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建築で取り組むSDGs、建設業界で新たな動きが続々と

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建築で取り組むSDGs、建設業界で新たな動きが続々と

国際連合が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、日本の建設業界でも積極的な取り組みが目立ってきました。ゼネコンなど大手事業者がすでにSDGsを看板に掲げた事業展開に入っているほか、中小事業者の取り組みも次々にスタートしています。建設業界が建築でどのようにSDGsを推進しているのでしょうか、具体的な取り組み内容も含めて紹介します。

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で、「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年の国連総会で加盟国による全会一致で採択されました。日本でも国だけでなく地方自治体や企業が目標達成に向けて、さまざまな取り組みをしています。ここでは、SDGsの概略と建設業界との関係についてまとめてみます。

SDGsが掲げる17の目標

SDGsは17の目標で構成されます。内容は平和の追求や貧困、飢餓、差別の解消、環境の保護、経済の発展などで、2030年に達成することを目指しています。17の目標の下には、より具体的な169のターゲットが設定されました。

先進国は第2次世界大戦後、急激な経済成長を遂げ、豊かな社会を築きましたが、代償として深刻な環境破壊を招きました。紛争やテロは各地で後を絶たず、途上国には貧困や飢餓に苦しむ人が少なくありません。誰一人として取り残されない社会を築き、次の世代に伝えるために、国連が提唱したのがSDGsです。

建設業界に関連する項目も

17の目標の中には、建設業界に関連する項目が含まれています。主なものを挙げると、「住み続けられるまちづくりを」「安全な水とトイレを世界中に」「産業と技術革新の基盤をつくろう」などです。

災害に強い住宅や省エネ住宅の建築、上下水道の工事を進めるのは、建設業界の仕事です。災害を防止するインフラを設計し、施工するのも、建設業界抜きで考えられません。建設業界が力を発揮しなければならないことが、数多くあるのです。

日本建築学会がSDGs宣言

日本建築学会は1990年代から地球規模の環境問題に取り組んできましたが、2021年に「SDGs宣言」を出しました。さらに、2022年度からは建築SDGs宣言推進特別調査委員会を設け、宣言の実行を進めています。

学会は学術研究が目的の組織ですが、建設業界に向けてSDGs推進のシグナルを発しているわけです。日本建築学会によるSDGs宣言は、建設業界に広がるSDGs推進の動きを後押しする力になっているようです。

→No.57_「SDGs 課題」の記事へリンク

建設業界に大きなメリット

建設業は人々の生活や仕事の場所をつくるのが仕事ですが、建設行為が自然破壊を伴うことも過去にありました。そんな建設業界がSDGsに取り組むメリットは、どこにあるのでしょうか。

長期的なコスト削減

社会に与えるメリットとして考えられるのが、長期的なコスト削減です。環境負荷を軽減した建築物を建てれば、省エネの推進につながります。その結果、建築物の利用者はエネルギー使用料金を引き下げることができるでしょう。

建設業者にとっても廃棄物処理のコストダウンが期待できます。使用する資源の削減も可能になります。

企業イメージの向上

環境にやさしい建築物を生み出す力が、建設業者のステータスになってきました。高い評価を受けるようになれば、企業イメージがぐんと上がり、新卒採用の人材確保や工事の受注で有利な立場になることができます。

近年、日本でも環境や社会課題に配慮する企業に投資するESG投資が、活発になってきました。その受け皿になることで資金確保もしやすくなるでしょう。

新しいビジネスチャンス

SDGsを推進することは、これまでの建設業界の仕事と異なる分野に挑戦しなければなりません。SDGsの知見を有する市民団体や地方自治体などと協働すれば、本業だけでは思いつかない考え方や知識を得る良い機会になるはずです。

その先に見えるのは、新たなビジネスチャンスです。SDGsの推進をきっかけに新事業に挑む事例は、海外で少なくありません。

→No.82_「SDGs ビジネス」の記事へリンク

建設大手がさまざまな取り組み

建設業界でも大手と呼ばれる企業はすでに、さまざまな取り組みを始めています。主な事例を紹介しましょう。

設計・施工をバーチャル化 竹中工務店

建設業界では人材不足の解消と働き方改革が喫緊の課題に浮上しています。そこで、竹中工務店は最先端技術を積極的に取り入れ、品質を落とさずに省力化を進めています。

竹中工務店では、バーチャル技術を活用した設計から施工の一元化、屋根工事の検査へのドローン活用をいち早く進めました。また、東京都江東区の有明アリーナ建設工事では、屋根をジャッキアップして移動させながら施工する「トラベリング工法」を実施しました。トラベリング工法により、建築コストの削減や工期の短縮・省力化が可能になります。

商業ビルのZEB化推進 大成建設

大成建設は早くから商業ビルのZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化に取り組んでいます。ZEBは省エネと太陽光発電などによる創エネで消費する1次エネルギーの収支ゼロを目指した建築物です。

福岡市博多区のJS博多渡辺ビルは2017年、国内初のZEB認証を取得しました。建物外から差し込む光の量で照明の明るさを調整し、高い断熱機能を持つ壁を採用した結果です。

ミャンマーで学校建設 熊谷組

熊谷組は非営利活動法人のブリッジエーシアジャパンとの協働で、東南アジアのミャンマーで小中学校の校舎建築に取り組みました。

ミャンマーは教育水準が低く、小中学校の整備が急がれています。熊谷組はミャンマー最大の都市ヤンゴンから北へ約240キロのバゴー地方域タウングー市にあるティライン小中学校を2016年に整備しました。本業で培った技術を生かし、国際貢献を進めたわけです。

建設業界が取り組むべき理由

建設業界にはSDGsに本気で取り組まなければならない理由があります。優秀な人材の確保とESG投資の受け皿になることを進めるための課題を抱えているからです。建築業界が抱える課題とは、どんなことでしょうか。

優秀な人材が来ない

建設業界は昭和の時代から3K職場というありがたくないイメージを持たれてきました。3Kとは「きつい」「汚い」「危険」です。実際は過去のイメージになりつつあるのですが、就職を控えた子どもを持つ保護者の中には、このイメージから就職先として建設業界を選ぶのに反対する人が少なくありません。

現代は人口減少と少子化の影響で人手不足が深刻化し、どの企業も優秀な人材の確保に苦労しています。悪いイメージが定着してしまった建設業界としては、イメージ脱却を早急に進めなければならないのです。

ESG投資が逃げる

建設業界が持つもう一つの悪いイメージは環境破壊です。高度経済成長期からバブル期にかけて日本でも各地で環境破壊が問題化し、工事を受け持った建設会社が矢面に立たされることが続きました。

このイメージを払しょくしなければ、環境への配慮を考慮するESG投資の受け皿になりにくくなってしまいます。建設業界にとって、SDGsの推進は避けて通れないことなのです。

中小企業も例外でない

SDGsという言葉は徐々に浸透してきていますが、中小零細建設業の中には他人事のように受け止めるところが少なくありません。しかし、世界的なこの流れを無視していると、やがて新たな大きな壁にぶつかることになりそうです。SDGsはすべての建設業者が取り組むべき課題なのです。

参考: 

要約文:
SDGsに取り組む建設会社が全国で増えてきました。建設会社は3K職場、環境破壊という悪いイメージが過去に定着してしまったことから、それを払しょくするためにもSDGsの推進が必要です。その先には新たなビジネスチャンスなど大きなメリットが待ち構えています。