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ネットゼロとは?カーボンニュートラルとの違いや世界の取り組みを紹介

  • ESG投資
ネットゼロとは?カーボンニュートラルとの違いや世界の取り組みを紹介

ニュースや新聞などで「ネットゼロ」や「カーボンニュートラル」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。ネットゼロは、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする取り組みのことをいいます。カーボンニュートラルとも似ていますが、同じ意味なのでしょうか。また、ネットゼロを実現するために、世界ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。今回は、ネットゼロとは何か、ネットゼロを実現するための目標や取り組みについて解説します。

ネットゼロとは?

ネットゼロとは、大気中に排出される温室効果ガスと大気中から除去される温室効果ガスが同量でバランスが取れる状況のことを指します。具体的にどのような取り組みが行われているのでしょうか。また、カーボンニュートラルの違いについても解説します。

温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること

ネットゼロとは、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの排出量から、自然に吸収される量を差し引いて排出量を実質ゼロにすることです。温室効果ガスの排出量は完全にゼロにすることはできません。そこで、温室効果ガスの排出量を自然に吸収される量と同じにすることで、正味ゼロを目指しているのです。2021年4月時点では、日本やEU諸国、イギリス、アメリカなど125カ国と1地域が2050年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言しています。
ネットゼロを実現するための取り組みとして、ZEB(ゼブ)やZEH(ゼッチ)などの開発も進められています。ZEB(ゼブ)「Net Zero Energy Building(ネットゼロエネルギービル)」とは、省エネや創エネによりビル内で消費するエネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。同様に、ZEH(ゼッチ)「Net Zero Energy House(ネットゼロエネルギーハウス)」も温室効果ガスの排出量削減を目指した住宅のことをいいます。ネットゼロの実現に向け、まずは人が活動する建物から変えていこうという取り組みです。

参考記事:「物件の価値も急上昇!ゼッチマンションのメリットと評価基準」


参考記事:「スマートマンションとは?MEMSの仕組みやスマートマンション導入事例を紹介」


ネットゼロとカーボンニュートラルの違い

カーボンニュートラルもネットゼロと同じ意味で使われている言葉です。ネットゼロのnetには「正味」という意味があり、温室効果ガスの排出が正味ゼロの状態を示します。一方、カーボンニュートラルのcarbonは「炭素」、neutralは「中立」という意味で、温室効果ガスの排出量と吸収量が中立している状態のことをいいます。どちらも同じような意味なので、厳密な使い分けはされていません。

参考記事:「カーボンニュートラルとは何?用語や現状を分かりやすく解説」

ネットゼロを目指すための国際的な枠組み

ネットゼロを実現するためには、世界各国が協調して温室効果ガスの削減に取り組まなければなりません。そのため、さまざまな国際的枠組みがつくられました。ここでは、ネットゼロを目指すための国際的な枠組みを紹介します。

パリ協定

パリ協定は、2015年に開催された「第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)」で採択された気候変動問題に関する国際的な枠組みです。パリ協定では、以下のような長期目標が掲げられました。
・世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
・そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる
パリ協定では先進国だけでなく、途上国にも排出削減の努力が求められています。世界各国が協力して取り組むことで、温室効果ガスの効果的な削減が期待できるのです。

COP26

2021年には「気候変動枠組み条約締約国会議」の第26回目(COP26)が開催され、パリ協定の実施に向けた具体的な目標について意見が交わされました。パリ協定では平均気温の上昇幅を2℃より十分低く保つことが目標とされましたが、1.5℃に抑えるべきだという意見が出てきました。そのため、COP26では、1.5℃を目標とすることが合意文書に盛り込まれています。
さらに、パリ協定第6条を実行に移すための具体的なルールも整備されました。今後は、COP26で掲げられた目標の実現に向けて、国や自治体、民間企業がより具体的な施策を打ち出す必要があります。

Race to Zero(ゼロへのレース)

Race to Zero(ゼロへのレース)とは、非政府機関に対し2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すことを求めた国際キャンペーンのことです。2020年6月、UNFCCC(国連気候変動枠組み条約事務局)が発表しました。自治体や企業、投資家、大学などが参加し、ネットゼロの実現を目指しています。

ネットゼロ・コアリション

ネットゼロ・コアリションとは、2050年までにネットゼロを達成するための世界的な協力体制の構築を目指す枠組みのことです。パリ協定の参加国に対し、より積極的な行動を求めています。

カーボン・オフセット

カーボン・オフセットとは、温室効果ガスの排出量削減の努力をしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った削減活動に投資するという考え方のことです。ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなどで、取り組みが広がっています。

カーボンネガティブ

カーボンネガティブとは、温室効果ガスの排出量よりも吸収量が上回る状態を意味します。ネットゼロよりも積極的な取り組みとして注目されており、アメリカマイクロソフト社などが取り組んでいます。

ネットゼロの実現に向けた日本と世界の現状

ネットゼロの実現に向けた各国の取り組みは、どれほどの効果が出ているのでしょうか。ここでは、ネットゼロ実現に向けた日本と世界の現状を解説します。

日本の温室効果ガス排出量

日本では、2011年に発生した東日本大震災以降、温室効果ガスの排出量が増加しました。しかし、2013年度から徐々に減少し、2018年度には12.4億トンまで減少しています。そのうち、エネルギー起源の二酸化炭素排出量は85.4%を占めており、ネットゼロを実現するためには再生可能エネルギーによる発電量を増やすことが求められます。

ネットゼロに向けた世界の現状

温室効果ガスの排出量は、先進国では少しずつ減少しているものの、新興国の排出量は増え続けています。そのため、世界全体でみると増えているのが実状です。
2019時点での温室効果ガス排出量は中国が最も多く、全体の29.5%を占めています。次いで、アメリカ(14.1%)、インド(6.9%)、ロシア(4.9%)、日本(3.2%)の順となっており、全体の半分以上を先進国が占めている状況です。
日本を含め、排出量の割合が高い国では、排出量削減に向けた努力が一層求められます。

ネットゼロ実現のための取り組み

ネットゼロ社会を実現するためには、行政や企業、家庭での取り組みが重要です。それぞれ、どのような取り組みが行われているのかを解説します。

行政の取り組み

2020年、菅義偉首相は臨時国会の所信表明演説において、2050年までに国内の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする方針を表明しました。菅首相の宣言を受け、国は「国・地方脱炭素実現会議」を設置、ネットゼロの実現に向けて地方自治体や企業などとともに脱炭素方針の検討を行っています。
さらに、ネットゼロ実現には再生可能エネルギーの利用が欠かせません。国や自治体では再生可能エネルギーの普及に向けた補助金や支援制度を整備し、再生可能エネルギー利用のさらなる拡大を目指しています。

企業の取り組み

菅首相の「2050年のカーボンニュートラル宣言」以降、多くの企業がネットゼロを目指すことを公表しました。
ヤクルト本社は「環境ビジョン2050」を策定し、環境負荷ゼロ経営に向けた具体的な目標や行動計画を公表しています。富士通ゼネラルも2025年までにグループ全体での温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを公表しました。

家庭での取り組み

家庭での取り組みとして活用が進んでいるのが、太陽光発電による自家発電です。自宅で使う電力を再生可能エネルギーでまかなうことで、二酸化炭素の排出量を削減することができます。また、再生可能エネルギーによる電力を供給している事業者から電力を購入する方法もあります。電気料金メニューを切り替えるだけで実現できるため、手軽に貢献することが可能です。
さらに、節電や省エネ家電への買い替え、電気自動車の利用など、家庭でできる取り組みはさまざまあります。

太陽光発電はネットゼロの実現に有効

温室効果ガスの排出量削減は、各国が協力して取り組まなければならない課題です。これまで、さまざまな国際的枠組みが設定されてきましたが、実現するためには企業や個人の努力も必要です。日本でも多くの企業がネットゼロの実現に向けた目標を公表しています。
また、家庭でも太陽光発電を設置すれば、二酸化炭素を排出しない方法で電力を利用できます。ネットゼロの実現に向けた取り組みとして、太陽光発電の利用を検討してみましょう。