ESG投資
(画像=doucefleur/stock.adobe.com)

「ESG投資」という言葉を見かけるものの「具体的な内容はよく理解していない」という人は多いのではないでしょうか。ESG投資は、世界最大の年金基金のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も2017年10月から投資方針に組み込んでいます。そのため長期的視点で投資を行う際は重視される潮流となっているといえるでしょう。

ESGとは環境・社会・企業統治

ESGとは、以下の3つの頭文字をとった言葉です。

  • Environment:環境
  • Social:社会
  • Governance:企業統治

ESG投資とは、この3つへの取り組みを積極的に行っている企業に対する投資のことを指します。ESGは、もともと2006年に国連が発足させた責任投資原則(PRI)の中で「機関投資家は環境や社会、企業統治についての影響を意思決定に組み込むべき」としたことから広まりました。またESGへ取り組む企業は、持続可能な社会実現へ貢献しており欧米ではその企業が将来さらに価値を高めて長期的に安定すると評価しています。

ESGへの具体的取り組み

具体的なESGの取り組みには以下のようなグローバルな視点での活動が挙げられます。

  • 大気汚染防止や自然保護などの環境問題
  • 人種差別の改善やダイバーシティといった年齢、国籍を越えた労働環境の整備などの社会問題

また企業自体のあり方として透明性を持った公正かつ迅速な意思決定ができるよう取締役会を構成するなどの体制整備が考えられます。単に持続社会へ貢献するだけでなく自社の安定という基盤を作ることも含まれるのです。

ESG投資は継続性とリスク回避で評価

ESG投資の特徴は、長期に継続して安定しリスクも回避できる点です。たとえ現時点で大きな利益が生まれていないとしてもESGへの取り組みを積極的に行っている企業は、継続的に安定する可能性を秘めています。新時代に即した新たな商品やサービスを開発し価値が向上するのではないかという期待も含まれています。

一方で脱炭素社会や再生可能エネルギーへの移行などサステナビリティを評価する世界的な潮流から外れたり、人権問題や労働環境に配慮を欠いたりすることで突然価値が急落するリスクも少ないでしょう。いずれにしても長期的な評価のため、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家が力を注ぐポイントとなっています。

世界的な成長の流れ

ESG投資の市場は、世界的に成長の流れになっています。世界のESG投資を集計している国際団体、GSIAの2018年統計報告によると2016~2018年にかけての投資額は、欧州で12兆400億米ドルから14兆750億米ドルでした。一方米国は8兆7,230億米ドルから11兆9,950億米ドルへと着実に成長しています。世界全体では30兆6,830億米ドルという市場規模へと拡大傾向です。

その中でも注目したいのが日本の4,740億米ドルから2兆1,800億米ドルへという約4.6倍の急成長ぶりです。これは、日本のGPIFが2017年にESG投資を開始したことが原因で今後は積極的にESG投資を考慮するとしています。

なぜGPIFが積極的なのか

GPIFは、日本の公的年金を管理、運用を行う独立行政法人です。運用額は、2019年第2四半期末時点で167兆5,358億円となっており、年金基金としては世界最大級の機関投資家となっています。GPIFがESG投資に積極的な理由は、もちろん将来的に保険料収入が減り国庫負担では不足する可能性のある年金給付を補完したいことが狙いです。

しかしそれ以上にGPIFは「おおむね100年先を見据えている」という超長期的な計画性と「収支のマイナスは絶対に許されない」という前提によると考えられます。長期に継続した安定と将来的な低リスクをあわせ持つESG投資は、非常にGPIFの思惑と相性が良いといえるのです。

メリットは長期的な安定性

では一般の投資家にとってESG投資は、どのようなメリットを持つでしょうか。ESG投資は、取り組む企業が継続して発展し長期に安定したリターンが得られることがメリットです。そのため短期で利益を得るのではなくたとえ少なくてもリスクを回避しながら長く収益が得られることを重視したい投資家に適しています。

デメリットはすぐに利益が出ない点

ESG投資のデメリットは、現時点で「将来への投資」という意味合いも大きいため、すぐに大きな収益は期待できません。企業の成長スピードによっては、価値が急速に高まる可能性は十分にあります。しかし基本的に速攻性を求める投資ではありません。超長期的な計画で将来性に投資している点で従来の投資とは根本的に考え方が違うといえるでしょう。

個人でESG投資を行う方法

ESG投資の銘柄は数が非常に多くさらに評価基準も複雑で多岐にわたるため、個人で投資銘柄を選ぶのは非常に難しいのが現状です。そこでここからは、個人がESG投資を行う現実的な方法を紹介します。

投資信託

ESGに関連した投資信託を選ぶことが最も手軽にESG投資をする方法です。投資信託は、少額からはじめることができ実際の銘柄選定や運用はプロが行ってくれるため、リスクを抑えながらESG投資を行うことができます。

ETF(上場投資信託)

ETF(上場投資信託)は、特定の指数に連動して運用される投資信託の一種で取引所に上場しているため積極的に売買ができる点が特徴です。その中でESGの評価を行う指数に連動するETFを購入することでESG投資をすることもできます。

株式

複雑で選定が難しい点はありますが個別企業を自分で選定し直接株式投資することも可能です。普段から株式投資を行っている人なら特に難しい手続きが増えることもありません。ただしESG投資として行うのであればしっかりと企業のESGに対する取り組みを見極めたいところでしょう。そこで参考になるのがESG評価の指数です。

ESGを評価する指数の代表的なものとしては、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)が算出している指数があります。その中には、日本企業を対象としたMSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数もあるため参考にしてみましょう。この指数は、時価総額上位700銘柄から業種内においてESG評価の高い銘柄を選んでいるため、直接投資で個別銘柄を選ぶ際に活用できます。

格付けの高い銘柄

参考に2020年6月現在で最上位の格付けであるAAAを受けている銘柄を紹介します。

  • 国際石油開発帝石<1605>
  • 住友化学<4005>
  • イビデン<4062>
  • 積水化学工業<4204>
  • ダスキン<4665>
  • オムロン<6645>
  • ソニー<6758>
  • NTTドコモ<9437>

ESGと兄弟とも言えるSDGsとは

ESGの他にもSDGsという言葉を目にする機会もだいぶ増えてきました。SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で持続可能な開発目標を意味し2015年に国連加盟の193ヵ国がすべて2030年までに達成すると合意した17の目標です。貧困や飢餓の撲滅、健康や教育の促進、持続性のある働きやすい社会、環境保護や温暖化対策などを目標として掲げています。

2020年現在SDGsの目標は、企業においても積極的に取り組むべきものとなっており、17の目標の中から貢献できるものを選び具体的目標を公表する企業が増加傾向です。同じ国連が提唱したという背景もありますがSDGsを掲げる企業は、自然とESGとしての取り組みを行うことが多いため、2つは兄弟のような関係にも見えます。

ESG投資で評価すべき企業としては、SDGsの目標を明確に掲げ実践していることが一つの目安となるかもしれません。

将来への展望でESG投資を考える

ESG投資は環境、社会、企業統治の面で継続的に安定成長するリスクの少ない企業に投資をします。そのため短期的に大きな収益を上げるよりもマイナスになることなく長期に安定した収益を得たい年金基金などが積極的に投資をしている傾向です。もちろん個人投資家でも長く安定した運用ができる点には関心がある人もいるでしょう。

まずは取り組みやすい投資信託やETFでの運用を検討してみてはいかがでしょうか。

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