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マンションのエレベーター点検、安全のためにオーナーが知っておくべきポイントを解説

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マンションのエレベーター点検、安全のためにオーナーが知っておくべきポイントを解説

マンションの管理業務にはさまざまなものがありますが、なかでもエレベーターの点検は入居者の安全にかかわる重要な業務です。この記事では、エレベーターの検査について、その内容や業者の選び方、管理契約の種類について解説します。

エレベーターの検査について

マンションにおけるエレベーターの検査には「定期検査報告(または性能検査)」と「保守点検」の2つがあります。それぞれ、以下のような違いがあります。

定期検査報告

「定期検査報告」とは、マンションやビル、病院など多くの人が利用するエレベーターに対して定期的に安全検査を行い、その結果を特定行政庁に報告することを義務付けるものです。特定行政庁とは、建築主事を置く地方公共団体やその長、または建築主事のいない市町村については都道府県知事のことを指します。建物の所有者や管理者が利用者の安全を守るために必ず行わなければならない、重要な検査といえるでしょう。

定期検査報告はエレベーターなどの昇降機だけでなく、建築物(建物自体、敷地)や建築設備(照明や給排水など)、防火設備(防火扉や防火シャッターなど)など建物に対する全般的な安全を確認するための検査であることが大きな特徴です。

定期検査報告の頻度は特定行政庁により異なりますが、おおむね6ヶ月~1年ごとに検査報告を行うこととされています。この検査を怠ったり、虚偽の報告を行ったりした場合、違反者には100万円以下の罰金が科せられることもあるため注意が必要です。検査を行うことができるのは一級建築士、二級建築士、昇降機等検査員などの有資格者に限られており、エレベーターの保守点検を請け負う専門業者に依頼するのが一般的です。

検査対象となるのはマンションやビルなどに設置された多くの人が利用するエレベーターで、家庭に設置されているホームエレベーターなどは対象外となります。また、積載量が1トン以上あり性能検査を受けているエレベーターも対象外となります。

保守点検

「保守点検」とは、エレベーターを安全に運行できるよう駆動部分やバッテリー、乗り場、制御盤などを定期的に点検し、エレベーターの性能を維持するためのものです。保守点検では、一般的に以下のような内容の点検が行われます。

  • 巻上げ機の油漏れ、メインロープの伸びがないかどうか
  • ブレーキの保持力、ブレーキパッドの厚みは十分か
  • バッテリーの変形や液漏れ、発熱などがないか
  • かごや乗り場、制御盤などの動作は正常か

保守点検の実施はあくまで努力義務規定であり、「定期検査報告」や「性能検査」のように法律で義務付けられたものではありません。ただ、保守点検を怠ったことで事故が起こってしまえば、建物の所有者や管理者の責任を問われることになります。特にエレベーターの事故は人の命にかかわるケースもあるため、定期検査報告とともに専門業者に依頼し、確実に保守を行っていくことが重要です。

保守点検を行う頻度は依頼する専門業者によりますが、1ヶ月に1回程度が一般的です。点検を実施できる者については定期検査報告と異なり資格要件はありません。ただし、国土交通省の「昇降機の適切な維持管理に関する指針」では「昇降機に関する豊富な知識及び実務経験に裏打ちされた技術力を有する者」が推奨されています。そのため、経験が豊富で信頼のおける専門業者を選ぶことをおすすめします。

マンション経営については、以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。

※「#1マンション経営 」へリンク

保守点検の業者はどうやって選ぶ?

エレベーターの点検は専門業者に依頼するのが一般的です。具体的にはどのような基準で業者を選べばいいのでしょうか。エレベーターの点検を行う業者は、大きく「メーカー系」と「独立系」の2つに分けられます。

メーカー系とは三菱電機や日立製作所、東芝など、エレベーターの開発・製造を行うメーカーの系列会社を指し、基本的には自社系列のエレベーターだけのメンテナンスを行います。自社系列のエレベーターということもあり、その構造や特性について熟知しており、安心してメンテナンスを任せられることがメリットです。一方で、メンテナンス費用は割高な傾向があります。

独立系とは先に紹介したメーカーの関連企業ではなく、独立してメンテナンスを行っている業者を指し、基本的にはどのメーカーのエレベーターであっても対応が可能です。独立系のメンテナンス業者はメーカー系に比べて費用が安い傾向にあります。業者によっては2~5割ほども低いケースもあり、特にコストを抑えたいマンションオーナーにとっては大きな魅力といえるでしょう。一方で、独立系のなかには点検の実施数など経験値やトラブル時の対応力に不安が残る業者もあることに注意が必要です。そのため、見積り金額だけで判断するのではなく、業者の技術力や経験値などをしっかり吟味して選ぶことが重要です。

不動産投資物件の選び方については、以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。

※「#52不動産投資物件選び方」へのリンク

フルメンテナンス契約とPOG契約

エレベーターのメンテナンスを専門業者に依頼する場合、フルメンテナンス契約とPOG契約の2つの契約形態があります。それぞれの特徴やメリットについて見ていきましょう。

フルメンテナンス契約

フルメンテナンス契約とは、メンテナンス料金のなかに部品交換や修理費用が含まれている契約形態です。メンテナンスにより消耗品の交換や劣化した箇所の修理を行っても別途請求されないため、追加費用の心配をすることなく安心してメンテナンスを任せられます。また、年間でかかる費用があらかじめ把握できるため、キャッシュフローの見通しが立てやすいメリットもあります。一方で、後に紹介するPOG契約に比べると割高になる点に注意が必要です。

一般的に、戸数の多いマンションや高階層のマンションはフルメンテナンス契約を選ぶことをおすすめします。こうした大規模なマンションはエレベーターの使用頻度が多くなるため、それだけ修理や部品交換も増える可能性があるためです。そのため、フルメンテナンスを選んだほうが、結果として費用を抑えられる傾向にあります。

POG契約

POG契約とは、メンテナンス料金のなかに部品交換や修理費用が含まれていない契約形態です。契約料金自体はフルメンテナンス契約に比べて割安ですが、消耗品を交換したり修理を行ったりした場合はその都度オーナーが費用を負担する必要があります。POG契約はフルメンテナンス契約に比べて費用を抑えられる点は魅力ですが、修理のたびに見積もりを依頼したり、費用の工面をしたりといった手間がかかります。

POG契約は、築浅のマンションやエレベーターの使用頻度が少ないマンションにおすすめの契約形態です。こうしたマンションでは保守点検の際も部品交換や修理を行う頻度が少なくなるため、総合的に見るとメンテナンス費用を抑えることができるでしょう。

建物の管理については、以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。

※「#89建物管理」へのリンク

エレベーター点検はマンションの状態や管理内容をしっかり吟味して

エレベーターの点検は業者に委託するのが一般的ですが、点検業者も契約内容もさまざまです。費用の安さだけで安易に選ぶのではなく、マンションの状態や管理内容をしっかりと吟味し、適切な業者と契約を選ぶことが、安全とコストのバランスのよいエレベーター点検を実施することにつながります。

参考:

要約文:
エレベーターの点検は入居者の安全にもかかわる重要な業務で、所有者または管理者が責任をもって行う必要があります。ただし、点検は専門の業者へ委託するのが一般的です。エレベーターの検査について、その内容や業者の選び方、管理契約の種類について解説します。