温室効果ガスを削減するには 排出量世界ランキングの真実
(画像=lapandr/stock.adobe.com)

温室効果ガス削減は多くの国で取り組まれている課題ですが、温室効果ガスそのものがどの国から多く排出されているか知る機会は少ないと思います。その実態を知ることは、温室効果ガス削減の一つの手がかりになります。

各国の温室効果ガス削減の目標と現状

2015年に多国間で合意された気候変動抑制に関するパリ協定では、地球温暖化を防ぐための温室効果ガス削減目標を各国が定めています。

日本

日本は2030年度までに、2013年度比で26%の温室効果ガス削減を目標にしています。これに対し2016年時点で7%が削減され、目標ラインとほぼ同水準で実施されています。

イギリス

イギリスは2030年までに、1990年比で57%の温室効果ガス削減が目標です。これに対し2016年時点で41%の削減実績となっており、目標ラインと同じ水準で実施されています。

アメリカ

アメリカは2025年までに、2005年比で26〜28%の温室効果ガス削減が目標です。これに対し2016年時点で12%の削減実績となっており、目標ラインにはやや追いついていない状況です。

フランス

フランスは2030年までに、1990年比で40%の温室効果ガス削減を目標に掲げています。これに対し2016年時点で18%の削減実績となっており、目標ラインからかなり遅れている状況です。

ドイツ

ドイツは2030年までに、1990年比で55%の温室効果ガス削減の目標になっています。これに対し2016年時点で27%の削減が実行されており、目標ラインからわずかに遅れている状況です。

温室効果ガスの種類

温室効果ガスにはいくつかの種類があり、主には二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどがあります。人間活動を起因とした温室効果ガスの総排出量の内訳は、石油燃料由来の二酸化炭素が65.2%と非常に高い割合を占めています。

他の温室効果ガスではメタンが15.8%、一酸化二窒素が6.2%、フロン類などが2.0%で、いかに二酸化炭素が多いかがわかります。この二酸化炭素をどれくらい削減できるかが、地球温暖化を防ぐカギとなるでしょう。

二酸化炭素排出量世界ランキング

各国の1人当たりの二酸化炭素排出量と、その排出割合は次のようになっています。

国名国別排出量比(%)1人当たりの排出量(t/人)
中国28.26.7
アメリカ14.514.6
インド6.61.6
ロシア4.710.6
日本3.48.9
ドイツ2.28.7
韓国1.811.7
アフリカ合計3.60.95

1位の中国が2位のアメリカのほぼ倍の排出量となっていることは大きな驚きです。ただこれは中国の圧倒的な人口の多さによる部分もあり、3列目にある国民1人当たりの二酸化炭素排出量にも注目すべきです。

国民1人あたりでは顔ぶれが変わる

この国民1人当たりの排出量という数字のほうが、国の規模に即した二酸化炭素排出量と見ることができます。

各種の国際統計を伝える専門サイト、グローバルノートが伝える2018年の国民1人当たりの二酸化炭素排出量ランキングを見ると、その顔ぶれはガラッと変わります。

ランキング国名
1位カタール
2位クウェート
3位ジブラルタル
4位アラブ首長国連邦
5位バーレーン

特に1位のカタールは、2位クウェートの1.5倍も1人当たりの二酸化炭素排出量となっており、突出した存在です。

産油国の二酸化炭素排出問題

この上位のほとんどの国が中東の産油国であり、世界が二酸化炭素を減らすために削減に取り組んでいる化石燃料のまさに供給元です。

カタールのドーハをはじめこれらの国々の都市では、オイルマネーで得た巨額の外貨によって豪華な街づくりが行われ、そこに集まる人々もぜいたくな暮らしをしてきました。巨大な高層ビル群とそれを快適にするための冷房、行き交う多くの車などで大量の化石燃料が使われ、二酸化炭素削減などまったく関心がないように見えます。

しかし温暖化対策は世界的な流れであり、しかも多くの産油国は気温上昇など温暖化の影響を他の地域より強く受ける面もあります。また冒頭で紹介したパリ協定に参加している国もあり、自国の利益優先で二酸化炭素削減に無関心というわけにもいきません。

実際にカタールのドーハでは、2012年に中東・アラブ諸国で開催される初めての国連気候変動枠組条約締約国会議(COP18)が行われ、いくつかの合意もなされました。

しかし、実際に排出量を減らす取り組みや成果が現れてくるのは、これからと考えられます。増え続ける二酸化炭素排出量削減のために、これらの産油国にはより積極的な取り組みが求められるでしょう。

温室効果ガス削減へ日本の責任は大きい

改めて先ほどの二酸化炭素排出量の、国別ランキングを見てみると日本は5位、国民1人当たりの排出量ランキングでは23位です。これは決して排出量が少ない国とは言いがたく、産油国の問題は別として日本自身も二酸化炭素削減に向けて、積極的な取り組みを行うべきでしょう。

またパリ協定で同意した2030年までに26%削減する目標も、現在まで順調に来ているものの国際社会に対する責任において、ぜひとも実現したいところです。

温室効果ガスを日本が削減するために

温室効果ガスを削減するために、日本が具体的に取り組むべき活動は次の2つが考えられます。

省エネルギー化

1つはエネルギー効率の良い車や機械を積極的に導入し、省エネルギー化をさらに推進することです。エネルギーを使う量を減らせば、電力などを作る際に排出される二酸化炭素を減らせるからです。

例えば、工場などで使う設備を省エネルギー性の優れた物にすることで、省エネ化は実現できます。またLED照明や家庭用・産業用ヒートポンプの導入、さまざまな動力を省エネ性の高いモーターに切り替えるなどの対策もあります。特にハイブリッド車を積極的に使うことは、エネルギー消費を減らせるだけでなく、二酸化炭素排出量を直接減らす効果があります。

これは私たちも普段の生活の中で取り組める部分が多く、積極的に行いたい活動です。

エネルギーの低炭素化

もう一つはエネルギー源の低炭素化を進めることで、主に化石燃料や石炭の使用削減です。電力などのエネルギーを作る方法はいくつかありますが、中でも化石燃料や石炭を使う火力発電は、二酸化炭素排出量が多い方法として知られ、多くの国で減らす方向です。

しかし日本は2011年に起きた東日本大震災の影響で全国の原子力発電所が停止し、それによる電力不足を補うため、火力発電の稼働を増やしてきたという事情があります。その結果、二酸化炭素の排出量が増加してしまいました。

さらに原子力発電所の再稼働について、国民の十分な同意がまだ得られない現状では、原子力に代わる二酸化炭素を発生させないエネルギー源を早急に普及させる必要があります。

政府が2018年に発表した「第5次エネルギー計画」では、中長期的な目標として再生可能エネルギーの普及を推進し、脱炭素化した社会では主力のエネルギー源にするとされました。

温室効果ガス削減には再生エネルギーが有効

エネルギーの原料である石油や石炭を輸入に頼っている日本は、エネルギー自給率が低く輸入先の影響を受けやすいという弱点を持っています。この点からも国内で原料調達から発電まで行える、再生可能エネルギーのさらなる整備と普及が急がれます。

実際に東日本大震災以前の2010年度の一次エネルギー国内供給構成は、原子力が11.2%だったのに対し、再生可能エネルギー等は4.4%でした。ところが震災以降原子力は1.4%に急減し、変わって再生可能エネルギー等が7.6%と大きく増加しています。しかしエネルギー源の主軸となるには、まだまだ足りていないのが実情です。

今後は二酸化炭素排出削減とエネルギー自給率向上の両面で、再生可能エネルギーに大きな期待が寄せられています。

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