SDGs目標5 世界が注目する日本のジェンダー平等
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持続可能な開発目標であるSDGsの達成度を、国別ランキングで発表する「持続可能な開発報告書 2020」において、日本は5番目の目標「ジェンダー平等を実現しよう」に大きな課題があると指摘されました。ジェンダー平等とは具体的にどのような目標なのか、そして世界や日本の現状と取り組みを紹介します。

ジェンダー平等とは

ジェンダー平等とはすべての女性および女児に対する差別をなくし、社会や組織の一員として抑圧されることなく本来持つ能力を十分に発揮し、貢献できるようになることを意味しています。

SDGsに掲げられるジェンダー平等のターゲットは以下のようになっています。

5-1 あらゆる場所におけるすべての女性と女児に対するあらゆる差別をなくす。

5-2 女性や女児の売り買いや性的、その他の搾取など、すべての女性や女児へのあらゆる暴力をなくす。

5-3 子どもの結婚、早すぎる結婚、強制的な結婚、女性器切除など、女性や女児を傷つける慣行をなくす。

5-4 公共サービスやインフラ、および社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じ、無報酬の育児や介護、家事労働の大切さを認識し評価する。

5-5 政治や経済、公共分野のあらゆるレベルの意思決定において、女性も男性と同じように参加しリーダーシップを得る機会を平等に確保する。

5-6 国際人口開発会議(ICPD)の行動計画および北京行動綱領、ならびにこれらの検討会議の成果文書に従い、性や出産に関する健康と権利が守られるようにする。

5-a 各国の法律に従い女性も経済的資源に対する同等の権利を持ち、土地やその他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源などへアクセスできるようにする。

5-b 女性のエンパワーメントを促進するため、ICT(情報通信技術)などの実現技術活用を強化する。

5-c ジェンダー平等の促進とすべての女性および女児が、あらゆるレベルでエンパワーメントを実現するための適切な政策や効果のある法律を導入し強化する。

世界のジェンダー格差の現状

世界ではジェンダー平等がまだまだ実現しておらず、多くの女性が差別や抑圧をされています。

例えば6歳から11歳の子どものうち、一生学校に通うことができない女児は男児の約2倍です。また世界中で18歳になる前に結婚した女児や女性は6億5,000万人にのぼり、毎年1,200万人の子どもが結婚していると言われています。

他にも世界の女性の3人に1人は暴力の被害者であり、1日1.25ドルで暮らす貧困層の70%は女性です。さらに妊娠や出産で1日800人が死亡し、その99%は途上国の女性という現実があります。

科学技術研究者の割合

またジェンダーの格差は、途上国だけでなく先進国でも見られます。文部科学省の資料によると、各国の女性の科学技術研究者の割合は最も高いイギリスで35%を上回る程度で、日本は約15%と先進国の中でも特に低くなっています。

この資料の中では研究活動における出産や育児、介護との両立が難しく、さらにこれらのライフイベントによって中断された研究活動の再開支援が必要であるとしています。

ジェンダー平等が求められる理由

ジェンダー平等がSDGsの目標とされるのは、世界の人口の約半数を占める女性や女児に対する差別がなくなり、積極的に社会に参加できるようになれば、途上国などが抱える経済成長や貧困、教育などの社会問題を解決できるからだと考えられます。

また組織のリーダーシップにおいて女性は男性と比べ能力が劣ることはなく、むしろ優れている部分もあるという研究結果もあります。これらのことから女性や女児への差別をなくせば、持続可能な社会の実現に近づくとも言えます。

日本のジェンダー格差の実態

世界経済フォーラム(WEF)で2019年に発行されたジェンダー指数によると、日本の男女平等の度合いは世界の149ヵ国中121位と非常に低い順位です。これは次のような現状があることを考えると当然かもしれません。

2016年に総務省が行った調査では、日本の6歳未満の子どもがいる家庭で夫が家事や育児に費やす時間は平均1時間23分、妻が7時間34分で、他の先進国と比べ夫が費やす時間は非常に少なくなっています。

アメリカでは夫が3時間10分で妻が5時間40分、SDGsランキング上位のスウェーデンでは夫が3時間21分で妻が5時間29分です。

その国の国会議員における女性の割合は、女性の政治参画の1つの目安になります。世界で最も割合が多いのはルワンダで女性議員が61.3%、他にUAEアラブ首長国連邦はちょうど半分の50%、先ほどのランキング上位のスウェーデンは47%です。

日本は9.9%(衆議院)で、ランキングに掲載されている189ヵ国中165位とかなり低い順位です。他にも内閣府の調べでは日本企業の部長職にいる女性は6.6%と、社会人として女性が十分活躍できているとは言えない状況です。

日本のジェンダー平等への取り組み

日本ではジェンダー平等の目標に向けて、官民がさまざまな取り組みを行っています。

厚生労働省のイクメンプロジェクト

日本は家事や育児で女性の負担が大きいことはお伝えしましたが、これを解消しようというのが厚生労働省が主催する「イクメンプロジェクト」です。子育てを楽しみ自分自身も成長することがイクメンであると定義し、そうした家庭づくりに取り組もうと訴えています。

イクメンがもっと多くなれば妻である女性の働き方が変わり、社会全体がもっと豊かに成長するはずです。また男性がより積極的に育児に取り組めるよう、育児休暇の取得も推奨しています。男性の育児休暇取得率を2020年に13%、2025年には30%との目標を掲げています。

UN Womenと連携する資生堂

化粧品メーカーの資生堂は日本企業として初めて「UN Women(ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関)」と契約し、日本でのジェンダー平等を強く推進しています。

資生堂の取り組みの1つにUN Womenが行っている「He For She」キャンペーンへの賛同があります。これは今までジェンダー平等は女性側から働きかけていた状況を、男性側から推進していこうというものです。

他にもUN Womenと連携し高校生を対象とした「ジェンダー平等啓発ワークショップ」を開催しています。これは日本全国の高校の中から厳しい選考を通過した代表校が、ジェンダーの課題や問題提起、解決策などを提言するものです。

男性や若い世代などにジェンダー平等を広める活動は、地道ながら称賛されるべき姿勢でしょう。

日本はジェンダー平等に消極的?

日本でジェンダー平等の目標を達成しようとさまざまな取り組みが行われる中で、それと逆行するような発言がありました。東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の当時の会長で、元首相でもある森喜朗氏の発言です。

日本オリンピック委員会の臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」などと発言し、国内外から強く批判され辞任しました。

IOCが2014年に採択した「オリンピックアジェンダ 2020」では、女性の参加率50%の実現や男女混合団体種目の採用を奨励する目標を掲げています。また2019年には女性理事の割合を40%にすることを目標にしています。こうした背景があるにもかかわらずの森氏の発言は多くの人を失望させました。

世界が注目する日本のジェンダー平等

世界が注目するオリンピック・パラリンピックの主催国の責任者によるこの発言で、「日本はジェンダー平等に消極的なのでは?」と世界から思われたとしても不思議ではありません。しかし、ジェンダー平等は持続可能な世界を作るための大切な目標の1つです。

今後開催される東京オリンピックやその後の取り組みで、「日本はジェンダー平等に熱心である」と見直してもらえるよう、一人ひとりが意識して行動する必要があるでしょう。

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