マンション経営のメリット、デメリット、太陽光発電が空室リスク回避に力
マンション経営で最大のリスクといえるのが空室です。空室が増えると収入が減少し、安定した経営ができなくなります。これを解消するためには、住みたいと思える魅力をマンションに付加する必要があるでしょう。その例が、太陽光発電の設置による売電収入の利用と防災対策への活用です。マンション経営のメリットとデメリット、マンションの魅力を大幅に向上させる太陽光発電設置について解説します。
注目が集まるマンション経営とは
まずは不動産投資として近年、注目を集めているマンション経営について、確認しておきましょう。
サラリーマンやシルバー世代も活用

マンション経営は土地活用、不動産投資の代表的な方法です。安定収入が期待でき、大きな資産にもなるため、投資家らが注目しているのです。不動産投資市場の規模は2001年のJ-REIT(日本版不動産投資信託)市場開設以来、拡大が続いています。
価値総合研究所とニッセイ基礎研究所によると、J-REITなどの資産総額は2020年3月末で26.6兆円、私募ファンドの市場規模も2020年6月末現在で21.1兆円に増えました。国土交通省の2019年度国内不動産投資家アンケートによると、不動産投資全体の13.3%をマンションなど賃貸住宅が占めています。J-REITの取得物件は2010年以降、大都市から地方へ広がり、最近は地方が全体の2~3割を占めるとされます。
投資家には、いわゆるプロや富裕層だけにとどまらず、サラリーマンや年金生活のシルバー世代が含まれています。年金などの社会保障に対する不安などから、マンション経営の安定収入に注目が集まっているようです。
1棟経営と区分経営で大きな差
マンション経営には、大きく分けて1棟経営と区分経営があります。1棟経営はマンション全体を保有し、運営するものです。区分経営は区分所有者として部屋を所有して運営します。
1棟経営は資産価値の高さ、収入の大きさ、区分経営は手軽な資金で挑戦でき、管理の手間がかからないところがセールスポイントです。しかし、1棟経営は維持管理に多額の費用がかかります。区分経営はその部屋が空室になると収入が途絶えるため、空室リスクの大きさがネックです。
1棟経営と区分経営は同じように見えても、必要な資金など異なる部分があります。どちらを選ぶかは、それぞれの特徴をよく見極めて判断する必要があります。
アパート経営と比較した場合
マンション経営とよく似た不動産投資にアパート経営があります。その賃貸住宅がマンションかアパートかについては、登記簿謄本に記載する項目がなく、明確に定められた定義がないのが実情です。住宅メーカーが社内規定で呼び方を決めているだけにすぎません。
ただ、アパートは一般的にマンションより低層で、木造建築の物件もあります。また、郊外や駅から遠い場所に建設される傾向があり、マンションよりも利便性に欠けます。マンションより費用負担が少なくて済みますが、空室リスクが大きいといわれます。
アパートの空室対策については、以下の記事で詳しく紹介しています。
マンション経営のメリット

次に、マンション経営のメリットについて、頭に入れておきましょう。
安定収入や資産価値の大きさに期待
マンション経営の最大のメリットは、安定した収入が得られることです。賃貸マンションの家賃は新築後に最も高く、経年とともに少しずつ下がりますが、大災害でもない限り半値になるようなことは考えにくいものです。
1棟経営だとマンションが立地する土地も自分の所有物です。建物が老朽化しても土地の価格が残るため、資産価値の大きさに期待できるといえます。
少ない投資で大きなリターン

1棟経営はローンによる高いレバレッジ効果が期待できます。レバレッジ効果とは、少ない資金で大きなリターンを得ることを指す言葉です。自己資金に借入金を加えることでより大きな収益を上げられます。
仮に、自己資金3,000万円を実質利回り6%の物件に投資した場合、年間収益は180万円です。自己資金3,000万円にローンで借り入れた7,000万円を加えた1億円を同じ実質利回りの物件に投資すれば、年間収益は600万円にはね上がります。
ローンの借入額はその人の年収や金融機関などによって異なりますが、一般に年収の10倍以上の資産を保有できると考えられています。
マンションの表面利回りや実質利回りについては、以下の記事で詳細に紹介しています。
→表面利回りの計算方法は?数字が異なる表面利回りと実質利回りの違いも解説
相続税など節税効果があることも
マンションは鉄筋コンクリート、鉄骨など建築構造上の法定耐用年数が長い建物が多く、減価償却費を取って節税するのに不向きな一面もあります。しかし、土地にマンションを建てて相続するほうが、更地を相続するより相続税を安くできます。土地の上に賃貸物件があると評価額が下がり、マンション建築の借入金もマイナスの資産として計上されるからです。
土地上に建物があると、更地に比べて固定資産税が減免されます。マンション経営のような貸家だと、さらに固定資産税が下げられるようになっています。
マンション経営のデメリット

マンション経営を軌道に乗せるには、メリットだけでなく、デメリットも十分に知っておく必要があります。
最大の問題は空室リスク
マンション経営で最も頭が痛いのが空室リスクです。複数の部屋があるため、リスクを分散できる強みはありますが、想定以上に多くの部屋が空室になると、経営が立ち行かなることも考えられます。
総務省の2018年住宅土地統計調査によると、マンションの空室を含めた賃貸用住宅の空き家は全国で約433万戸に上り、増加傾向が見えます。不動産業界では賃貸物件の空室率が19%とよくいわれていますが、人口減少などから今後、空室率が上昇する可能性を否定できません。
さらに、家賃滞納があると会計上、未収金扱いになり、家賃分の税金がかかります。事前に入念に空室率を予測し、収支計算しておく必要があるのです。
初期費用とランニングコストも高負担
国土交通省の2020年住宅着工調査によると、マンションを1棟建てるとなると、5階建てぐらいまでなら1坪(3.3平方メートル)当たり鉄骨建築で85~105万円、鉄筋コンクリート建築で90~120万円が相場とされています。建築費だけで億単位の資金を用意しなければなりません。
そのうえ、ローンの返済や大規模修繕の準備もしなければなりません。初期費用とランニングコストの負担が重くのしかかってきます。
家賃が経年で次第に下落
マンションの家賃は新築後、人気物件になると少しだけ家賃が上がり、それをピークに徐々に低下していきます。おおむね10年で10~20%程度下がることがあるとされ、その後下落速度が緩やかになります。
人気物件だからといっていつまでも高い家賃のままだと、一気に空室が増えるかもしれません。事前の収支計算にこの点も考慮に入れておく必要がありそうです。
リスク解消の秘密兵器が太陽光発電

空室リスク回避の秘策が太陽光発電の導入です。どんな効果をもたらしてくれるのか、みていきましょう。
時代の流れが太陽光発電設置を後押し
東京都は住宅を含む新築建築物に太陽光発電の設置を義務づける都条例改正案を検討しています。義務が課せられるのは建築主ではなく、建物供給量が都内で年間2万平方メートル以上の住宅メーカーを想定しています。
政府が2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を打ち出しているのを受け、大手住宅会社が自社マンションへの設置を標準化する方針を相次いで明らかにしました。マンションへの太陽光発電設置が、時代の後押しを受けているわけです。
共用部分に設置して管理費削減も一手
太陽光発電が設置されれば、昼間は電気を自家消費し、余った分を売電することができます。規模の小さいマンションだと、入居者に売電収入を分配するなど、工夫次第でいろいろな入居者サービスが考えられるでしょう。
マンションの規模が大きくなると、太陽光パネルを設置する屋上の面積が部屋数に見合わなくなり、各戸が売電収入を得られなくなります。この場合、共用部用の電源に使用し、入居者の管理費支出を抑える方法があります。
災害対策が空室解消に効果的
東日本大震災や熊本地震、川崎市の武蔵小杉や熊本県人吉市の水害など近年は大きな災害が頻発しています。災害対策を施し、災害に強いマンションを訴えることも入居者への大きなアピールになるでしょう。
太陽光発電は大きな災害で停電した際の非常用電源として活用できます。電気が使えれば、エレベーターの停止で高齢者がマンション内で孤立することもありません。災害時に入居者の強い味方となって働いてくれます。
マンション経営を成功させるための方策は、以下の記事で紹介しています。
太陽光発電の活用でマンションの魅力向上を
空室リスクを回避するには、入居したいと思わせる魅力が必要です。部屋のリノベーションではどこまで効果が出るのか判断しづらく、入居者に喜ばれるコンビニエンスストアの誘致は実現できるかどうか分かりません。確実にマンションの価値を高めてくれるのが太陽光発電です。太陽光発電をうまく利用し、空室に悩まされないマンションにしましょう。