アパート経営に興味を持ってはいるものの、失敗するリスクを考えると踏み切れないという人は多いのではないでしょうか。この記事では、アパート経営に失敗しないために、考えられる失敗要因やリスク、その対策についてまとめました。
アパート経営に失敗する6つの理由
アパート経営に失敗するのは、どのような原因があるのでしょうか。具体的な失敗要因やその回避策、解決策について、それぞれのケースごとにみていきましょう。

【失敗例1】多額の借入金があり、キャッシュフローが回らなくなる
アパート経営を始める際は、自己資金以外に金融機関からの融資を利用して資金調達するのが一般的です。しかし、借入金があまりに高額になると毎月の返済額も大きくなり、キャッシュフローが回らなくなるリスクが高まるでしょう。
アパート経営において定期的に発生する支出には、ローンの返済以外にも固定資産税や火災・地震保険料、委託管理料などがあります。また、マンションの修繕費や、空室になった際の入居者募集費用などもかかります。そのため、返済計画を立てる際にローンの月々の返済額ばかりに気を取られると、それ以外の支出が発生した際に資金繰りが厳しくなってしまうことがあるのです。
【失敗例1:回避策・解決策】
多額の借入金は毎月の返済が負担になるだけでなく、空室が出たりマンションの修繕が必要になったりした際の対応が難しくなります。そのため、まずは資金調達の際にしっかりとした返済計画を立てることが重要です。定期的に発生する経費のほか、イレギュラーな支出もある程度想定し、キャッシュフローに余裕をもたせておきましょう。
【失敗例2】アパートの需要が少ない
アパートの立地や周辺環境が悪く、そもそも需要が少ないというのもよく聞く失敗例です。アパートの需要が少ないと空室を埋めるために時間がかかり、収益が減ってしまいます。空室で収入がない期間も固定資産税や保険料、委託管理料などの支出は変わらず発生するため、空室が長引けばそれだけアパート経営に大きな影響を及ぼすことになります。
【失敗例2:回避策・解決策】
アパートを新築または購入する際は、本当にその地域に需要があるかを自分でしっかりと見極めることが重要です。例えば、周囲に大型のショッピングモールや学校、病院などがありファミリー層が多く住んでいるエリアに、1Kや1LDKなど単身者用のアパートを購入しても需要は少ないでしょう。反対に、大学が近くにあり学生街と呼ばれるようなエリアにファミリー向けのアパートを購入しても、やはり需要が少なく空室リスクが高くなります。アパート需要はさまざまな要素に左右されるため、建築前、または購入前にしっかりと土地の状況を把握して判断することが重要です。
【失敗例3】サブリース契約で収益が落ちる
サブリースとは、不動産管理会社がアパートを一括でまるごと借り上げ、入居希望者にそのまま転貸(又貸し)する管理形態です。オーナーにとっては物件の管理業務を丸投げできるだけでなく、たとえ空室でも一定の家賃が保証されるというメリットがあります。
しかし、家賃は必ずしも契約時の金額が維持されるわけではありません。運営状況によっては、家賃の見直しが行われることがあるのです。そのため、当初の予定どおりの収入を得ることができず、収支がマイナスになるケースもあります。
【失敗例3:回避策・解決策】
サブリース契約は一般的な管理委託契約や自主管理する場合に比べ収益性が低くなることに注意が必要です。サブリース契約を結ぶ場合はどのくらいの賃料が保証されるのか、家賃の見直しが行われた場合にどこまで収益が下がるのかなどをしっかりとシミュレーションしておきましょう。
【失敗例4】メンテナンスが行き届いていない
アパートの階段や廊下、外壁、エントランスなどの共用部分は、経年とともに汚れたり劣化したりするため定期的な清掃や修繕が必要です。建物のメンテナンスを怠ると見た目がみすぼらしくなり、入居者が離れる原因になります。また、長期間放置することでかえって修繕費用が高額になったり、物件価値が下がったりするケースもあるため注意が必要です。
【失敗例4:回避策・解決策】
修繕・補修にかかる費用は計画的に積み立てたり、あらかじめ予算に組み込んだりすることをおすすめします。アパートは一般的に10~15年ごとに大規模修繕を行う必要があるとされています。大規模修繕を踏まえた資金繰りを行い、建物の価値をしっかりと維持することが大切です。
【失敗例5】入居者トラブルによる失敗
アパート経営には、入居者トラブルによるリスクもつきものです。例えば、入居者が何らかの事情により家賃が払えなくなってしまった場合、オーナーは家賃が回収できなくなるリスクを抱えることになります。滞納したまま連絡が取れなくなったり、長期間家賃を滞納した末に夜逃げしてしまったりというケースもあります。この場合、法的措置にかかる費用や放置された荷物の撤去費用など、さらなる損失が発生することになるでしょう。
【失敗例5:回避策・解決策】
入居者トラブルを回避するためには、入居時の審査を厳しくしたり、契約時に本人以外の連絡先を求めたりするなどの方法があります。また、入居時に連帯保証人だけでなく、家賃保証会社の利用を求めるのも有効な対策といえるでしょう。
【失敗例6】表面利回りだけで物件を判断してしまう
利回りは物件の収益力を判断するための指標のひとつですが、その数字が「表面利回り」と「実質利回り」のどちらで表記されているのかは注意が必要です。
「表面利回り」は、物件の価格に対する家賃収入の割合を示す数字です。一方で、「実質利回り」とは物件購入時にかかるすべての費用に対し、年間の家賃収入から支出を差し引いた利益額の割合を示す数字です。
表面利回りだけで判断すると、予想よりも収益が得られない可能性があります。利回りを参照する際はより現実に即した指標である「実質利回り」の確認が必要です。
【失敗例6:回避策・解決策】
高利回りだからといって必ずしも高い収益を得られる物件ではないことに注意が必要です。例えば、築年数が古く老朽化が進んでいる物件や、駅から遠くにある物件などは価格が低く設定されているため利回りも高くなります。しかし、入居者を探すのが難しくなるため、収益性の高い物件とは言い切れません。
収益性を考えるうえでは利回りの数字だけにとらわれるのではなく、満室にするのが容易か、入居者からのニーズはあるかなど総合的に判断することが重要です。
アパートの空室対策については、以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
参考記事:「アパート空室対策、入居者獲得競争を生き抜く方法」
アパート経営に失敗しないための3つのポイント
アパート経営に失敗しないためには、以下のようなポイントに注意しておきましょう。

資金計画は入念に立てる
アパートを経営するうえで発生する支出は、月々のローンだけでなく固定資産税や保険料、委託管理料、建物の修繕費用などなどさまざまなものがあります。また、入居者が家賃を滞納したり、空室を埋めることができなかったりと、予定していた収入が突然得られなくなるケースも稀ではありません。そのため、資金計画には十分な余裕をもたせ、万一トラブルがあった場合でも吸収できる余地を残しておくことが重要です。
信用できる管理会社を選ぶ
アパート経営に失敗しないためには、管理会社選びも重要なポイントです。管理会社によっては入居者がトラブルを起こした場合の対応や共有部分の清掃がおざなりなケースもあり、入居者離れや空室が埋まらない原因になってしまいます。管理会社の対応により入居者の定着率が変わることもあります。特にオーナーが遠方に住んでいて頻繁に様子を見に行くことが難しい場合、信用できる管理会社を選ぶことが重要です。
リスクを想定しておく
アパート経営のリスクには、空室や家賃滞納だけでなくさまざまなものがあります。例えば、入居者のニーズの変化により急に物件の人気がなくなってしまったり、周囲の地価が低下して家賃相場が下がってしまったりするリスクが挙げられます。また、地震や台風など災害により建物が損傷し、急に多額の補修費が発生するといったケースもあるでしょう。
こうしたリスクは対応が難しいものもありますが、できる限りリスクを想定して計画を立てることが重要です。トラブルが起こってから行動するのではなく、あらかじめリスクを予見し備えておくことで、余裕をもって対策することができるでしょう。
アパート経営のポイントについては、以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひあわせてご確認ください。
参考記事:「アパート経営の基本!収益が出る仕組みや始め方、リスクなどを解説」
失敗要因を知ることで、しっかりとリスク回避を
アパート経営は不労所得が得られたり、所得税対策になったりするなど多くのメリットがありますが、一方で空室や住民とのトラブルなどのリスクがつきまとうのも事実です。アパート経営に失敗しないためには、代表的なトラブルやその要因、対策方法などをしっかりと把握しておくことが重要です。