不動産投資と一口に言っても、物件の種類はさまざまです。どのような物件を選ぶかによって、得られるメリットや知っておくべきリスクは大きく異なります。そこで今回は、物件の種類ごとに、それぞれ特徴やメリット・リスクなどをまとめました。
一棟投資
一棟投資とはアパートやマンションを一棟まるごと所有して、入居者から家賃収入を得る投資方法です。まるごと一棟と聞くと大規模な投資をイメージしがちですが、実際には戸数の少ない小規模なアパートから、戸数の多い大規模マンションまでさまざまな物件があります。自己資金額や投資の目的に合わせて、幅広い選択肢のなかから選べることが特徴です。
一棟投資のメリット
一棟投資は部屋数が多くなるため、仮に空室が発生しても家賃収入全体に与える影響が小さく、空室リスクを分散させることができるのが大きなメリットです。また、土地と建物を所有していれば、将来的に建物が老朽化しても土地を資産として残すことが可能です。
また、マンションの管理規則や共用部の管理についても、投資家自身がある程度自分で決めることができます。修繕やメンテナンスの実施・積立に対しても、柔軟に対応ができるメリットがあります。入居者のニーズや物件の特性にあわせて設備を投資したり屋上を開放したりするなど、自分のアイデア次第で不動産経営を行うことが可能です。
一棟投資のリスク
一棟投資は物件をまるごと購入するため、他の投資方法に比べて初期投資が高額になる傾向があります。不動産投資ローンを組んで物件を購入するのが一般的ですが、高額ローンとなるため審査に通らないケースもあるでしょう。将来的に発生することになる建物の修繕やメンテナンスにかかる費用も高額になるため、キャッシュフローをしっかりと計画しておくことが必要です。
また、物件を購入したばかりのころは問題がなくても、老朽化が進み物件自体の集客力が低下すると空室が目立つようになります。空室が増えると家賃収入に大きな影響が出るため、空室を減らすため戦略的に経営を行うことが重要です。
不動産投資における物件の選び方については、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
※「#52不動産投資物件選び方 」へリンク入ります
区分投資
区分投資は分譲マンションの一室を購入して、入居者から家賃収入を得る投資方法です。小規模アパートを一部屋単位で売買するケースは稀なため、区分投資といえばある程度大きな規模のマンションの一室を指すのが一般的です。
区分投資はマンションの一部屋から始められるため、手軽さも相まって一棟投資や次に紹介する戸建て投資に比べて高い人気があります。マンションには手頃な物件から設備の整った高額物件、デザイナーズマンションなどさまざまなタイプがあるため、自分の希望に合わせて選べることが特徴です。
区分投資のメリット
区分投資の最も大きなメリットは、初期費用を抑えることができる点です。そのため、不動産投資ローンも無理なく組むことができ、一棟投資と比べると修繕やメンテナンス費用も抑えることができます。キャッシュフローがシンプルになり、管理の手間も軽減されるため、初心者でも始めやすいという特徴があります。
また、一棟投資や戸建て投資に比べて、物件を売却しやすいのもメリットのひとつです。不動産投資を始めても、当初考えていた以上にコストがかかり、手を引いたり、物件を代えて戦略を練り直したいときもあったりするかもしれません。こうした場合にやり直しがきくのは、大きな安心材料となるでしょう。
区分投資のデメリット
一方で、区分投資はマンションの一室(もしくは数室)を運用するため、空室が発生した場合に収入がゼロになる(もしくは大幅に減る)というデメリットがあります。一棟投資に比べると空室リスクが大きく、入居者が長期間見つからない状態が続くと、キャッシュフローにも大きな影響を与えることになります。
また、建物の修繕予定や管理規約については建物を管理している管理組合に従うことになるため、自分の意思で決めることができません。所有するのはあくまでマンションの一室のみで土地は含まれないため、マンションの老朽化や地価の変動などによる資産価値の下落が起きやすい点にも注意が必要です。
マンション経営については、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
※「#1マンション経営」へのリンク入ります
戸建て投資
戸建て投資とは、戸建て住宅を購入し、入居者から家賃収入を得る投資方法です。新築の戸建てはマイホームとして建てられるケースが多いため、投資用の戸建てとは、通常は中古物件を指します。
戸建て物件の入居者は子供のいるファミリー層がほとんどですが、なかには楽器を演奏したい、ペットを飼いたいといった理由で戸建てを希望する入居者もいます。戸建て物件はこうした特異な要望にも対応しやすいため、常に一定の需要があるという特徴があります。
戸建て投資のメリット
戸建て物件はアパートやマンションに比べると物件数が少なく、特に都市部では希少でかつ一定のニーズがあることから入居者が決まりやすい傾向です。不動産投資において空室リスクが低いのは、非常に大きなメリットといえるでしょう。また、ファミリー層がターゲットとなる戸建て物件は、アパートやマンションに比べて入居者が長期間住んでくれる傾向にあります。
また、戸建て物件は基本的に土地を一緒に所有するため、将来的に建物が老朽化して解体することになっても、新しい建物を建てられます。そのほかにも、土地を売却したり駐車場にしたりするなど、さまざまな活用方法が考えられるのもメリットです。
戸建て投資のリスク
戸建て物件はアパートやマンションに比べて広く部屋数も多い傾向にあるため、入居者が退去した後の修繕費やリフォーム、また定期的なメンテナンス費用が高額になる傾向にあります。そのため、アパートやマンション以上に物件の状態を細かくチェックし、将来的な修繕に備えてしっかりと資金を積み立てておくことが必要です。
また、都市部であれば戸建て物件は希少性が高く入居者が決まりやすい傾向にありますが、地方の場合は物件数に比べて需要が少ないことが難点です。そのため、地方の戸建て物件は一度空室が発生してしまうと客付けが難しく、空室リスクが高まるおそれがあります。
不動産投資のリスクについては、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
※「#61不動産投資やめとけ 」へリンク入ります
その他の不動産投資の種類
不動産投資といえば先に紹介した「一棟投資」「区分投資」「戸建て投資」の3つが一般的ですが、それ以外にも以下のような投資方法があります。
駐車場・駐輪場
土地を駐車場や駐輪場として整備し、運用するのも不動産投資の方法のひとつです。駐車場や駐輪場は建物を建てる必要がないため、初期費用を抑えることができるメリットがあります。一方で、戸建てが多く各家庭に駐車場が付帯しているようなエリアでは需要があまりなく、収入につながらないケースもあるでしょう。駐車場や駐輪場として運用する場合は、その地域に本当にニーズがあるか、事前に調査が必要です。
民泊・シェアハウス
所有している物件をシェアハウスとして複数の入居者に賃貸したり、観光客を対象に民泊施設として貸したりする投資方法です。いずれも通常の賃貸物件に比べて高い賃料を設定できるため、利回りが高いというメリットがあります。一方で、収入が安定しづらい点やトラブルが発生しやすい点に注意が必要です。
J-REIT(不動産投資信託)
J-REITは投資信託のひとつで、ファンド会社が投資家から集めた資金で投資物件を運営し、家賃などから得られる利益を投資金額に応じて分配する仕組みです。数万円程度と他の不動産投資に比べて少額から始めることができ、管理の手間もかからないメリットがあります。
自身の投資内容に合わせた物件を選ぶことが重要
ここまでご紹介したように、不動産投資にはさまざまな種類があります。投資を成功させるためには、それぞれの特徴を理解し、ご自身の自己資金額や投資の目的に合わせた物件を選ぶことが重要です。