国内初!イオンが実現したCO2実質ゼロの大型商業施設とは
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丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

流通大手イオンが電気とガスの両方でCO2(二酸化炭素)排出実質ゼロの大型商業施設をオープンし、大きな話題を集めています。2050年までに全店舗CO2排出総量ゼロを目指すイオンの取り組みを象徴する店舗といえます。「イオンモール川口」の概要とESGに対するイオンの取り組みについて紹介します。

イオンが開業したCO2排出実質ゼロの「イオンモール川口」

イオンは2021年6月8日、CO2排出を実質ゼロにする「イオンモール川口」を開業しました。大型商業施設を中心に展開しているイオンですが、「イオンモール川口」は再生可能エネルギーなどを活用して、電力とガスの両方でCO2を実質的にゼロにします。イオンモール株式会社のプレスリリースによると、電気とガス両方において実質的にCO2排出量ゼロで運用する大型商業施設は国内初となります。

「イオンモール川口」は2代目店舗で、初代店舗はサイボー株式会社神根工場跡地に1984年4月15日、「川口グリーンシティ」として開業しました。2018年に賃借契約期間終了でいったん閉店しましたが、施設を所有するサイボーが隣接していた川口自動車学校の跡地も含めて、イオンモールと共同で旧店舗の2倍の広さを有する「新生イオンモール川口」として開業することにしたものです。

「イオンモール川口」でCO2排出を実質ゼロにする仕組みとは?

「イオンモール川口」でCO2排出を実質ゼロにするために、どのような仕組みを築いているのでしょうか。
まず電気ですが、施設を運営するイオンモールが東京電力エナジーパートナーから「非FIT非化石証書付電力メニュー」により電力を調達します。「非FIT非化石証書付電力メニュー」は、「東京電力が調達した環境価値を、系統電気と一緒に顧客の需要場所に送るメニューで、実質的にCO2フリー電気を使っているとみなされます」(プレスリリースの解説)。

施設の空調で使用するガスは、東京ガスから「カーボンニュートラル都市ガス」の供給を受けて使用します。「カーボンニュートラル都市ガス」は、「天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、CO2クレジットで相殺(カーボン・オフセット)し、燃焼させても地球規模ではCO2が発生しないとみなされるガスのことをいいます」(同)。

さらに「イオンモール川口」は店内のさまざまな箇所にデジタルサイネージ(ディスプレイを使ってさまざまな情報を発信する機器)を設置しています。

CO2に関連した取り組みでは、コロナ対策の一環として密になりやすいフードコートの二酸化炭素濃度を計測してディスプレイにリアルタイムで表示する仕組みを導入しています。顧客から見て安心感があるだけでなく、二酸化炭素に配慮した店舗であることをアピールすることができます。イオンでは、今後開業するほかの施設でも同様の取り組みを推進する考えです。

また、2021年4月にオープンした「イオンモール福岡」は、九州電力の「再エネECOプラン」によりCO2排出量ゼロの店舗として運用されています。「再エネECOプラン」は、「九州電力が再生可能エネルギー電源(水力・地熱)の電気に非FIT再エネ指定非化石証書を組み合わせて供給するメニューです」(同)。

イオンは今後も全国でCO2排出量ゼロ店舗の開発を進めていく予定で、その行方が注目されます。

イオンが2050年に向け全店舗の再エネ化を加速

「イオンモール川口」でCO2排出実質ゼロを達成する下地は2年前に出来ていました。イオンは2019年に再生可能エネルギーの活用を拡大するため、商業施設へのオンサイトPPA(電力販売契約)モデルの導入を開始しています。

イオンタウン湘南の屋根スペースを提供し、発電事業者が1 MWを超える発電が可能な太陽光パネルを設置しました。その設備から発電された電力をイオンタウン湘南が自家消費分として購入する契約を結んだ実績があります。

当時イオンは2018年に発表した「イオン脱炭素ビジョン2050」を基に、2050年までに店舗で排出するCO2等を総量ゼロにすることを目指していました。その時点では2030年の進捗率は総量35%(2010年比)と想定しています。イオンは全国のモールで再生可能エネルギー100%店舗への取り組みを加速していますが、2030年の進捗率は想定より進む可能性が出てきました。

イオンはESGにどのように取り組んでいるか

イオンはESG活動に熱心な企業として知られています。業務に使用する再生可能エネルギーを100%にすることを目指す「RE100」という企業連合にも早い時期から加盟しています。

「環境」面の活動でよく知られているのが「イオンの植樹活動」です。1991年から始まった活動で、全国や世界各地の顧客と共同で植樹活動を続けています。2013年に1,000万本を突破し、2020年2月末現在で1,212万1,780本となっています。

「社会」面の活動では、「イオン幸せの黄色いレシートキャンペーン」を毎月11日に実施しています。顧客がレジ精算時に受け取った黄色いレシートを、地域のボランティア団体名が書かれた店内備え付けのボックスに投函すると、レシート合計金額の1%相当の品物をイオンが各団体に寄贈する活動です。

参考:イオン公式サイト

このようにイオンのESG活動は顧客と連携して行っています。そのため、企業のESG活動に参加することで実は顧客もESGに貢献していることになるのです。大変有意義な取り組みといえます。

イオンへのESG投資は生活に直結してリターンも大きい

ESG活動に熱心に取り組んでいる企業を個人で応援したいという方も多いでしょう。最近はESGをテーマにした投資信託も販売されていますが、個別株のなかではイオンは生活に直結して投資のリターンが大きい銘柄といえます。

イオンは株主優待の内容が手厚いことで知られています。近隣にイオンの店舗がある株主にとっては、オーナーズカードで買い物することで年間かなりの金額が返金されます。

【イオン株主優待制度の概要】

  • オーナーズカードによるキャッシュバック
    100株以上 3%
    500株以上 同4%
    1,000株以上 同5%
    3,000株以上 同7%

ほかにお客様感謝デー(毎月20日・30日)でキャッシュバックとは別に買い物5%割引。イオンシネマ優待料金、個別店舗での料金割引(いずれもキャッシュバック対象外)などの特典あり。

  • 長期保有優遇制度(3年以上継続保有の株主が対象)
    1,000株以上 イオンギフトカード2,000円
    2,000株以上 同4,000円
    3,000株以上 同6,000円
    5,000株以上 同1万円

【イオンの投資指標】

  • 株価 3,027円(2021年6月25日終値)
  • 配当金 36円(2021年2月期)
  • 配当利回り 1.19%(2021年6月25日終値で換算)
  • PER(株価収益率) 102.26倍(予想1株利益29.6円で算出)
  • PBR(株価純資産倍率) 2.64倍(実績1株純資産1,147.56円で算出)

100株保有株主がイオンで年間100万円の買い物をした場合のキャッシュバックが3万円、配当金が3,600円(NISA利用の場合)入りますので、株主還元の総額は3万3,600円となり、2021年6月25日の株価終値3,027円で算出した場合の総合利回りは11.1%となります(買い物の金額や保有株数によって総合利回りは異なります。参考程度にお考えください)。近隣に店舗がある株主の例にはなりますが、ESG投資としてはかなり大きなリターンといってよいでしょう。

生活に最も身近なスーパー業界のトップランナーがこのような取り組みを社会に発信する意義は大きなものがあります。CO2排出実質ゼロに取り組むイオンの姿勢に対して、利用する消費者もマイバック持参やノー割りばし、ノーストローなど出来ることで環境保護へ貢献したいという意識が高まるはずです。

※本記事は2021年6月25日時点の情報を基に構成しています。イオンのCO2排出実質ゼロを目指す取り組みを紹介するものであり、当該銘柄への投資を推奨するものではありません。

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