買取価格だけで選ぶな 卒FITの電気買取、注目の3サービスを独自評論
(画像=Looker_Studio/stock.adobe.com)
本間貴志
本間貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自主管理で賃貸経営をする不動産投資家の顔も持つ。

卒FIT、NON-FITの太陽光発電システムを所有するオーナー向けの電気買取サービスが増えています。ここでは、新電力が提供する注目の3サービスを複数の視点(企業の信頼性、サービス内容、買取価格)で独自評論。これを読めば、電気買取サービス選びのコツがわかります。

電気買取サービスは、買取価格だけで選んではいけない

卒FIT、NON-FITの太陽光発電システムの電気買取サービスを選ぶ際、オーナーが重視するのは買取価格でしょう。大半のオーナーが「買取価格が少しでも高い業者と契約したい」と考えるはずです。しかし、買取価格だけでサービスを選ぶのは避けてください。

なぜなら、いくら現時点の買取価格が高くても、それが変更になる可能性があるからです。仮に、競合他社よりも極端に買取単価が高いサービスがあったとしたら、どこかでムリをしている可能性もあります。経営にひずみが出て買取価格が払えなくなる、あるいは、買取価格がどこかで下がるなどのリスクがあります。

太陽光発電の電気買取サービスを選ぶときは、「買取価格の入金が滞ることはないか」「中長期的に安心して取引できるか」が大事です。これをチェックするには、「買取価格」に「企業信頼性」と「サービス内容」を加えた、3項目で比較するのが賢明です。

新電力が提供する3つの電気買取サービスを独自評論

今回は、イーレックス、Looop、スマートテックが提供する3つの電気買取サービスを取り上げます。

電気買取サービス1:イーレックス(EGR) 新興電力の中では「無難」な選択

イーレックスの電気買取サービスは、競合他社に比べて圧倒的なアドバンテージはないものの企業信頼性、サービス内容、買取価格のバランスがよい「無難な選択」です。

・イーレックス(EGR)の企業信頼性
イーレックスのグループ会社、エバーグリーン・リテイリング(略称:EGR)は2020年6月から卒FIT後の電気買取サービスを開始しています。イーレックスといえば、エネルギー新興勢力のリーダーカンパニー。バイオマス発電で注目される東証1部企業です。2021年3月期の売上高は1,367億円で、6年前と比較して約8倍に伸びています。このグループの成長力はユーザーにとって安心材料になります。

・イーレックス(EGR)の電気買取サービス内容
イーレックス(EGR)の電気買取サービスが利用できるエリアは「全国(沖縄と離島除く)」です。契約手続きは「web上で簡単申込」ができます。ただ、これらの内容は競合他社も同様なので(詳細は後述)、これ自体はアドバンテージになりません。

・イーレックス(EGR)の電気買取価格
イーレックスの電気買取価格は、今回取り上げた3つのサービスのうち、2番目に高い設定(2021年5月末時点)です。買取価格だけで見ると「可もなく不可もなく」というところでしょう。

エリア買電価格
北海道10.5円/kWh
東北・関東10.0円/kWh
中部・北陸・関西・中国・四国9.5円/kWh
九州8.8円/kWh
※スタンダードプランの内容
※同社の「低圧の電気契約」をすると単価が0.5円アップ

電気買取サービス2: Looop 同社の買電サービス利用者なら選択も

Looop(ループ)の電気買取サービスは、今回取り上げた3つのサービスの中で買取価格が最も安く、さらに買取条件の制約があります(※)。2021年5月末時点では、Looopの買電サービスを利用しているユーザ以外、同社の電気買取サービスを選択するメリットが見当たりません。

※同社のいくつかある電気買取サービスのうち、ここでは「Looop FIT」で比較

・Looopの企業信頼性
Looop(ループ)は上場こそしていませんが、メディア露出が高い注目のスタートアップ企業です。東日本大震災の被災地に太陽光パネルを設置するボランティアをきっかけに2012年に設立。2020年3月期の連結売上高は500億円超に達しています。

・Looopの電気買取サービス内容
泊まれる太陽光発電所、非化石証書付の電力販売など、再生可能エネルギーをテーマにした話題性の高いサービスを次々に打ち出しているLooopですが、電気買取サービスだけで見ると独自性・優位性が感じられません。

まず、イーレックスとほぼ同じサービス内容は「全国の太陽光発電で買取可(沖縄や離島を除く)」「web上で簡単申込」「初期費用・解約金なし」などです。

両社で違いがあるのは、「買取条件」の部分です。Looopの場合、買取サービスを利用できるのは同社の買電サービス(Looopでんき)の契約者またはこれから契約する人限定となっています。これに対して、イーレックスは同社の買電サービスの契約者以外でも利用できます。

・Looopの電気買取価格
Looopの電気買取価格はエリアによって異なるものの、おおむねイーレックスのほうが2円程度高いです。ただし、各社の買取価格は変動する可能性があります。そのため、必ず直近の買取価格をもとに比較してみてください。

エリア買取価格
北海道・東北・東京電力エリア8円/kWh
中部・北陸・関西・中国・四国・
九州電力エリア
7円/kWh

電気買取サービス3:スマートテック 業界最高値を打ち出す

売上規模ではイーレックス、Looopに劣るスマートテックですが、今回取り上げた3つのサービスのうち、2021年5月末段階ではもっとも魅力的な内容を打ち出しています。企業規模による安心感よりも実を取るというオーナーに向いています。

・スマートテックの企業信頼性
スマートテックは、2005年創業、本社が2拠点(茨城県水戸市と東京)にある新電力です。太陽光発電、住宅リフォームなどの事業をベースに成長し、最近ではスマートシティの構築や太陽光発電のPPA事業にも力を入れています。

スマートテックの直近の売上規模は73億円(2020年3月期)。この部分だけで見ると、1,367億円のイーレックス、500億円超のLooopとは大きな開きがあります。

・スマートテックの電気買取サービス内容
前出の2社とスマートテックの電気買取サービスを比較すると、「全国の太陽光発電に対応(沖縄や離島を除く)」「web上で簡単申込」「初期費用・解約金なし」などは共通です。また、買取条件については、同社が提供する電気の買電契約をしなくても、買取サービスを利用できます。

スマートテック独自のサービスとしては、「発電量見守り機能」が0円で利用できます。これは予め設定された「想定発電量」よりも実際の発電量が劣っている場合、異常を知らせてくれるものです。これにより、太陽光発電システムの故障や破損による発電ロスを最小限に抑えられます。

・スマートテックの電気買取価格
スマートテックでは2021年5月段階で「業界最高値級(※)」を打ち出しています。前出の2社はもとより、ほかの競合企業と比べても電気買取が業界最高ランクです。

※GMO NIKKO株式会社調べ(2021年5月現在)

エリア買取価格
東京・東北電力エリア11.5円/kWh
中部・関西・中国・九州電力エリア10円/kWh

要注意!サービス提供事業者は「買取価格」を簡単に変えられる

今回は、新電力3社にフォーカスして卒FIT後(NON-FIT)の電気買取サービスを比較しました。もちろん、大手も含めて他にも電気買取サービスはあり、これからも新規参入が続く可能性もあります。

それらのサービスを比較する際も、複数の視点(企業の信頼性、サービス内容、買取価格)で精査することをおすすめします。

それでも「最終的には買取価格の高さが重要ではないか」という考えのオーナーもいるかもしれません。しかし、サービス提供事業者が買取価格を変更するのは意外に簡単です。

あるサービス提供事業者の電力買取サービスの「重要事項説明」の内容を見てみると、「買取金額を変更する際は公式サイトに掲載する」というような記載があります。つまり、「買取価格をいつから、いくらに変更する」という内容をサービス提供事業者は一方的に決められるのです。

それくらいサービス提供事業者にとって、電気の買取価格の変更は簡単なことです。この事実を踏まえたうえで、電気買取サービスを選択しましょう。

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