安定した不動産経営を行うためには、賃貸需要の高いエリアに物件を購入することが大切です。とはいえ、必ずしも自分のよく知っているエリアに理想的な投資物件が見つかるわけではなく、賃貸需要をどのように調べればいいか悩んでいる方も多いでしょう。この記事では、賃貸需要の調べ方や、賃貸需要の高い物件の特徴などについてまとめました。
賃貸需要とは
賃貸需要とは、不動産を購入しようと検討しているエリアや物件自体にどれだけの需要(入居ニーズ)があるかを示す言葉です。賃貸需要が高いということは、それだけ入居を希望している人が多いと判断することができます。
不動産投資における収入には、入居時の礼金や駐車場料金、アンテナ基地や自動販売機の設置料金などさまざまなものが考えられます。しかし、収入の大部分を占めるのは、入居者から毎月支払われる家賃です。そのため、入居者が退去して空室になってしまえば、翌月からその部屋の収入はゼロになります。また、すぐに入居者が見つかれば問題はありませんが、何ヶ月にも渡って空室の状態が続いたり、空室の数が増えたりする可能性もあります。家賃収入が滞れば、ローンの返済計画や長期的なキャッシュフローにも大きな影響を与えることになるでしょう。
不動産投資において、空室はできる限り避けるべきものです。賃貸需要の高いエリアに物件を購入すれば、それだけ入居付けしやすくなり空室リスクを減らすことができます。逆に、いくら立派であっても賃貸需要の低いエリアにある物件は入居付けが難しく、空室リスクが高くなるため不動産経営が難しくなります。
こうした事情を踏まえると、賃貸需要は投資物件を購入する際に決して無視できない指標といえるでしょう。物件購入を検討する際は、地域やその物件自体の利便性、住みやすさをしっかりと調査し、賃貸需要を把握することが大切です。賃貸需要が高く、空室リスクの低い物件を選ぶことが、安定した不動産経営につながるでしょう。
アパート経営については、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
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賃貸需要の調べ方
賃貸需要はどのようにして調べればいいのでしょうか。賃貸需要は物件の種類や立地などによっても大きく変わりますが、一般的な需要の調べ方としては以下のような方法があります。
大手の不動産情報ポータルサイトで調べる
全国の賃貸物件情報を取り扱っているような大手のポータルサイトでは、不動産投資を行う人のための情報ページが用意されていることがあります。代表的なのは「LIFULL HOME‘S」や「SUUMO」などですが、こうしたサイトでは都道府県や市区町村などエリア別に全国の空室率を確認することができます。
同じ市区であってもエリアによって空室率には差があり、隣の市に移動するだけで空室率が10%以上変動するケースも稀ではありません。不動産購入を検討する場合は、こうした数字をよく確認して、賃貸需要の高いエリアを見極めることが重要です。
また、不動産情報ポータルサイトのなかには、空室率のほかに地域別の想定利回り、物件数、地価公示、人口、人口増減、家賃相場などの情報がまとめられているものもあります。特に、人口やその増減は賃貸需要を測る重要な指標となります。
人口動態統計を確認する
賃貸需要を調べるときは、そのエリアの人口の動きに目を向けることも有効な方法のひとつです。転入が多く人口が増えている市区町村は、住む場所を探す人が多くなるため賃貸需要が高くなります。逆に、転出などで人口が減っている市区町村は賃貸需要が低いと推測できるでしょう。
人口の動きは、先に紹介した大手の不動産情報ポータルサイトでも確認できますが、より詳細な情報を確認する場合は市区町村の「人口動態統計」を確認することをおすすめします。「人口動態統計」には、その市区町村の出生数や死亡数、婚姻件数、離婚件数が示されています。単純な人口の増減だけでなく、ファミリー層や高齢層などどういった層の人口が増えている、または減っているのかをある程度推測することができるのです。こうした情報をもとに、ターゲットに合わせた物件を購入することで、より戦略的な不動産経営が可能になります。
当該地域の不動産業者へ問い合わせる
その地域の不動産業者に直接問い合わせることも、賃貸需要を探るおすすめの方法のひとつです。昔から営業を続けているような地域密着型の不動産業者であれば、当然その地域の賃貸需要には詳しいでしょう。どんな人が多く住むエリアなのか、家賃相場はどのくらいなのかなどさまざまな情報を持っています。インターネットだけに頼って調査するよりも、より有益な情報を効率よく得ることができます。
アパート経営で失敗しないためのポイントについては、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
※「#20アパート経営失敗」へのリンク入ります
賃貸需要が高い物件とは
安定した不動産経営を行うためには、空室リスクが低く賃貸需要の高い物件を選ぶことが重要です。一般的に賃貸需要が高い物件の特徴を以下にまとめました。
駅近の物件
基本的に都市部では、JRや地下鉄などの駅から近い物件が好まれます。アクセスを考えると徒歩10分くらいまでが目安となり、徒歩15分を超えるような物件は大幅に賃貸需要が下がってしまうでしょう。
ただ、車移動が中心となる地方では必ずしも駅に近いことが重要ではなく、次に紹介する利便性の高さのほうが優先される傾向にあります。
利便性が高い物件
周囲に生活に便利な施設が多いなど、利便性の高さも物件の賃貸需要を決める重要な要因のひとつです。コンビニやスーパー、銀行、病院のほか、ファミリー層向けの物件では小学校や大型のショッピングセンターなどが充実していると賃貸需要が高くなります。
特に地方では大型ショッピングセンターの需要が高く、それだけで地価が動くケースもあります。地方の物件の購入を検討する際は、特にこうした利便性の高い施設が近くにあるかを確認することをおすすめします。
築浅の物件
マンションやアパートの築年数にこだわる入居者は少なからず存在します。そのため、築年数の新しいアパートやマンションはそれだけで高い賃貸需要が期待できる物件といえるでしょう。
新しい物件は見た目がきれいなだけでなく、設備も新しいため快適で、故障などのトラブルも少ない傾向にあります。また、断熱性に優れ電気代の節約になったり、耐震性に優れているため安心して暮らせたりすることもメリットです。単純に築年数が新しいだけでなく、こうした快適に暮らせる物件であれば、更に賃貸需要が高まるでしょう。
ニーズに合った設備・間取りの物件
賃貸需要は立地や利便性、築年数だけでなく物件に付帯している設備や間取りによっても大きく左右されます。例えば、どんなに駅近で築浅の物件でも、単身者の多いエリアに2LDK以上の広い物件を購入してしまっては入居付けに苦労することになるでしょう。単身者の多いエリアならワンルームや1LDKなどの間取り、またファミリー層が多いエリアなら子供部屋が作れるような2LDK以上の間取りのほうが賃貸需要は高いといえます。
また設備も同様で、単身層をターゲットにしているのであれば宅配ボックスやオートロックのニーズが高いと考えられます。ファミリー層向けの物件であれば、システムキッチンや子供が騒いでも大丈夫な防音設備などがニーズに合致しているでしょう。入居者のニーズに合った設備は他の物件との差別化になるため、賃貸需要を高めることにつながります。
不動産投資における物件の選び方については、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
※「#52不動産投資物件選び方」へのリンク入ります
空室リスクを軽減するためにも、賃貸需要はしっかりと見極めて
ポータルサイトや人口動態統計、不動産業者など、賃貸需要を調べる方法はいくつかあります。重要なのは、こうした情報だけで判断するのではなく、実際に現地へ足を運び、賃貸需要があると判断した物件を選ぶことです。空室リスクを軽減するためにも、賃貸需要はしっかりと見極めることが大切です。