巨額の資金を集めた「未来の世界(ESG)」とはどんなファンドか
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丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

投資信託のなかでも存在感を増しつつあるESG投資ですが、2020年に大きく注目されたファンドが「未来の世界(ESG)」です。歴代2位の設定金額を集めた「未来の世界(ESG)」は、どのようファンドなのでしょうか。同ファンドの組入銘柄やメリット・デメリット、運用成績を紹介します。

いよいよ本格化してきたESG投資の時代

2020年7月20日に投資信託「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」が発売され、3,830億円という巨額の資金を集めて話題となりました。当初の設定額としては歴代2位の金額で、このファンドに対する期待の大きさがわかります。

「未来の世界(ESG)」は、「持続可能な競争優位性を有し、高い利益成長が期待される企業のうち、市場価格が理論価格より割安かつESG評価の観点から企業価値の向上が期待できる銘柄を厳選してポートフォリオを構築する」(目論見書より)ファンドです。投資先である「グローバルESGハイクオリティ成長株式マザーファンド」の組入比率は次のとおりです。

  • 業種別組入比率(2021年3月31日基準)
    情報技術39.5%、一般消費財・サービス18.4%、コミュニケーション・サービス15.0%、資本財・サービス7.4%、金融7.0%、ヘルスケア6.7%、素材5.9%
  • 国・地域別組入比率
    米国71.5%、インド7.0%、中国5.3%、カナダ4.6%、デンマーク3.4%、イタリア3.4%、日本2.6%、フランス2.2%
  • 通貨別組入比率
    米ドル88.4%、ユーロ5.6%、デンマーク・クローネ3.4%、日本円2.6%
    上記3項目 出処:みずほ証券

当初設定額3,830億円でスタートした「未来の世界(ESG)」は、2021年4月16日時点では純資産総額が1兆円を超えています。本格的なESG投資の時代がやってきたと考えてよいのではないでしょうか。

「未来の世界(ESG)」の組み入れ銘柄は?

次に、「未来の世界(ESG)」にはどのような銘柄が組み入れられているのかを確認します。2021年2月26日を基準とする組み入れ比率上位10銘柄は下表のとおりです。

▽未来の世界(ESG)組み入れ比率上位10銘柄

銘柄国・地域業種比率
1マスターカード米国情報技術7.8%
2アマゾン・ドット・コム米国一般消費財・サービス7.2%
3TALエデュケーション中国一般消費財・サービス6.9%
4HDFC銀行インド金融6.7%
5ウーバー・テクノロジーズ米国資本財・サービス6.7%
6サービスナウ米国情報技術6.1%
7ウォルト・ディズニー米国コミュニケーション・サービス5.8%
8ビザ米国情報技術5.2%
9アドビ米国情報技術4.8%
10スクエア米国情報技術4.2%

出典:アセットマネジメントOneマンスリーレポート(2021年2月26日時点)

米国4大IT企業群GAFAの一角、アマゾン・ドット・コムが高い比率で組み入れられているのが目を引きます。通販のイメージが強いアマゾンですが、風力発電所「Amazon Wind Farm Texas」を運営し、SDGsに積極的な企業でもあるのです。米国の太陽光エネルギー産業協会調べ(2018年度)による太陽光発電設備の容量トップ10でもアマゾンはアップルに次いで2位にランクインしています。

アマゾンのほかにもウーバー・テクノロジーズやアドビなど最先端企業も含まれていることから、ESG投資と成長株投資の魅力を併せ持ったファンドと考えることもできます。

「未来の世界(ESG)」のメリット・デメリット

「未来の世界(ESG)」のメリットはシリーズ化されているファンドのため、運用手法が確立されていることです。下表にあるように発売されたファンドすべてが設定時の価額(1万円)を上回っています。元本割れの可能性が低いことは投資家にとって安心感につながるでしょう。

最低でも1.7倍以上になっている実績から「未来の世界(ESG)」に大量の資金が集まったものと思われます。

▽未来の世界シリーズ1~7本目の運用成績(2021年4月16日時点)

ファンド名基準価額純資産残高
未来の世界(限定為替ヘッジ)2万6,374円1,195.34億円
未来の世界(為替ヘッジなし)3万412円7,360.41億円
未来の世界(年2回決算型)(限定為替ヘッジ)1万7,016円183.39億円
未来の世界(年2回決算型)(為替ヘッジなし)1万7,237円2,316.29億円
未来の世界(新興国)1万8,751円1,210.55億円
未来の世界(先進国)(為替ヘッジあり)1万7,846円124.68億円
未来の世界(先進国)(為替ヘッジなし)1万8,289円1,480.03億円
シリーズ1~7合計 1兆3,870.69億円

デメリットは、購入できる金融機関が限られていることです。販売会社はみずほ証券、みずほ銀行、みずほ信託銀行のみずほグループ3社のみです。また、販売手数料が最大3.3%と非常に高いのがネックといえます。

いまは多くのファンドが手数料無料で買付できることを考えると3.3%の手数料は負担に感じるかもしれません。さらに、先に紹介した組入比率にあるように、日本株の組入比率が2.6%しかないので、国内企業に投資したい人には向いていません。

「未来の世界(ESG)」の運用成績は?

巨額の資金を集めた「未来の世界(ESG)」ですが、運用成績はどうなっているでしょうか。2021年4月16日時点の基準価額は1万2,448円で、設定来リターンは24.48%となっています。過去に販売したシリーズのファンドがいずれも1.7倍以上の基準価額になっていることを考えると、まだ上昇の余地があると考えるのが妥当でしょう。

純資産総額は1兆954億8,300万円で1兆円の大台を突破しました。特に注目したいのが、1~7本目の合計純資産残高が1兆3,870.69億円に対し、「未来の世界(ESG)」は1本で1兆円を突破したことです。投資家の間にESGへの関心が高まっていることがうかがえます。

▽シリーズ8本目「未来の世界(ESG)」の運用成績(2021年4月16日時点)

ファンド名基準価額純資産残高
未来の世界(ESG)(為替ヘッジなし)1万2,448円1兆954.83億円
シリーズ1~8合計 2兆4,825.52億円

【未来の世界(ESG)の購入条件】みずほ証券で申込の場合
・信託期間 2030年7月12日まで
・繰上償還 純資産が30億円を下回った場合に実施の可能性あり
・購入価額 購入申込受付日の翌営業日の基準価額
・購入時手数料 1億円未満3.3%(税込、以下同)、1億円以上3億円未満1.65%、3億円以上0.55%
・換金時手数料 無料
・信託財産留保額 換金申込受付日の翌営業日の基準価額に0.3%を乗じて得た額
・信託報酬 ファンドの日々の純資産総額に対して年率1.848%

個人もESG投資で優良企業を支援できる

ここまで、巨額の資金を集めた投資信託「未来の世界(ESG)」について見てきました。ESG投資のファンドに資金が集まるのは喜ばしいことです。ESG活動をとおして社会に貢献する企業の株価が上がり企業価値が高まれば、ESG活動が不足している企業に対し改善を促すことにつながります。

日本経済新聞の報道によると、米国主要企業の経営者団体である「ビジネスラウンドテーブル」は、これまでの株主第一主義を見直し、従業員や地域社会などの利益を尊重する事業運営に取り組むと宣言しています。

この声明にはアマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOも名を連ねています。同紙は、この宣言が投資家の利益を優先してきた米国型資本主義にとって大きな転換点になるとみています。

「未来の世界(ESG)」に組み入れられている銘柄は、成長力のある優良企業というだけでなく、ESGにも積極的に取り組んでいる、環境や社会に優しい企業でもあります。日本株が少ないのは残念ですが、ファンドの購入をきっかけにさらにESG投資への機運が高まることが期待されます。

また、個別銘柄に投資する場合も各企業の事業内容を精査し、ESG活動に積極的な企業を選ぶことで、個人でもESGの発展に貢献することができます。

※本記事は「未来の世界(ESG)」の概要を紹介したもので、当該ファンドへの投資を推奨するものではありません

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