SDGs
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丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)には、2015年のパリ協定で採択された「世界的な平均気温の上昇を産業化前から2度以内に保つとともに1.5度に抑える努力を追求する」という大きな目標があります。パリ協定では、各国で温室効果ガスの削減目標を定めている状況です。本記事では、目標に向かって世界のエネルギー政策はどのように進展しているのか、現状を探ります。

SDGsはクリーンなエネルギー供給を目指している

SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)で掲げられている17の目標のうち7番目にあたるのが「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」というテーマです。エネルギーがみんなに供給されるだけでなくクリーンなものでなければならないとしています。このテーマの目標は以下の通りです。

「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」
出典:外務省

近代的かつ信頼でき持続可能という意味では、再生可能エネルギーのことを指していることが想定できます。

COPの歴史を振り返る

パリ協定を採択したCOPのこれまでの歴史を振り返ってみましょう。COPの第1回が開催されたのは1995年です。当時の会議では、議定書の採択にはいたりませんでしたが、1997年に京都で行われたCOP3で「京都議定書」が採択されました。採択された内容は、以下の6種類の温室効果ガスに対する先進国の排出削減について法的拘束力を持った数値目標を示すということです。

  • 二酸化炭素
  • メタン
  • 一酸化二窒素(亜酸化窒素)
  • ハイドロフルオロカーボン(HFC)
  • パーフルオロカーボン(PFC)
  • 六ふっ化硫黄(SF6)

2009年のCOP15では「コペンハーゲン合意」が採択にいたります。この会議では「産業化前の水準から世界の平均気温を2度以内に抑えるべく温室効果ガス排出量を大幅に削減することを認識しよう」という政治合意がなされました。2011年のCOP17では「ダーバン合意」が採択されすべての国が参加する新たな枠組みを構築するための作業部会を設置することが決定。

また2015年のCOP21で今の基本行動になっている「パリ協定」が採択されました。パリ協定では、コペンハーゲン合意で採択された産業化前の水準から世界の平均気温を2度以内に抑えることを長期目標にして、さらに1.5度に抑える努力を追求することになったのです。各国は、この目標を達成するために削減目標を5年ごとに提出・更新し従来よりも前進することを示すように求められています。

主要国の一次エネルギー構成比は?

次に主要国の一次エネルギー(加工されない状態で供給されるエネルギー)構成比を見てみましょう。日本原子力文化財団が公表している「原子力・エネルギー図面集」に記載された「主要国の一次エネルギー構成」によると2019年現在、世界で最も構成比の多いエネルギーは石油で33%。次いで石炭28%、天然ガス24%、水力6%、原子力4%、再生可能エネルギー4%の順となっています。

依然として化石燃料(石油・石炭・天然ガス)が85%を占めている現状が浮かぶデータです。水力と再生可能エネルギーを合わせた「自然エネルギー」の比率はわずか10%に過ぎません。同じデータから各国のエネルギー構成比率の特徴を列挙すると以下の通りです。

国名一次エネルギー構成比の現状自然エネルギー比率
中国最も多いのが石炭で59%と過半数を占めます。次いで石油が20%。最も少ないのが原子力の2%です。12%
アメリカ最も多いのが石油で39%ですが天然ガスも31%と比率が高いのが特徴です。最も少ないのが水力で3%。自然エネルギー比率は世界平均以下の9%と遅れています。9%
インド石炭が56%で最も多く、石油が30%で続きます。原子力依存度は1%と主要国の中では最少となっています。7%
ロシア天然ガスが54%と過半数を占めます。次いで石油が22%。自然エネルギー比率はわずか6%です。ロシアは再生可能エネルギーがゼロと残念な状況が続いています。6%
日本わが国の一次エネルギーは石油が41%で主要国の中では韓国に次いで2番目に石油依存度が高くなっています。次いで石炭が26%。自然エネルギー比率は9%とまだまだ低いのが現状です。9%
カナダ石油が32%で最も多くなっています。しかし水力が24%あるため、再生可能エネルギー4%と合わせた自然エネルギー比率は28%と優秀です。28%
ドイツ石油が34%でトップです。しかし再生可能エネルギーが15%と世界平均の4%に比べ高い比率になっています。16%
韓国石油の比率が43%と主要国では最も石油依存度が高くなっています。再生可能エネルギーは2%と低い比率です。しかし水力が10%あるため、自然エネルギー比率は12%と高めです。12%
ブラジル石油が39%と多い半面、再生可能エネルギーも15%でドイツと並んで再生可能エネルギー先進国。水力29%と合わせた自然エネルギーが半数近くを占めているのは立派な数字です。44%
フランス原子力大国のフランスは原子力依存度が38%と主要国でも群を抜いて多くなっています。自然エネルギー比率は11%とまずまずの数字です。11%
イギリス石油40%と天然ガス36%が拮抗。水力は1%と低水準ですが再生可能エネルギーが12%と高い比率です。13%
イタリア石油40%と天然ガス38%の2つで78%。半面自然エネルギー比率は16%と高い数字です。16%

日本は、自然エネルギー比率がアメリカと並んで1ケタの水準です。インド、ロシアも合わせて1ケタ台で遅れている各国の取り組み強化が求められます。

再エネ先進国ドイツの電力事情

世界のエネルギー政策を見るうえで注目されるのが再エネ先進国のドイツの電力事情です。日本経済新聞の報道によると2019年の発電量に占める再生可能エネルギーの比率が初めて化石燃料を逆転しました。再生可能エネルギーの発電シェアは46%となり2018年よりも5.4ポイント上昇。40%にとどまった化石燃料を上回った形です。

再生可能エネルギー46%の内訳は、風力24.6%、太陽光9.0%、バイオマス8.6%、水力3.8%となっています。またイギリスも2019年に再生可能エネルギーと原子力を合わせた発電量がやはり化石燃料を初めて上回っています。欧州の脱炭素政策の強化が改めて裏付けられた形です。立ち遅れているアメリカや日本の脱炭素政策にとっては、お手本になる両国の取り組み成果といえるでしょう。

日本のエネルギー政策はどこを目指すのか

では、日本のエネルギー政策は今後どこを目指すのでしょうか。現在2030年に向け経済産業省がエネルギーミックス政策を推進しています。2015年7月に経済産業省が公表した「長期エネルギー需給見通し」によると、2030年における「一次エネルギー」の中で再生可能エネルギーの比率を13~14%程度にしたい方針です。また「電源構成」では再生可能エネルギーの比率を22~24%程度に設定しています。

これは、原子力(22~20%程度)とほぼ同じ水準です。政府が原子力と同じくらい再生可能エネルギーを重視しているのは、注目すべきことといえます。一方、国際社会においては「米国がパリ協定に復帰するかどうか」が注目されています。2020年の米国大統領選挙でバイデン氏が勝利したことにより復帰の可能性が高まったことは、世界にとっても歓迎すべきことでしょう。

環境保全団体WWFも復帰に関して歓迎のコメントを発表しています。あとは、実際にパリ協定へ復帰するかどうかを注視しておくことが必要です。このように今後は、世界各国が再生可能エネルギーを中心とする自然エネルギー比率の向上に取り組みクリーンなエネルギー社会が実現することが期待できるでしょう。

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