長期投資に向いている連続増配日本一、花王のESG戦略に注目!
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丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

ESG投資を行う場合、長期投資が前提になるため、保有を続けるには配当金によるインカムゲイン収入が重要になります。そこで注目したいのが、31年間増配を継続中で連続増配日本一の記録を持つ花王です。花王はどのようにESG活動に取り組んでいるのでしょうか。花王のESG戦略と株価指標を紹介します。

ESG投資は長期的視点が重要

株式投資には短期投資、中期投資、長期投資の3つのスタンスがあります。短期投資と中期投資は基本的には、値上がりによるキャピタルゲインを得ることが目的です。志を持った投資というよりは、目先の株価材料によって売買を判断することが多いでしょう。

ESG投資は、2050年のカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量と吸収量が同じであるという意)達成を見据えた長期的な投資が基本です。株価の成長とESG活動による社会貢献を両立させる企業に投資することで、大きなリターンを期待するのが基本的なスタンスです。その意味で、ESG投資は短期間で大きな利益を上げるのは難しい投資方法といえます。

長期投資を目指す場合、目先の株価に左右されないためには、保有しているだけでメリットがあることが大事です。短期投資と中期投資がキャピタルゲインを目的にするのに対し、長期投資は配当金によるインカムゲインがメインになります。

配当金が伸びていけば、株価もそれにつれて上がっていくでしょう。業績の伸長による株価の成長と安定的な配当金の増加を見込める銘柄に投資することが、投資を成功させるためのポイントになります。

長期投資に向いている連続増配株

ESG投資に適した銘柄のなかでも、連続増配株は長期投資に向いています。連続増配株は1度購入してそのまま保有していれば年々配当利回りが上がっていきます。

日本企業で最も長く連続増配を続けているのがトイレタリー最大手の花王(東証1部・4452)です。花王は2020年12月期で31期連続増配を達成しています。米国では25年以上連続増配している企業を「配当貴族」と呼び、多くの該当銘柄が存在しますが、日本では花王とリコーリースの2社しかありません。

2016年12月決算の1ヵ月前(2016年11月30日)に終値5,267円で花王株を購入していたと仮定すると、5年間の配当金と配当利回りは下表のように変化します。

▽花王配当金の推移(2016年11月30日に5,267円で購入した場合)

決算期配当金配当利回り
2016年12月94円1.78%
2017年12月110円2.09%
2018年12月120円2.28%
2019年12月130円2.47%
2020年12月140円2.66%

5年間の保有で配当利回りが1%近く高くなっています。購入してそのまま保有している限り買値に変化はないため、今後も増配が続く限り配当利回りも上昇していくことになります。獲得した配当金を単元未満株で再投資すれば、複利効果でさらに利回りが上がります。

また、株価自体も購入時の5,267円から2021年4月16日の時点で7,240円に値上がりしています。株価上昇率は37.5%(年率換算7.5%)です。これが成長株を長期で保有する株式投資の醍醐味といってよいでしょう。

花王のESG戦略と評価

次に花王のESG活動に対する取り組みと、外部機関からの評価について見てみます。花王はESG戦略として「Kirei Lifestyle Plan」というビジョンを掲げています。花王はESGについて公式サイトのなかで「My Kirei Lifestyle」と題して、具体的な行動目標を次のように公表しています。

快適な暮らしを自分らしく送るために
・QOLの向上
・清潔で美しくすこやかな習慣
・ユニバーサルプロダクトデザイン
・より安全でより健康な製品
思いやりのある選択を社会のために
・サステナブルなライフスタイルの推進
・パーパスドリブンなブランド
・暮らしを変える製品イノベーション
・責任ある原材料調達
よりすこやかな地球のために
・脱炭素
・ごみゼロ
・水保全
・大気および水質汚染防止
正道を歩む
・実効性のあるコーポレートガバナンス
・徹底した透明性
・人権の尊重
・受容性と多様性のある職場
・社員の健康増進と安全
・人財開発
・責任ある化学物質管理

出典:花王公式サイト「サステナビリティ」

脱炭素のようなグローバルな課題から、責任ある原材料調達のような自社の課題まで、幅広い項目を設けて社会に貢献しようとしています。この花王のESG戦略は外部からも高く評価されています。

おもな評価の例を挙げると、米国のシンクタンクEthisphere Instituteが毎年発表している、透明性、誠実さ、倫理、コンプライアンスに優れた企業を表彰する「世界で最も倫理的な企業」に、表彰制度が創設された2007年から2020年まで連続して選定されています。

また、フランスのEcovadis社による、サプライヤー企業の持続可能性を評価・モニタリングするプラットフォームEcovadisのCSR Ratingで2018年から連続してゴールドに認定されています。

ESG投資の対象銘柄としての評価も高く、次のような代表的なESG投資のインデックスに組み入れられています。

・FTSE4Good Global Indexで環境、社会、ガバナンスの基準を満たしている企業として2008年から連続して選定
・MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数でESG評価に優れた企業として2017年から連続して選定
・S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数で、環境情報の開示状況、炭素効率性の水準が優れた企業として2018年から連続して選定

企業としてのESG活動が評価され、ESG投資のインデックス採用銘柄にも選定されている花王は、これから2050年を目指す長期投資には最も適した銘柄の1つと考えてよさそうです。

花王の投資指標は?

では、花王の投資指標を確認しておきましょう。2020年12月期の1株利益、1株純資産から算出した投資指標は次のとおりです。

【花王投資指標】(会社四季報、2020年12月期基準)
・株価:7,240円(2021年4月16日終値)
・1株利益:262.3円
・PER:26.60倍
・1株純資産:1,921円
・PBR:3.77倍
・1株配当金:140円
・配当利回り:1.93%(2021年4月16日終値で算出)

1株配当金を1株利益で割った配当性向は53.37%、利益剰余金は7,788億8,600万円ありますので、増配余力は十分にあります。自己資本比率も大型企業としては55.5%と優秀です。

有利子負債は1,276億9,400万円で総資産1兆6,656億1,600万円に占める割合は7.7%に過ぎません。極めて安全性が高い指標といってよいでしょう。

花王株の今後の見通し

最後に花王株の今後の見通しについて展望します。花王は、日用品を主力にしていますので、業績に大きなブレがないのが特長です。前期は化粧品が新型コロナウィルスによるマスク着用の影響で需要の減退が見られました。

今期も苦戦するものの、下期にかけ回復を見込んでいます。コロナの影響を受けにくい衣料用洗剤や衛生関連、ケミカルなどは堅調で、全体の業績は微増益となる見通しです。

【会社発表の2021年12月期業績見通し】
売上高1兆4,300億円(前期比+3.5%)、営業利益1,770億円(同+0.8%)、税引き前利益1,770億円(同+1.7%)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,270億円(同+0.7%)、基本的1株当たり当期利益266.98円

2021年4月16日現在の株価水準は、PER26.60倍、PBR3.77倍と割高な水準にあります。上場来高値は2018年に付けた9,387円ですが、割高感もあり現在は23%程度下の水準まで下がっています。今後も大幅な上昇は見込みにくいものの、下値は堅いと思われます。

花王株の魅力は連続増配記録に見られるような積極的な株主還元策です。先に紹介したように増配余力はまだ十分にあります。2021年12月期も増配を予定しており、連続増配記録を32期に伸ばす見込みです。加えてESG関連株として注目される可能性もあり、長期投資に適した銘柄であることに変わりはないでしょう。

※本記事は花王のESGに対する取り組みや配当政策を紹介したものであり、当該銘柄への投資を推奨するものではありません

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