太陽光
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太陽光の発電量って、どうやって計算するのだろう。太陽光発電を導入してみようと思ってパンフレットやホームページを見ているけれども、実際に自分の建物につけた場合の太陽光発電量がどのくらいになるのかがわからないから、いまいち現実感がない。だいたいの数字で良いので、設置しようとしてる建物の太陽光発電量がわかる方法はないかな…とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、太陽光発電量に関して

  1. 太陽光発電量の計算方法
  2. 太陽光発電の発電量が変わる10の原因
  3. 太陽光発電が向かない建物はある

をまとめました。最後までお読みいただければ、具体的な太陽光発電量の計算方法を理解し、実際の設置がトクなのか損なのかの目安が付きます。さらに太陽光発電導入に関した気を付けるべきことがわかるので、メーカーや業者選びの参考にも役立ちます。

目次

  1. 1.太陽光発電量の計算方法
    1. 1-1.太陽光発電の仕組みをかんたん説明
    2. 1-2.太陽光発電量の具体的な計算方法
    3. 1-3.太陽光発電量をあらかじめ知っておくべき理由
  2. 2.太陽光発電の発電量が変わる10の原因
    1. 2-1.カタログの数字と実際の数字の誤差
    2. 2-2.季節
    3. 2-3.時間帯
    4. 2-4.場所や気候
    5. 2-5.パネルの汚れ
    6. 2-6.パネルの経年劣化
    7. 2-7.太陽光パネル数
    8. 2-8.太陽光パネルの変換効率
    9. 2-9.パワーコンディショナー(変換器)の効率
    10. 2-10.設置する方角や角度
  3. 3.太陽光発電が向かない建物はある
    1. 3-1.北向きの屋根しかない建物
    2. 3-2.設置できる屋根面積が小さい建物
    3. 3-3.昼間の電気使用量がとても多い建物
    4. 3-4.メーカーの設置基準などを満たさない建物
  4. まとめ

1.太陽光発電量の計算方法

太陽光
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本章では、太陽光発電量の計算方法に関係する情報をまとめてあります。

1-1.太陽光発電の仕組みをかんたん説明

太陽光発電量の計算をする前に、太陽光発電の仕組みをかんたんに理解しておきましょう。太陽光発電は、太陽の光エネルギーを直接電気に変える発電方法です。

太陽光

太陽の光が太陽電池に当たると「光起電力効果」という現象が発生します。この効果によって太陽電池の中にある半導体の電子が動いて電気が発生します。太陽電池をいっぱいつなげたものが、ソーラーパネルです。

太陽光発電量の単位 kWとkWh
本記事で出てくる、太陽光発電量の単位の説明です。

kW(キロワット):
kWは電力を表す単位です。数値が大きければ大きいほど大きなエネルギーです。

kWh(キロワットアワー):
一時間当たりの発電量を表します
(例)2kWのドライヤーを1時間使うと2kWhを使ったことになります。

1-2.太陽光発電量の具体的な計算方法

太陽光発電量の計算方法を説明します。計算式を覚える必要はありませんが、どのような計算方法をしているかを理解しておけば、太陽光発電の取り入れを検討する際に役に立ちます。計算式は以下の通りです。

<Ep = H × K × P ×365÷1>

Ep:年間の予測発電量
H:1日の平均的な日射量
K:損失係数。太陽光発電システム稼働に伴う熱によって下がる発電効率を考慮した数値
P:太陽光発電システムのシステム容量。太陽光パネル×設置枚数の発電能力
1:日射強度

実際に計算をしてみましょう
例:2020年5月東京都 日射量平均4.0kWh の場合

H:4.0(2020年5月の日射量平均の数字)
K:0.86
 損失係数Kについては太陽光発電協会のガイドラインで表示されている参考値の平均が0.86ですので、今回はこれを使用します。
【参照:太陽光発電協会 太陽光発電協会 表示ガイドライン(平成 30 年度)

P:8
太陽光システムのシステム容量Pは、会社とパネルの枚数(設置プラン)によって違いがあります。太陽光発電のカタログ・仕様表などに記載があります。

検討しているシステム会社のパンフレットがあれば、その数字を入れてみましょう。今回は8kWの住宅用太陽光発電システムを導入する前提で計算をします。

<Ep = H × K × P ×365÷1>の結果
Ep(年間予測発電量) = H × K × P ×365÷1=4.0kWh/㎡×0.86×8kW×365日=10,045kWh
1か月換算=10,045kWh(年間予想発電量)÷12か月=837kWh
1日換算=877kWh÷30日=27.9kWh

という計算になります。

1-3.太陽光発電量をあらかじめ知っておくべき理由

太陽光発電システムを導入する大きな理由の一つに、「節電」「電気料金を抑えたい」があります。あらかじめ太陽光発電量を知っておくと、導入した際に以下の2点でトクをします。

・節電効果の実態を確認できる
実際の太陽光発電量を知っておけば、節電効果の実態がわかります。多くの人は、太陽光発電を導入すると「電気代がタダになる」というイメージを持っていますが、実際に0円になるかは設置した太陽光発電システムで、どのくらいの電力を得られるかによって大きく変わってきます。

太陽光発電システムを設置しても、その家で使う必要量に満たない発電量であれば、足りない分を電力会社から電力を購入(普通に電気代を払う)しなければなりません。

・売電による売上予測が立つ
太陽光の発電量が家で消費する電力量よりも多い場合は「売電」といって、電力会社に余った電力量を買ってもらい、収入にすることができます。大きな太陽光発電量があれば、余剰電力による収入を生む建物になります。

しかしさまざまな理由で、思ったような収入に結びつかないこともあります。売電収入も太陽光発電を導入する資金計画に入っているのであれば、太陽光発電量を把握しておく必要があります。

太陽光発電量を下げる要因については、次章で解説します。

2.太陽光発電の発電量が変わる10の原因

太陽光
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本章では、太陽光発電の発電量が変わってしまう10の原因をまとめました。主に、発電量のロスに関することです。太陽光発電量を安定確保するために、設置前・設置後と確認し、可能な限りロスの原因を取り除くようにしましょう。

2-1.カタログの数字と実際の数字の誤差

カタログに記載のある数字と、実際の発電量に差が出ることがあります。発電量に差が出るのは以下の2つが原因です。

カタログの発電量:理想の状態で計算
理想的な環境の中で発電したときの数値が書かれていることが多い。

実際の発電量:現実の環境下で計算
本章で説明している他項目の要因が複数影響しあって、実際の数値が出てきます。目安にするべきは、こちらの発電量です。実際の発電量は現場に来て算出してもらうしかありませんので、複数の会社に相見積もりをしてもらいます。

2-2.季節

日本は四季がありますので、季節によって太陽光発電量に違いが出ます。
太陽光発電の平均発電量がもっとも多い4~5月ごろは発電効率が高まります。冬は日照時間が減って日射量も減るので発電効率が下がります。最も少ない太陽光発電量は12月頃です。

太陽がたくさん照っている夏は太陽光発電量が最高値になりそうな気がしますが、実際には、太陽光発電システムが高温になることが原因で発電効率が落ち、発電量は春より少なくなります。

2-3.時間帯

太陽光発電量は日照が最大となる12時ごろをピークにして、11時から13時過ぎの時間帯でグラフが弧を描いています。下記の図は2020年8月某日に測定した東京都の日照時間データです。

太陽光

このデータベースを年間平均で見積もると、1日の太陽光発電量のうち3~4割がこの時間帯に発電されていることになります。
【参照:NEDO日射量データ閲覧システム

2-4.場所や気候

太陽光発電の発電量は、

  • 晴天(空の全雲量が2以上8以下の状態)の時に最大
  • くもり(空の全雲量が9以上で雨が降っていない)で半分くらいの発電

ができます。雨天時は日照が少なくなるため、ほとんど発電できません。

東西に細長い日本の気候は場所による影響があるため、場所と気候が太陽光発電量に影響します。以下は日本全国の日照量1年平均を地図化しているものです。場所によって日射量が変わっているのがわかります。以下のサイトは誰でも使用できますので、ご自身が設置を検討している地域を詳細に調べることもできます。

太陽光

【参照:気象庁 天気とその変化に関する用語
【参照:全天日射量年平均

2-5.パネルの汚れ

太陽光発電システムは屋外に設置するため、パネルに汚れがつき、これが発電量低下の原因になります。汚れには、以下のようなものがあります。

・雨による水アカ
雨が降って乾燥すると水アカがつきます。車の表面やお風呂の鏡につく汚れと似ています。

・砂と砂埃、土
風に乗って舞い上がった道路の砂や土が、パネルの上に落ちて薄く堆積します。

・台風や強風によって泥や木の葉が付く
台風の風によって運ばれた泥水や木の葉が張り付きます。

・風によって木の葉や枝などが飛来する(近所のものが多い)
風で舞い上がった近所に生えている樹木の枝葉が乗っていることがあります。

・鳥のフンなど

上記のような汚れの原因はありますが、ほとんどの家屋の屋根が掃除なしでも大丈夫なように、ソーラーパネルもほとんどの汚れは、雨風によって自然に掃除がされますので、太陽光発電量に著しい影響が出るほどの汚れがつくことは滅多にありません。

太陽光発電量は発電モニターを見ればいつでも確認できますので、万が一、モニターの数字が平均よりも低下した場合は、上記の汚れのいずれかが原因である可能性があります。その場合は、太陽光発電を取り付けた専門業者か、契約している保守管理会社へ連絡をして、パネルを確認してもらいましょう。

2-6.パネルの経年劣化

太陽光発電システムそのものはメンテナンスと消耗品交換しながら20~30年ほど使い続けることが出来ます。しかし、太陽光パネルの発電効率は経年劣化によって少しずつ効率が低下します。

太陽光発電システムと太陽光パネルにはどちらにも家電製品同様にメーカー保証がありますが、太陽光パネルの保証期間の目安は

産業用で25年
家庭用で10年

です。保証期間中であれば、故障や不具合があった際に修理や交換をしてもらえますが、保証期間が終わった場合は実費になります。

保証期間・保証内容・保証範囲はメーカーによって違いがあります。太陽光発電システムとパネルを選ぶときには、メーカーの保証内容や期間を必ず確認し、各メーカーの違いをよく比較検討しましょう。

2-7.太陽光パネル数

1章での説明通り、太陽光を受けて電気に変換するのは太陽光パネルですので、太陽光パネルの数が多ければ太陽光発電量は増えます。

しかし、実際には載せられるパネル数は屋根や敷地の広さと比例し、さらに予算と資金計画の問題もありますので、出来る範囲での最大量・最大効率を目指すしかありません。

2-8.太陽光パネルの変換効率

太陽光パネルには変換効率があり、この効率数が高いパネルほど、より多くの太陽光発電が出来ます。パネル素材には数種ありますが、日本国内では結晶シリコン系太陽電池がシェアの8割を占めていますので、今回はこの結晶シリコン系太陽電池の中でパネル素材別に太陽光パネル変換効率を比較します。

1.単結晶パネルの変換効率>>>20%程度
シリコン結晶が規則正しく並んでいるため発熱効率が良い。面積が狭くてもある程度の発電ができるため、住宅用に適している。

2.多結晶パネルの変換効率>>>15%程度
シリコン結晶が規則正しく並んでいないため、発熱効率は1に比べると低め。しかし安価なため大きな面積が必要な産業用に適している。

3.薄膜パネルの変換効率>>>10%程度
薄くて軽量だが発熱効率は低め。携帯時計などに使われていたが、屋外での実用化は年数が少なく、本格的な実用化は先の話。
【参照:NEDO 再生可能エネルギー技術白書

2-9.パワーコンディショナー(変換器)の効率

普段私たちが利用している電力会社からの電気は、交流型電気といいます。太陽光発電システムで発電した電気は、直流型です。

パワーコンディショナーは、太陽光パネルで発電した直流型の電気を交流型に変換してくれる装置です。直流→交流に変換するときにエネルギーロスが発生しますので、出来る限り変換効率の高いものを選びましょう。2020年現在、95%前後が平均です。

2-10.設置する方角や角度

太陽光の発電量を最大化させるポイントは3つあります

1.真南
太陽光パネルの向きは真南です。2章で解説した通り、太陽光発電量の3割は11~13時の時間帯に起きます。そのため、パネルは真南に向いている必要があります。

2.入射角
太陽光パネルに入ってくる太陽光の角度です。入射角が直角に近ければ近いほど、太陽光の発電効率が良くなると言われています。

3.メンテナンス
定期的な掃除などを含めたメンテナンスです。これらの設置や設定は専門業者が行います。設置後に効果があるのは3のメンテナンスですので、メンテナンスが丁寧な業者を選ぶと良いでしょう。

3.太陽光発電が向かない建物はある

太陽光
(画像=lastpresent/stock.adobe.com)

太陽光発電システムを導入したいが、家屋や土地が太陽光発電に向いていない場合もあります。向いていない条件はいくつかありますが、以下の4つは太陽光発電システムを設置しても、十分な太陽光発電量を確保できないため、見送った方が良いでしょう。

それ以外の理由でしたら、一度見積もりを依頼して、検討してみる価値があります。

3-1.北向きの屋根しかない建物

本記事1章で解説した通り、太陽光発電に必須の日射量は、1年を通じて11~13時の間に最大量になることがわかっています。そのため、屋根またはパネルが真南を向いている必要があります。

屋根が北向きの場合は、設置をしても必要な日射量が確保できず最も効率の悪い屋根の向きとなります。期待している発電量が起きないため、おすすめできません。

また、北側の屋根に設置したとしても、太陽光は太陽電池に反射して、北側にある隣家に反射光が入ってしまい、光害になります。このような理由から、北側の屋根にしか設置が出来ない場合は現時点では採用をしないほうが良いでしょう。

3-2.設置できる屋根面積が小さい建物

設置しているパネル数=太陽光発電量に比例しますので、屋根の面積が小さい場合は十分な発電量が確保できなくなります。その結果、1kWあたりの工事代金が高くつきますので、慎重に検討したほうが良いでしょう。

3-3.昼間の電気使用量がとても多い建物

太陽光発電のメリットは、基本的に日中に使う電気量が少ないことが前提です。そのため、昼間に家族のほとんどが毎日家にいて、電気消費量がとても多い家屋や建物には太陽光発電システムはあまり向いていません。理由は、太陽光発電システムを設置するメリットは、

①電気を自家発電して電気を購入しなくてもよいようにする
②そのうえで、余った電気による売電で収益を得る

の2本立てですが、まず、電気使用量が多いと①で不足する電力を電気会社から購入しなければならない可能性がある上に、②の売電も出来なくなってしまいます。

現在、売電価格は非常に高く設定されていますので、太陽光発電による売電メリットを大きくするには出来るだけ自宅で完全消費をせずに、余剰電力として売電に回す方がトクなのです。つまり、昼間はほとんど電気を使わずに、売電に専念してもらうほうがトクな建物になります。

ただし、昼間家にいる人たちが節電にも協力的で、全員が①②の両方を満たそうというしているのであれば、発電量が多い場合は上手に運営できる可能性もあります。

実際にできるかどうかは、太陽光発電量と電気使用量を比較する必要があるので、数社の見積もりを取ってからメリットが十分にあるかを慎重に検討してみると良いでしょう。

3-4.メーカーの設置基準などを満たさない建物

太陽光発電メーカーの設置基準は、効率よく電気を生み出すためのものです。メーカーごとに設置基準の表現は少しずつ違いますが、ハッキリと条件が合わない場合は、無理に設置しても太陽光発電システムを使う意味がなくなってしまいますのでおすすめができません。また、

  • 家屋が太陽光発電設備の重たさに耐えられそうもない
  • 工事によって近隣に迷惑がかかる
  • 必要な太陽光発電量を確保するため、太陽光パネルが屋根からはみ出す
  • その他、様々な安全性が確保できない

などの理由がある場合もおすすめできません。家屋とその安全性などに関して心配な方は、太陽光発電の見積もり前に家屋の耐震診断、近隣への了解なども含めた事前準備をしてみましょう。耐震診断は各市町村の生活課などで無料診断があります。
【参照:例 渋谷区無料耐震相談会

まとめ

いかがでしたでしょうか。太陽光発電量について以下のようにまとめました。

  1. 太陽発電量の計算方法
  2. 太陽光発電の発電量が変わる10の原因
  3. 太陽光発電が向かない建物はある

ご自身が設置を検討している場所でのおおよその目安がついたのではないでしょうか。より現実的な数値を得るためには、実際の日射量や屋根の角度などを入れた計算が必要です。パンフレットなどから気になっているメーカーに連絡をして、相見積もりをして比較をすると更に本格的な数字がわかります。

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