衰退企業化していませんか? 脱炭素・再エネ推進の失敗パターンと成功ポイント
(画像=Shutter2U/stock.adobe.com)
本間貴志
本間貴志
ビジネス書・実用書専門の「アスラン編集スタジオ」の編集ライターを経てフリー。2015年より秋田県に移住、テレワークによる柔軟な働き方を実践中。

「脱炭素や再エネに取り組んでいないから、御社と取引できない(融資できない)」
顧客・取引先・金融機関から、そんな宣告をされる時代になりました。その淘汰の波は大企業だけでなく、中小企業にも及んでいます。

それだけにSDGs対応や、その核となる脱炭素・再エネ推進は急務です。とはいえ、闇雲に進めても失敗します。プロジェクトを成功させるためのポイントを解説します。

SDGsやESGに取り組まない企業の淘汰が進んでいる

前提として、SDGsやESGの取り組みは、企業の規模や業種に関係なく、すべての企業で進めなければならない課題です。SDGsやESGに取り組まなければ、「企業イメージが悪くなる、信頼性がなくなる」といった生易しいことではありません。

大手企業であれば、顧客・金融機関・機関投資家などからSDGsやESGへの取り組みを厳しくチェックされる経営環境にシフトしています。さらに、このチェックは、大手企業の取引先やサプライチェーンなどの中小企業にも及んでいます。

このSDGsやESGを進める上で欠かせないテーマが、脱炭素や再エネ(再生可能エネルギー)推進です。脱炭素や再エネ推進なしのSDGsやESGはありえません。

それだけに、「御社は脱炭素に取り組んでいないから新規取引ができない」あるいは「再エネ利用に後ろ向きなので今後お付き合いできない」といったことが現実的に起きはじめています。

企業が脱炭素や再エネ推進で失敗する典型的なパターン

SDGsやESGの取り組みで淘汰されないためには、是が非でも脱炭素や再エネ推進を成功させなければなりません。「本業の余力で環境貢献のためにやるか」くらいのモチベーションでは失敗し淘汰されます。

だからといって、経営者や担当者が脱炭素や再エネ推進を闇雲に進めても上手くいきません。典型的な失敗パターンは次の内容です。

  • そもそも自社のCO2などの発生量を把握していない
  • SDGsやESGの専門知識を持っている人材がほとんどいない
  • 環境系の社内勉強会ばかりやっている(実行に移さない)
  • 社長や経営陣が独断でプロジェクトを進めている
  • 取り組むべきタスクと目標があいまい

企業が脱炭素や再エネ推進を成功させるための5つのポイント

上記の失敗パターンを回避して、脱炭素や再エネ推進を成功させるには、下記の5つのポイントが必須です。

  1. 自社の環境負荷を数値で把握する
  2. SDGsやESGのリテラシーを高める
  3. プロセスを全社で共有する
  4. 担当者を決定する
  5. KPI(成果目標)を設定する

上記のポイントが1つでも欠ければ、プロジェクトは失敗します。その内容をくわしく見ていきましょう。

脱炭素の成功ポイント1:自社の環境負荷を数値で把握する

企業が脱炭素や再エネ推進を始めるときに欠かせないのは「自社がCO2などをどれくらい発生させているか」を数値で確認することです。なぜなら、この部分が抜け落ちると、具体的な目標設定や、それに基づくPDCAサイクルが実行できなくなるからです。

環境負荷の確認の一例では、オフィス、工場、現場などでどれくらいCO2を発しているか。あるいは、部門ごと、工程ごとにどれくらいCO2を発しているかを数値で把握していきます。

こういった環境負荷の確認を実行するには、環境マネジメントシステムを取得するのがベストですが、費用と期間がかかるため、中小企業ならまずは専門業者の環境測定サービスを利用してみるのがおすすめです。

脱炭素の成功ポイント2:SDGsやESGのリテラシーを高める

脱炭素や再エネ促進を進めるには、全社的にSDGsやESGのリテラシーを高めることが大事です。これにより、従業員一人ひとりに「自分ごと」の意識が生まれ、アイデア出しや取り組みが活性化しやすくなります。具体的な方法としては、社内勉強会、研修会社やNPOが主宰するセミナー受講などがあります。

注意したいのは、社内勉強会やセミナー受講の繰り返しで取り組みが終わってしまわないことです。学んだことを経営計画や部門ごとの目標に落とし込み、さらに全社を挙げて実行していくことに意味があります。「取り組みのゴールが社内勉強会」の失敗に陥らないため、「リテラシーの強化」と「脱炭素の実行」を並行して進めていく必要があります。

脱炭素の成功ポイント3:プロセスを全社で共有する

企業で脱炭素や再エネ推進を実行するときに意識したいのは「プロセスの共有」です。「環境負荷を減らすには何をしたらいいか」を経営陣が独断で決めるのではなく、全社からアイデアや意見を募り、それをもとに経営陣(あるいは、専門チームや部署)がやるべきことを決定していくのが望ましいです。

そして、この意思決定で大事なことは、アイデア出しや絞り込みなどの過程を社内にオープンにすることです。これにより、「みんなで決めたプロジェクト」という雰囲気が醸成されやすくなり、「社長や経営陣が独断で決めている」という失敗を回避できます。

脱炭素のポイント4:担当者を明確にする

当然ながら、「誰が脱炭素や再エネ推進をするのか」を決めなければ、プロジェクトは進みません。担当者決めの方法としては、「専門の部署やチームの立ち上げ」「複数の部署からメンバーを募る」「経営陣の誰かが中心になる」などの選択があります。どれを選択すればよいのかは、企業ごとの事情によって変わってきます。

担当者決めで意識したいのは、成果と報酬を紐付けることです。例えば、営業とSDGsを兼任する担当者がいたとして、営業業務は評価されるのに脱炭素の業務は評価されないという状態では、「脱炭素に関わる業務をなるべく減らそう」という考え方になってしまいます。

脱炭素化の成功ポイント5:KPI(成果目標)を設定する

企業が脱炭素や再エネ推進を継続的に進めて成果をあげるには「KPI(成果目標)の設定」も必須です。この過程では、CO2などの削減目標や再エネ利用率を数値で示します。全社的な目標だけでなく、部門ごと、チームごとの削減目標に落とし込むことで「自分たちが取り組むこと」という意識が高まりやすいです。

KPIの設定では、「いつまでに、どれくらい達成するか」の期限を区切ることも大事です。この部分が抜け落ちると、脱炭素や再エネ推進がしっかり進んでいるか否かが判断しづらくなります。なお、自社だけでKPIの設定ができないのであれば、環境系の専門家(コンサル、大学教授、NPOなど)にサポートしてもらうことをおすすめします。

脱炭素や再エネ推進は「最優先の経営課題」である

脱炭素や再エネ推進なしではこれから先、企業の成長はあり得ません。脱炭素や再エネ推進は、「環境貢献のためにできる限り努力しよう」というものではなく、企業の存続に関わる「最優先の経営課題」なのです。

では、脱炭素や再エネ推進を「最優先の経営課題」にするには、具体的にどうしたらよいでしょうか。これについては、経営陣や従業員が「SDGsが一番大事なこと」と常に意識できる環境づくりを進めるべきです。

例えば、「経営理念に反映させる」「経営計画の冒頭に掲げる」「環境研修を従業員の必修にする」などの施策が考えられます。

御社がもし、SDGsへの取り組みを現段階で進めていないなら、淘汰の波が迫っています。経営陣や従業員などの立場は関係ありません。自分ごととして何ができるかを考え、行動しましょう。

企業という枠を超えて、一人のビジネスパーソンとしてもSDGsの意識が低い人が活躍しづらい環境になりつつあります。

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