SDGs
(画像=nozomin/stock.adobe.com)

国連のSDGs(持続可能な開発目標)には計17の目標があります。SDGsと本気で向き合う企業は、このうちの一つ「SDGsの目標7」を重視しているケースが目立ちます。この記事の前半では「SDGsの目標7」の内容と注目されている理由を解説。後半では「SDGsの目標7」の取組事例を3つ紹介します。

SDGsとは?SDGsの目標7とは?

はじめに「SDGsとは何か」「SDGsの目標7とは何か」についておさらいしてみましょう。

「SDGs(エスディージーズ)」とは?

SDGsを一言で表現すると「世界中で共有されている持続可能な社会のための開発目標のこと」です。これを実現するため、SDGsでは17の目標が設定され、さらにそれぞれの目標に細かいターゲットが掲げられています。もともとSDGsは、2015年に国連に加盟する150超の国で合意された目標です。例えば世界の環境目標は先進国が中心ですが、SDGsは先進国、開発途上国といった枠を超えてすべての国が対象の目標となっています。

SDGsにおいて大切なことは、17の目標を共有するだけでなく国・企業・個人が連携しながら意識を変革し行動を起こすことです。特に2020年からは「SDGsの行動の10年」と位置づけられています。それだけに日本でも大企業などを中心にSDGsの目標達成を目指した取り組みが本格化しているのです。

「SDGsの目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」とは?

SDGsで掲げられている17の目標の一つが「SDGsの目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」です。世界中には、いまだ電気エネルギーを使えない発展途上国などの人がたくさんおり石炭や薪などの化石燃料を使うことで健康と環境への悪影響が懸念されています。この現実を変えるために「SDGsの目標7」では2030年に向けて世界のエネルギーの効率を高めて再生可能エネルギーの割合を拡大させることを目指しているのです。

同時に開発途上国などでも持続可能なエネルギーサービスが供給できるインフラ拡大を目指しています。

「SDGsの目標7」の先進の取組事例3選:リコー、キリンHD、セブン−イレブン

私たちの身近にある数多くの企業が「SDGsの目標7」の取り組みを進めています。ここでは、先進の3事例を紹介します。

「SDGsの目標7」取組事例:リコー

・日経SDGs経営大賞に輝いたリコー
上場企業など主要700社以上を対象にした「第2回SDGs経営調査」(日本経済新聞社が2020年に実施)で最上位の総合偏差値70以上の企業はリコー、キリンホールディングス 、コニカミノルタのわずか3社でした。リコーは、さらにこのSDGs経営調査の対象企業のなかから選ばれる「第2回日経SDGs経営大賞」にも輝いています。

評価ポイントは「SDGsへの貢献」と「企業価値向上」の両立を高いレベルで実現している点です。リコーがSDGsへの取り組みを開始したのは2015年のこと。SDGsを採択後、SDGsの社内勉強会の開催やSDGsの貢献活動を社内で中心となって推進する「SDGsキーパーソン」の養成などの取り組みを重ねてきました。

・リコーは電力量とガソリン使用量の大幅削減に成功
リコーの「SDGsの目標7」の取り組みとしては、複合機の販売台数に応じてCO2吸収量の多いマングローブの植林を東南アジアで実施。2020年2~3月に計1万本の植林を行っています。またリコーでは全社で使用する電力量とガソリン使用量の大幅削減にも成功。電力量では、以下に挙げる取り組みを進めることで2015年2,390万kWhだった電力量を2019年は2,035万kWhまで削減しています。

  • 空調・照明制御システムの導入
  • オフィス内LED照明の導入
  • 定時退社の推進 など

あわせて営業車をCO2排出係数が多いガソリン車からEV(電気自動車)・PHV(プラグインハイブリット自動車)などに転換。この取り組みの結果、全社のガソリン使用量も2015年は763万リットルでしたが2019年には658万リットルと大幅削減しています。

・太陽光発電設備によって脱炭素化
他にもリコーの「SDGsの目標7」の取り組みはあります。オフィスなどの屋根や遊休地などに太陽光発電設備を設置することで脱炭素化を進めているのです。生み出した再生可能エネルギーは、通常オフィスなどで利用、災害時には非常用電源として活用できるので地域貢献にもなります。

「SDGsの目標7」取組事例:キリンホールディングス

・温室効果ガスを25年間で約70%削減
キリンホールディングスは、リコーと同様に「第2回SDGs経営調査」で偏差値70以上に選ばれた企業です。国内のSDGs分野で先進的な企業のうちの1社といってよいでしょう。キリンホールディングスでは、数多くのSDGsの活動を推進していますが地球温暖化に関わる「目標7」を重要な課題と位置づけています。

これまでの実績として1990~2015年の25年間で温室効果ガス排出量を約70%削減してきました。さらに2030年までに「グループ全体の温室効果ガス排出量を30%以上削減(2015年比)する」という目標を進めています。これはコストに換算すると年間10億円規模の削減となるとのことです。

・温室効果ガス排出量の少ないビール工場への挑戦
キリンホールディングスでは、ビール工場で使うエネルギーを化石燃料から電力にシフトしました。あわせて再生可能エネルギーで創出された電力を積極活用していく計画を進めています。この計画の軸となる技術がヒートポンプです。キリンホールディングスでは、製造プロセス全体の熱の流れを解析した上でヒートポンプシステムを導入。

世界最高水準の温室効果ガス排出量の少ない生産システムの実現を目標にしています。この取り組みは、2019年岡山工場からスタートし国内・海外に順次広がっていく見込みです。

「SDGsの目標7」取組事例:セブン−イレブン・ジャパン

・駐車場スペースに路面型太陽光パネルを設置
セブン−イレブン・ジャパンのモデル店舗では、店舗の屋上やカーポート上に太陽光パネルを設置。あわせて店舗の駐車場スペースに路面型太陽光パネルを採用していることも特徴的です。これは太陽光パネルの上を車やトラックが直接走行できるものです。路面型太陽光パネルは「相模原橋本台1丁目店」で採用され店舗使用電力の約9.1%相当をこの路面型太陽光パネルでまかなうことが期待できます。

この店舗では、さらに以下の環境技術を採用しています。

  • 大容量リチウムイオン蓄電システム
  • リユースバッテリーによる蓄電
  • 風力/太陽光発電付サインポール など

これらの取り組みによって店舗で使用する電力の約46%をCO2排出ゼロの再生可能エネルギーでカバーすることが可能になっているそうです。このような「人と環境にやさしい店舗」は現時点では一部にとどまっていますが効果が大きいだけにさらに採用店舗数が増えることが期待されます。

・水素ステーションを店舗に併設+燃料電池トラックを採用
セブン−イレブン・ジャパンでは、水素を活用することでも「SDGsの目標7」を推進しています。具体的には、セブン−イレブン・ジャパンの店舗への燃料電池車用の水素ステーションの併設です。水素ステーションとは、燃料電池自動車の燃料の水素を補給するスポットのこと。水素ステーション設置の取り組みは、東京、愛知、宮城などに広がっています。

セブン−イレブン・ジャパンでは、配送車両にHV、EV、水素などの燃料電池トラックを採用していることから水素ステーションの併設店舗が増えてくればシナジーが期待できるでしょう。

SDGs推進にはエンドユーザーが取り組みを知ることが欠かせない

国内で浸透してきたSDGsですが、新型コロナ感染の拡大をきっかけにさらに注目度が高まっている傾向です。その背景には「気候変動が感染症リスクを高めているのではないか」との疑念があります。SDGsの潮流をさらに強めるには、私たちエンドユーザーがSDGs推進企業の取り組みを知ることが重要です。

ふだんから利用している商品やサービスを提供する企業が「どれくらい本気でSDGsの取り組みを行っているか」アンテナを張り取捨選択していくことでSDGsを後押ししましょう。

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