SDGsで注目のアップサイクル ゴミから価値ある商品を生む事例集
(画像=ximich_natali/stock.adobe.com)
本間貴志
本間貴志
ビジネス書・実用書専門の「アスラン編集スタジオ」の編集ライターを経てフリー。2015年より秋田県に移住、テレワークによる柔軟な働き方を実践中。

アップサイクルとは、ゴミになるモノに付加価値を加えて商品化することで、3R(リサイクル、リユース、リデュース)に次ぐ4つ目の資源の活用方法として注目されています。ここでは、これからアップサイクルを検討したい企業の参考になる事例をご紹介します。

3Rとアップサイクルはどこが違う?

SDGs(持続可能な開発目標)が世界のトレンドとなった今、資源の有効活用の意識が高まっています。これまでの資源の主な有効活用は3Rと呼ばれる、「リサイクル」「リユース」「リデュース」でした。ちなみに、3Rのそれぞれの意味や活用例は以下の通りです。

キーワード意味活用例
リサイクル使ったモノを資源に戻して再利用回収した服から新たな服を製造
リユース一度使ったモノをそのまま再利用古着や古本
リデュースムダなゴミを出さない努力や活動マイバッグによるレジ袋削減

これら3Rに加えて、最近注目が集まっているのが「アップサイクル」です。アップサイクルとは、そのままではゴミになってしまうモノに付加価値を加えて商品化などをすることです。

アップサイクルの発想を組み込むことで、これまでになかった企業活動や商品開発が可能になります。そのヒントを探るために、国内のアップサイクルの好事例を見てみましょう。

アップサイクルの好事例1「廃棄魚網の再生素材から生まれた鞄」

1つ目は、波打ち際に打ち捨てられた魚網で「おしゃれで高機能な鞄」という価値を生み出したアップサイクル事例です。

環境省の調査によると、日本で発生する海洋プラスチックごみは年間2〜6万トンと推計されます。そして、日本の沿岸に漂着する人工物の海洋ごみのうち魚網とロープの割合は高く、容積ベースで2〜3割を占めるとのことです。

日本財団と複数の企業が連携し、この廃棄魚網をアップサイクル。トートバッグやリュックなどの鞄に再生しました。2021年7月に開催された廃棄魚網のアップサイクル鞄の発表会には小泉進次郎環境相も参加、その模様はSNSでも広く拡散しました。

プロジェクトの中身は、北海道で回収された廃棄魚網で再生ペレットを製造。これをベースにカバンの素材が作られ、さらに国内一の鞄の産地、兵庫県豊岡市で製品化されています。

もし、これが単に再生ペレットから生まれた鞄だったら、これほど話題性の高いプロジェクトにはならなかったはずです。国内外で注目度の高い「海洋プラスチックごみ」というテーマだったため注目が集まりました。アップサイクルによる製品化を目指す企業にとっては、このプロジェクトのテーマ設定はヒントになるのではないでしょうか。

なお、この廃棄魚網のアップサイクル鞄は、2021年10月1日より豊岡鞄オフィシャルショップで販売される予定となっています(リアル店舗とオンラインショップで販売)。

アップサイクルの好事例2「廃棄食材から生まれたヘルシー志向チップス」

2つ目は、ブロッコリーの茎や大根の皮など、食品加工の過程で生まれた廃棄食材で「ヘルシー志向のチップス」という価値を生み出したアップサイクル事例です。

食品ロス(フードロス)を減らす取り組みのなかでも、廃棄食材で新たな商品やメニューを生み出す内容はアップサイクルのカテゴリに含まれると考えられます。

食品宅配の大手、オイシックス・ラ・大地では食品加工で生まれる廃棄物である、冷凍ブロッコリーのカット工程で発生する茎、大根の製造工程で生まれる大根の皮などに着目。これらの廃棄食材に下処理と味付けを施し、オツマミやオヤツにぴったりなチップスに仕上げています。天日塩とてんさい糖を使用するなど、こだわった味付けも特徴的です。

オイシックス・ラ・大地では、このような廃棄食材をアップサイクルして販売し、食品ロスを減らすブランドを「Upcycle by Oisix」と名付けています。このプロジェクトの第1弾のひとつが本稿で取り上げた「ここも食べられるチップス ブロッコリーの茎/大根の皮」なのです。

なお、記事執筆時点で「Upcycle by Oisix」では、前出の「ここも食べられるチップス」のほか、廃棄ナッツ&フルーツのグラノーラ、果物の皮のドライフルーツなど複数のアップサイクル商品を展開しています。

このアップサイクル・プロジェクトの注目点は、同社では3年後に「Upcycle by Oisix」を年間500トンの食品ロス削減に貢献するブランドに育てようとしている部分です。

アップサイクル商品の開発時には、オイシックス・ラ・大地のように複数のアイテムを商品化してブランド化する選択肢もあります。これにより、顧客や消費者にインパクトが与えられ、SDGsで優位に企業活動を展開しやすくなる可能性もあります。

アップサイクルの好事例3「眠っている着物の帯から生まれたサンダル」

3つ目は、使われずにタンスなどで眠っている着物の帯で「コラボサンダル」という価値を生み出したアップサイクル事例です。

このアップサイクルのプロジェクトでは、「UNITED TOKYO」と「Relier81」という2つのブランドがコラボ(それぞれの基本情報は下記の表参照)。両者の「日本の伝統・文化などを永く残していきたい」という共通の想いによってコラボが実現しました。なお、このコラボは2020年にも行われ、好評だったため2021年も継続されています。

ブランド名特徴
UNITED TOKYO・日本の伝統技術と東京の感性がテーマ
・ALL MADE IN JAPANにこだわる
・神宮前や丸の内など好立地にショップを展開
Relier81・2018年京都で立ち上げられた
・着物や帯のアップサイクルに取り組む
・レディースシューズをメインに展開中

2021年のアップサイクルのコラボでは、トレンドであるフィンガーフックタイプのサンダルを採用。下記の写真のように甲バンド の部分などに厳選した帯が使われています。

これらのサンダルは、2021 年7月よりUNITED TOKYOの国内12店舗およびUNITED TOKYO 公式オンラインストアで販売開始となっています。

このアップサイクル・プロジェクトの注目点は、商品製造の現場の様子をRelier81のプレスリリースなどで積極的に公開していることです。

SDGsやアップサイクルなどの情報発信やブランド構築では、これまでと違った感性も必要になりそうです。社会貢献や企業の姿勢などが購入動機になるため、作り込まれたイメージよりもリアルなイメージのほうが共感を呼ぶ可能性があります。

アップサイクルを進めるときに意識したい視点とは

アップサイクルは「ゴミから宝を生む」のような表現をされることもあります。もともとゴミになるもの(あるいは、使われていないもの)が材料なだけに、プロジェクトが成功すれば高利益率を実現できる可能性もあります。

しかし、「アップサイクルは儲けられる」という部分にフォーカスし過ぎると、持続性のあるプロジェクト、あるいは、消費者や顧客の共感が得られるプロジェクトになりません。アップサイクルを進めるときには、例えば次のような視点でチェックすることも大切です。

  • そのアップサイクルは本当に社会貢献になるのか
  • 廃棄物を提供してくれる協力者に適切な利益還元をしているか
  • 廃棄物の提供に持続性があるか

そもそも社会貢献度が低いのであればそのアップサイクルは意味がありませんし、協力者に適切な利益還元をしなければ搾取になってしまいます。また、廃棄物の提供に持続性がなければ、一時的に盛り上がりだけで終わってしまうため、社会への貢献度は限定的です。

もちろん、上記の項目はあくまでも一例です。会社ごとに指針をつくったうえでプロジェクトを進めるのがおすすめです。

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