再生可能エネルギー
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

地球温暖化阻止が緊急の国際的課題となる中、再生可能エネルギーの生産拡大が求められています。石油ショックと東日本大震災の2度のエネルギー政策転換を経て、2020年は新型コロナウィルスによる社会構造の変化が起き電力需要が見通せない状況が続いています。

これから日本のエネルギー政策はどのような方向に向かっていくのでしょうか。2030年に向けた日本政府の再生可能エネルギーに関する取り組みを探ります。

日本のエネルギー事情とは

はじめに日本のエネルギー事情の現状を確認しておきましょう。すでに知られているように、日本のエネルギー政策は2011年3月11日に起きた東日本大震災により方向転換を余儀なくされました。なぜなら福島第1原子力発電所(原発)で起きた大事故により、政府の原発に対する規制の基準がより厳しいものとなったからです。

経済産業省資源エネルギー庁の資料によると東日本大震災前の原子力発電所の稼働基数は54基でしたが、2020年9月8日時点で再稼働は9基(稼働中4基、停止中5基)にまで減っています。東日本大震災以前は、日本で使用する電力の約30%を原子力発電で賄っていました。2020年7月に資源エネルギー庁が公表した資料によると2018年度の原子力発電の割合は6%です。

今後は原発に代わる再生可能エネルギーの比率が高まることが予想されますが、国内の著名な大企業も太陽光や風力発電事業に参入しています。例えばJR東日本は2015年4月に再生可能エネルギーの導入推進を目的とした子会社「JR東日本エネルギー開発株式会社」を設立しました。

風力発電を中心にした再生可能エネルギーを自社で開発し、主に鉄道に供給する方針です。同社ではこの取り組みにより「2050年までに鉄道事業におけるCO2排出量を実質ゼロにするため、使用するエネルギーのうち約30~40%を再生可能エネルギーで賄いJR東日本の目標達成に寄与していく」としています。(同社公式サイトの見解)。

近年のエネルギー国内供給構成比率の推移は?

それでは、近年の1次エネルギー(加工されない状態で供給されるエネルギー)で見た国内供給構成比率の推移はどのようになっているのでしょうか。資源エネルギー庁の資料によると以下のように推移しています。

表1 1次エネルギーの国内供給比率の推移

エネルギー1973年(石油ショック)2010年(震災直前)2017年
石油75.5%40.3%39.0%
石炭16.9%22.7%25.1%
LNG1.6%18.2%23.4%
原子力0.6%11.2%1.4%
水力4.4%3.3%3.5%
再エネなど1.0%4.4%7.6%
化石燃料依存度94.0%81.2%87.4%

※資源エネルギー庁「2019-日本が抱えているエネルギー問題(前編)」より作成

1973年時点のわが国のエネルギー供給は、石油が75.5%と約4分の3を占めていました。石炭、LNGを含めた化石燃料への依存度は実に94%という寡占状態です。ところが1973年に石油ショックが起き、脱石油を目指すエネルギー政策へ転換せざるを得なくなりました。2010年には石油の比率は40.3%と半分以下に低下し、代わって原子力が11.2%と比率を高めています。その結果、化石燃料依存度も81.2%に改善されました。

クリーンエネルギーとして評価されていた原子力ですが、前述したように2011年3月に東日本大震災が起き脱原発へと流れが一気に変わっていきます。2017年になると原子力の比率が1.4%まで低下し、化石燃料依存度が87.4%と再び悪化。多くの原発が稼働を停止している現状では、エネルギーの自給率を高めるのは難しい状況です。しかし、それでも再生可能エネルギーなどが7.6%と伸びてきているのが明るい傾向といえます。

では、2020年時点における再生可能エネルギーの比率はどうなっているのでしょうか。環境省が公表した「中長期ロードマップを受けた温室効果ガス排出量の試算(再計算)【暫定版】」によると、2020年の再生可能エネルギー導入量は10~12%と2ケタに乗る見込みです。

同資料では、「再生可能エネルギーは大部分が国産エネルギーであるため、再生可能エネルギーの導入量を増加させることはわが国のエネルギー自給率の向上に寄与する」と再生可能エネルギー増加の重要性を説いています。

2030年に向けエネルギーミックスを目指す

経済産業省が取り組む2030年に向けたエネルギーミックス政策の推進について確認してみましょう。経済産業省が公表した「長期エネルギー需給見通し」によると、2030年における「1次エネルギー」と「電源構成」の目標比率は以下の通りです。

表2 2030年度見通しのエネルギーミックス構成比

1次エネルギー供給電源構成電源構成内の再エネ割合
再エネ13~14%程度再エネ22~24%程度地熱1.0~1.1%程度
原子力11~10%程度原子力22~20%程度バイオマス.7~4.6%程度
天然ガス18%程度LNG27%程度風力1.7%程度
石炭25%程度石炭26%程度太陽光7.0%程度
LPG3%程度石油3%程度水力8.8~9.2%程度
石油30%程度

※経済産業省資料「長期エネルギー需給見通し」より作成。

1次エネルギーは再生可能エネルギーと原子力を合わせた自給率で24.3%程度が目標値です。再生可能エネルギーは13~14%が目標で、2017年が7.6%のため2倍近い伸びを見込んでいます。電源構成における再生可能エネルギーの割合では、太陽光が7.0%と水力に次ぐ高い比率になる見込みです。

太陽光は、個人住宅でも屋根に太陽光パネルを設置することで発電できるため、今後の住宅政策によっては、さらなる上積みを期待できるかもしれません。

再生可能エネルギー導入拡大のための取り組みと課題

再生可能エネルギーの導入を拡大するための日本政府の取り組みを確認していきましょう。資源エネルギー庁が公表した「エネルギー白書2020」によると、FIT制度(固定価格買取制度)の現状と今後について見解が述べられています。2012年7月に導入されたFIT制度のメリットは以下の通りです。

「再エネ発電事業者は、再エネ電気を投資インセンティブが確保される水準の固定価格で長期間にわたって電気事業者によって買い取られることが保証されるとともに、発電事業者としての然るべき市場取引についても免除されることで、投資回収の予見性が強固に確保されてきた」(同資料の見解)

一方で以下のようなデメリットが生じることにも言及しています。

「買取義務に基づき電気事業者が再エネ電気を固定価格で買い取るにあたり必要な費用は、電気料金の一部として一般の電気の使用者に負担してもらう制度となっており、再エネの導入拡大は、国民の負担に直結する制度となっている」(同)

FIT制度により生じた国民負担の増大という課題に対応するため、2016年に「再エネ特措法」の改正(2017年4月施行)を行い、再生可能エネルギーを効率的に導入するための「入札制度」が導入されました。また適切な事業を実施するための「事業計画認定制度」を創設しています。この制度により、認定を受けたまま事業を開始しない未稼働案件を減らすことにつながる効果が期待できるでしょう。

ここまで日本のエネルギー事情と政府の取り組みについて見てきました。太陽光や風力といった大自然がもたらす恵みをエネルギーに変える再生可能エネルギーは、今後も地球環境と調和する理想的なエネルギーとしてさらなる普及が求められるでしょう。

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