり)にかけ、自分に合った資産運用方法なのかをしっかりと検討することが重要です。