不動産投資を始めて「失敗したかも」と感じた人が始めにやるべきこと
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本間貴志
本間貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自主管理で賃貸経営をする不動産投資家の顔も持つ。

不動産投資で「失敗したかも」と感じた人が始めにやるべきことは、「損切り(売却)か、収支改善か」の2択を正しく選択することです。この判断をするときの目安例と損切り・収支改善の進め方についてわかりやすく解説します。
※マンション経営などローンを組んで不動産投資をしている人を前提にした内容です。

不動産投資で失敗したときのNG行動は「焦って処分」「何もせず放置」

不動産投資で失敗した人にありがちなのが、不動産会社の営業マンのセールストークを鵜呑みにして不動産投資を始めてしまうケースです。

そして、思ったような成果を得られない段階で本、ネット上の記事、YouTubeなどで情報収集をして「失敗した」「だまされた」と気付くパターンです。こんな状況に陥ったとき、とってはいけないNG行動が2つあります。

NG行動1:焦って処分してしまう

NG行動の1つ目は「焦って処分してしまう」です。たとえば、業者にだまされたと感じてやみくもに安値で処分すれば、「購入したとき」に加えて「売却したとき」の二重で損失が発生します。とくに最近のネットの情報は危機感を煽る内容が多いため、それに影響されて早急な判断をしてしまうケースもあるでしょう。

不動産投資で失敗したときの解決策は売却だけではありません。場合によっては収支改善をしたほうが得策ということもあります。そのため、まずは「損切り(売却)か、収支改善か」を正しく判断する必要があるのです。

NG行動2:放置してしまう

NG行動の2つ目は「放置してしまう」です。不動産投資が上手くいっていないのに放置する理由は、たとえば収支の赤字分が毎月口座から目減りするものの、それほど大きな額ではないのでそのままにするといったケースが考えられます。

しかし、不動産投資で得られる家賃は、築年数が1年増えるごとに1パーセント程度ずつ下落するといわれます。また、賃貸物件が古くなるほど修繕費用が増す傾向もあります。

現時点で処分すれば、「今までの損失+売却損」で済みます。それにも関わらず、賃貸物件を塩漬けし続ければ、毎月の収支の赤字分が積み上がっていくだけでなく、家賃減少や費用増加で大きな損失に膨らみかねません。

現時点で経営が厳しいのであれば、将来の経営環境はもっと厳しくなる可能性が高いため、「損切りか、収支改善か」を正しく判断して適切な対処をとるのが正解です。

「損切りか、収支改善か」を正しく判断するための目安例

ここまでの内容で、不動産投資で失敗したとき、まずやるべきことは「損切りか、収支改善か」を正しく判断することだとご理解いただけたでしょう。この判断は、例えば以下のような合理的な目安に基づいて行うのがよいでしょう。

損切りすべき賃貸物件の目安例とは

損切りすべき賃貸物件の目安例は次のとおりです。

  1. 立地が悪く長期空室が続いている
  2. 思ったような節税効果を得られていない
  3. 収支の赤字分を埋めるのが大変

それぞれの内容をくわしく見ていきましょう。

・損切りの目安1:立地が悪く長期空室が続いている

立地の悪い賃貸物件は、どんなに優秀な管理会社が担当しても安定経営が難しいのが現実です。そのため、立地条件の悪い物件は損切りすべきです。保有し続ければ大きな損失をもたらす結果になりかねません。

具体的に、不動産投資で立地が悪いとは、「最寄り駅から遠い」「周辺エリアの人口が激減している」「近隣の大学のキャンパスや工場が移転した」などが挙げられます。

・損切りの目安2:思ったような節税効果を得られていない

不動産投資では、賃貸物件を取得した初年度は初期費用を確定申告で計上できるため、それなりの節税効果が期待できます。しかし、2年目以降に計上できるのは減価償却費と管理委託費などの経費のみになります。

さらにその後、減価償却費をローンの元金返済額が上回るデッドクロスのタイミングがやってくる可能性もあります。いずれにせよ、所得税の節税目的の不動産投資は難易度が高いため、期待した成果を得られていないなら損切りが無難です。

・損切りの目安3:キャッシュフローの赤字分を埋めるのが大変

不動産投資で収支がマイナスになるときは2つのパターンがあります。1つ目ははじめから収支がマイナスになることを前提にしていたパターン、2つ目は収支をプラスにする予定だったのにマイナスになってしまったパターンです。

どちらの場合も、生活に支障が出るほど赤字を埋めるのがキツいなら、早めの損切りが賢明です。好転しないまま赤字物件を所有し続けると、ますます状況が苦しくなるだけです。

収支改善の可能性がある賃貸物件の目安例とは

一方、収支改善の可能性がある賃貸物件の目安例は次の通りです。

  1. ローン負担をもう少し改善すれば状況が好転
  2. 立地には魅力があるのに空室が多い

・収支改善の目安 1:ローン負担をもう少し改善すれば状況が好転

現時点の収支で見ると失敗でも、ローンの返済負担をもう少し軽くすれば状況が好転するケースは経営改善の余地があります。

具体的には、金融機関に金利を下げるよう交渉する、あるいは、繰り上げ返済をすることで毎月のローンの返済額を軽くする方法があります。金利交渉のコツについては、後ほど詳しく解説します。

・収支改善の目安2:立地には魅力があるのに空室が多い

前提として、立地条件はそれほど悪くない賃貸物件なのに、稼働率さえ高められれば状況が好転するといったケースは経営改善の余地があります。具体的な改善方法としては、管理会社を変更する、人気の設備を導入するなどがあります。

「損切りまたは収支改善」を進めるときのポイント

「損切り(売却)か、収支改善か」を正しく選択できたら、次に実行に移ります。そのときのポイントを見ていきましょう。

「損切り(売却)」を進めるときのポイント

不動産売却のポイントについて、賃貸経営者向けの専門誌『家主と地主』の編集長・永井ゆかり氏は、次の3つのポイントを挙げています。

・ポイント1:不動産会社

売却を依頼する不動産会社の候補には、
①管理を委託している不動産会社
②物件を購入した不動産会社
③大手不動産会社
などがあります。それぞれの不動産会社に問い合わせつつ「同時に自分で情報集めることが重要だ」と永井氏は著作『生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』で述べています。

・ポイント2:タイミング

一棟物件の場合は融資環境がよいとき(金融機関が融資に積極的なとき)、区分マンションの場合は景気がよいときが賃貸物件を売却しやすいタイミングです。

・ポイント3:情報提供

売却後にトラブルにならないために購入希望者に対して「修繕履歴や付帯設備などの情報をもれなく伝えるよう」不動産会社に念押しをすることが大切です。

「収支改善」を進めるときのポイント

不動産投資に関する書籍はたくさんありますが、なかでも現役の金融機関の融資担当が書いたことで話題になった本に『現役融資担当者がかたる 最強の不動産投資法』があります。ここで著者の河津桜生氏が「一番簡単に行える収支改善策」として紹介しているのが「金利の引き下げ交渉」です。

河津氏によると、金融機関に交渉に応じてもらうコツは、「借り換え先の提案書を持って行くこと」だそうです。金融機関からすると断ればほかに借り換えられる可能性が高いため、(100%ではありませんが)応じやすくなります。

また、立地が悪くないのに空室が多い場合は、管理会社を変更するのも一案です。ただし、管理委託契約書のなかで「どれくらい前に告知しなくてはならないか」が決められているのが一般的のため、それを確認した上で適切に手続きを進めましょう。

投資は上手くいっていても失敗してもPDCAが欠かせない

不動産投資に限らず、あらゆる投資ではじめから上手くいくケースは少ないです。また、現時点ではリターンが出ていてもトータルで見たときに成功かはわかりません。その意味では、投資は上手くいっていても失敗しても常にPDCAで改善していくべきでしょう。たとえ失敗しても、未来の成功の糧にすれば失敗ではありません。